笹川中東イスラム基金
2016年
事業
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「日本―イラン関係の展望:変わりゆく社会と文化の視点から」(2017年3月6日)於テヘラン
笹川中東イスラム基金では、2017年3月6日、「日本―イラン関係の展望:変わりゆく社会と文化の視点から」と題する国際シンポジウムをイランの首都テヘランにおいて開催しました。プログラムはこちらをご覧ください。https://www.spf.org/smeif-j/news/article_23669.html
【プレナリー】
開会挨拶にて、笹川陽平氏(笹川平和財団名誉会長/日本財団会長)は、「本シンポジウムの目的は、歴史、文化、政治といった社会の諸側面に着目することで、イランと日本の二国間関係をさらに深化させることである」と述べました。続いて、小林弘裕 駐イラン日本大使は、歓迎の挨拶を行い、今回の国際シンポジウムを、2016年5月の国際シンポジウム「平和と持続可能な開発における女性の役割」、」2017年2月の国際シンポジウム「経済力としての女性と教育」に続く大規模な国際シンポジウムと位置づけ、両国間の交流の深まりに対する期待を述べました。
【基調講演】
一人目のナザルアハリ駐日本イラン大使は、日-イラン両国が正式な外交関係を樹立しておよそ90年が経つことを踏まえつつ、(1)二国間レベル、(2)地域レベル、(3)国際社会レベルの異なる次元で、二国間が協力を深める必要があると述べました。二人目のMojgan Golchin氏(イラン国際問題研究所)は、日・イラン両国は外交関係樹立以来、平和で良好な関係にある上に、両国文化に類似性が見られる点を指摘しました。三人目の宮晶子氏(株式会社水ing 執行役員)は、水資源の持続的な開発に関する発表の中で、全世界の水資源の現状を説明したのち、持続可能な水利用に関する今後の協力を呼びかけました。
登壇者の集合写真 会場の様子
【セッション1:変化する政治・国際環境】
本セッションでは、オバマ政権期の核合意、トランプ政権の誕生といったイランをめぐる国際環境の変化を踏まえつつ、今後の二国間関係のあり方について議論を行いました。Mohammad Reza Dehshiri氏(国際関係学院教授)、堂道秀明氏(元駐イラン日本大使)がスピーカーを、田中伸男(笹川平和財団会長)がモデレーターを務めました。
Dehshiri氏は、「イランと日本:文化シナジー」と題する講演の中で、日本、イラン両国が、変化する国際環境の中、自文化のアイデンティティを保持しつつ、互いに両者の文化から学び続ける重要性を説きました。続いて、堂道氏は、2004年から2007年にかけて日本大使として赴任した経験や具体的事例を交えながら、イランをめぐる「認識のギャップ」の存在とその解消の重要性を説きました。
(左から:Dehshiri氏、堂道氏、田中氏)
【加藤幸兵衛氏による 特別講演:ラスター彩復興 50 年の歩み】
陶芸家の加藤幸兵衛氏は、父卓男氏および幸兵衛氏の50年にわたるラスター彩復興の歩みにつき、スライドを交え解説を行いました。講演の詳細は動画をご覧ください。講演会場の外で行ったラスター彩の展示も好評を博しました。
(加藤氏の特別講演動画は後日アップします)
ラスター彩の実演を披露する加藤氏
【セッション2: 観光開発、イラン-日本交流史】
本セッションでは、 Abdoulrahim Gavahi 氏(元駐日イラン大使)、阿部克彦氏(神奈川大学経営学科准教授)、 Ladan Jafari T T ehrani 氏(イラン文化遺産・伝統工芸・環境庁国際担当局長)がスピーカーを、 Reza Nazar Ahari 氏(駐日イラン大使)がモデレーターを務めました。
Gavahi 氏は、「東洋(イラン/日本)と西洋の文化・哲学的遭遇」と題した講演で、1980年代に日本での駐在経験について語るとともに、著名なイスラム学者である故井筒俊彦氏を例に挙げ、学術界を中心とした文明間対話の継続が重要であると述べました。続く阿部氏は、「日本文化におけるイラン絹織物の収集とその影響」と題した講演で、江戸時代に主に茶室で用いられた絹織物とイラン絹織物のデザインの類似性を紹介しました。Tehrani氏は、「 イランにおける観光と文化遺産」と題した講演で、イランにおける観光開発に際し、官民連携の重要性、関連省庁、観光産業関係者の人材育成、高等教育機関の役割が重要であると指摘しました。
(左から:Tehrani氏、阿部氏、Gavahi 氏、Nazar Ahari 氏)
【番外編】
昼食:参加者にふるまわれたイラン料理
- 【本件に対する問い合わせ】
- 笹川中東イスラム基金事業室
Phone:03-5157-5181、Fax:03-5157-5158
お問合せ: 笹川中東イスラム基金お問合せフォーム
2016年事業「イランと国際社会の関係構築支援」事業