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第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)

【女性起業家の挑戦】起業を通じた社会課題解決 第三回 - カンボジア 食の安全と地産地消農業

~ 農業と食品業界の女性雇用を増やし、安全な食品を食卓へ Siem Reap Farmers Market ~

笹川平和財団


2023.12.07

【Siem Reap Farmers Market 創業者のセライスさん(左)とメンジンさん(右)】

【カンボジア Cnai アクセラレータープログラム】
 
笹川平和財団が、2022年度よりカンボジアにおいて実施しているCnai(チェナイ:革新)アクセラレータープログラム。2021年度にミャンマーのベンチャーキャピタル(VC)であるEmerging Market Entrepreneurs (EME)と共同開発した「SanThit(サンティット:革新)」アクセラレータープログラムをモデルとし、世界的に有名なアーリーステージの起業家への投資を行うVCであるVillage CAPITALのカリキュラムを採用している。カンボジアでは、パイロット事業として第一期を現地パートナーのCambodia Investors Corporation(CIC)、アジア開発銀行(ADB) Frontier、EMEと計4組織で協働実施した。Cnaiはクメール語で「革新・イノベーション」という意味で、ジェンダー視点[1]を持ち、女性起業家でも男性起業家と対等な立場で参加できるよう、公平な起業家育成の場を提供している。カンボジアの起業家支援エコシステムの中では、投資家が実施機関となり、ジェンダー視点を有しているという点で革新的な取り組みだ。参加起業家はステージごとに選抜され、ファンドを受け取り、伴走支援を受けながら事業を拡大させていく。今回、最終選考に残った4社は、図らずとも全て女性起業家が率いている。彼女たちに、それぞれのストーリーや課題、ビジネスにかける思い、また彼女たちがビジネスを通じて、いかにカンボジアの女性のエンパワメントに貢献しているかについて話を伺った。
 
[1] Cnaiアクセラレータープログラムの対象は女性だけでなく男性起業家も含むが、プログラムの設計段階から、ジェンダー視点を有している。例えば、本アクセラレーターのホームページのイメージキャラクターは女性起業家だ。またCnaiのホームページでは、ジェンダーに配慮した言語表現や書きぶりを徹底している。また、多くの起業家支援プログラムは大人数の前でのピッチイベントを実施するが、社会的に人前で話す機会が限られてきた女性には不利となりうる。本プログラムでは、起業家の参加態度とプログラムへのコミットメントを最も重視している。またピッチも大人数に対してではなく、数人の審査員の前で、プレゼンテーションを15分、質疑応答の時間を30分とするなど、実際に投資家と話す際に起こりうる状況を再現している。また、参加起業家は、ジェンダー指標を設定し、事業の実施を通じ、いかにジェンダーへのインパクトを出せるかが審査の際に考慮される。
 第3弾となる今回は、世界遺産アンコールワットで有名な、世界的な観光地であるシェムリアップにおいて、カンボジア産の農産物を加工・販売しながら、首都プノンペンで卸売りを展開する、Siem Reap Farmers Market(シェムリアップ・ファーマーズマーケット、以下SRFM)の共同創業者のセライス・シム(Sim Sereirath)さんとR&Dディレクターであるメンジン・ング(Mengieng Ung)さんのお二人だ。他の東南アジア諸国同様、カンボジアにとって農業は重要なセクターである。世界銀行によると、カンボジアの人口の7割以上は農村部に住んでおり、国民総生産に占める農業の割合は20%、総雇用に占める割合は30%を超えている(2019年)。サービス業や他の産業の急速な発達により、女性の雇用の80%を占めていた農業セクターは2019年には37%にまで落ちているものの、依然として同国の女性の雇用や生計を立てる上で重要な役割を果たしている。SRFMは国内の農家から買い取った農作物や畜産物を販売・加工販売している。同社の提携農家のうち90%が女性であり、同国の農業に従事する女性の経済的エンパワメントに貢献している。

- SRFMのビジネスについて教えて下さい。

 (メンジンさん)私たちは、2017年にオープンしたSRFMと、2018年にオープンした、主にシェムリアップの特産物である魚の干物とソーセージを製造加工するHome Taste Food 社を運営しています。Home Taste Foodでは女性7名、男性4名の計11人のスタッフ、店舗となるSRFMでは女性17人、男性4名の計21名を雇用しています。SRFMは、国内の安全な食料品を一か所で手に入れることができる「ワン・ストップ・ショップ」を目指しています。

【多くの女性を雇用するSiem Reap Farmers Market(写真提供:Siem Reap Farmers Market)】

【シェムリアップの特産物を製造加工するHome Taste Food 社 従業員とセライスさん、メンジンさん(写真提供:Siem Reap Farmers Market)】

- お二人がSRFMを創業し、携わることになった経緯や思いを教えて下さい。

【PCに向かうメンジンさん】

 (セライスさん)SRFMは2017年に私とシビルエンジニアの夫のSaing Sivnhem(セング シブンヘム)との二人で創業しました。私たちは、もともと家族でホテル業に従事していましたが、地元の人々のためにビジネスをしたいとかねてから思っており、食料品販売を選びました。2021年にコロナが流行したとき、外国人観光客を相手にしたホテルは次々に廃業となってしまいましたが、地元の顧客を相手にした我々のビジネスは生き延び、当時の自分たちの判断は正しかったと確信しました。コロナ禍でホテル業に従事する家族は収入がほぼゼロになり、SRFMで得た収入は全て、医療費を含む家族のサポートのために使いました。
 
 (メンジンさん)私はもともと地理学の研究者として大学で教えていました。SRFMは創業当時からお手伝いしていており、2021年からビジネスに正式に携わるようになりました。カンボジアにとって食の安全は喫緊の課題で、マーケットでの食料品の買い物は、衛生問題や売り手との交渉の手間、スリに遭うリスクなど、多くのフラストレーションを感じていました。また、カンボジアでは多くのオーガニック食品が「オーガニック」と謳っているだけで本当はそうではありません。現実的にオーガニック食材の製造・販売はとても難しいのです。我々の提携農家は適量の肥料や農薬を使っていますが、我々は偽りのないメッセージを送ることを重視しています。

- Cnaiアクセラレータープログラムへ参加することになった経緯と、これまでの学びで印象的だったことを教えて下さい。

【日本で開発された職場環境改善・品質管理の手法(5S-KAIZEN)の導入により効率が向上。従業員に毎日のブリーフィングで実施を徹底】

 (メンジンさん)私たちは、これまで会社を切り盛りしながら、実地経験を積んでいましたが、3人のうち誰もビジネスのバックグラウンドをもっておらず、Cnaiへの参加はとても良い機会だと思いました。共同創業者であるセライスさんの夫は一度他の団体が開催するアクセラレーションプログラムに参加したことがありましたが、私たちは二人とも初めてでした。ステージごとの資金提供だけでなく、Cnaiはマンツーマンでメンターシップを受けられることや、有名なVillage Capitalのプログラムに参加できることも魅力でした。ビジネスの成長度合いの評価では、プロダクトやビジネスモデルそのものの前に、チームの能力が重視されるのですが、これは目から鱗でした。Cnaiでは、ファイナンスを含め、ビジネス全般について学ぶことができましたが、最近、MBAを勉強中の友人と会話した際に、彼女のファイナンスの話が分かったのです。友達も自分もびっくりして、とても嬉しかったですし、起業家としての自信がつきました。

- Cnai参加を通じ、ジェンダー視点をビジネスに取り入れることについて学びましたか?

【Cnaiのファンディングにより、肉のグラインダ―とソーセージ詰め機、乾燥用オーブンを購入。製造量が20KGから600KGに増加】

 (メンジンさん)実は、ジェンダーに関しては、Cnaiに参加するまで特別意識したことはありませんでした。業界の性質上、もともと女性を多く雇用していました。プログラムをつうじ、男性と女性は違う視点を持っていて、バランスの取れたチームにすることの必要性を学びました。また、事業の目標設定であるOKR(Objectives and Key Results(目標と主要な結果))で、サプライチェーン上の女性農家の割合をターゲットとして設定しました。これまで、85%だった数字を90%にまで上げることができました。

 これまで、顧客の男女別や年齢に関するデータを収集したことはありませんでしたが、現在、メンバーシップカードを導入に向けて動いています。Cnaiチームの助言により、その際に顧客の男女別を含むデータを入手し、商品開発やマーケテイングのために分析したいと思っています。

- カンボジアの女性起業家としてどのようなチャレンジがあると思いますか?

【SRFM契約農家の90%が女性(写真提供:SRFM)】

 (メンジンさん)カンボジアは依然として、男性優位の社会です。伝統的には、女性が家庭に入り、家事・育児を担います。女性が起業する際には、成功すればよしとされますが、失敗した場合、義理の家族からも男性より強く批判されることもあります。

 (セライスさん)私たち女性は、起業活動だけでなく、家に帰ってからも家事・育児で大忙しです。一日16時間は働いていますね。なので、Cnaiに参加するときにも、本当に私たちにできるのかチームで話し合いました。プログラムでは、44本のカリキュラムに紐づいた記事を読むところから始まり、毎週の課題やOKR(Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の達成など、とても厳しいプログラムでした。

(写真提供:SRFM)

 (メンジンさん)Cnaiに参加して、他の女性起業家との交流はとても良いものでした。特に、AGRO AGAPEのスレイポブさんには大きな感銘を受けました。(コービービジネスを通じて女性零細企業の支援を行うAGRO AGAPE 前記事こちらで紹介)一人で起業して、多くのチームメンバーを抱えながら頑張っています。

- SRFMの次のステップは何ですか?

 (メンジンさん)プノンペンでの店舗をオープンすることを予定しています。また、ヨーロッパ、アメリカ、日本、オーストラリア等への輸出をして、ビジネスを拡大していきたいと思っています。

- 編集後記

 今回シェムリアップの地元の人に話を聞くと、コロナが明けた現在でも、想定していたようには観光客が戻ってきておらず、観光業に従事していた多くの女性起業家が苦戦を強いられているとのことであった。そのような中、SRFMは、地元のニーズを理解し、成長を遂げている。メンジンさんによると、カンボジアでは1991年に内戦が終結してから、人々は生き延びることで精いっぱいで食の質に気を遣う余裕はなかったという。しかし、現在カンボジアは、コロナ後も成長率5%以上という目覚ましい経済発展を遂げ、人々の食の安全に対する意識は近年急速に変化しており、 メンジンさん、セライスさんはこの分野にビジネスチャンスがあると睨んでいる。自分たちは、おいしく、安全な地産の食品販売の先駆者(Trailblazer)になっていきたい、と意気込みを語ってくれた。

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