事業方針・5つの重点目標
事業方針(2024年度~)
近年、中国やグローバルサウスの台頭などにより、第二次世界大戦後に形成された国際秩序が大きく変容しています。一方、地球規模の環境変化や災害激甚化、感染症、紛争、人口問題、食糧問題といった複合危機により、人々の生命や生活、安全が脅かされています。国際社会の分断を乗り超えて、連携して課題解決に取り組むことが求められるなか、今後の国際社会において、日本ならではの立ち位置や役割を見出すことができるかが問われています。
このような激動の世界のなかで、笹川流民間外交を通じて、多様なアクターとともに新しい国際社会をデザインし、様々な課題の解決をリードすることを目指し、笹川平和財団は、2024年度以降、以下の5つの目標に取り組みます。
このような激動の世界のなかで、笹川流民間外交を通じて、多様なアクターとともに新しい国際社会をデザインし、様々な課題の解決をリードすることを目指し、笹川平和財団は、2024年度以降、以下の5つの目標に取り組みます。
5つの重点目標
1. 国際社会の安定と日米関係強化
日本にとって米国は、政治、経済、安全保障の観点から最も重要な同盟国です。日本も自由で開かれたインド太平洋構想を促進し、米国と共に民主主義社会のリーダーとしての責任を果たす必要があります。笹川平和財団は、日米および友好国間の国民の知的・人的民間交流のさらなる発展を促し、日米を中心とする関係の緊密化を通した国際社会への貢献を目指します。特に安全保障関連においては、米国および西側諸国、グローバルサウスも含めた多角的な視点による取り組みを推進します。
2. アジアと日本の戦略的関係強化
アジアの多くの国や地域は、近年目覚ましい成長を遂げ、グローバルサウスとしての存在感を高めてきており、日本はこれらの国々と、より対等な立場で戦略的パートナーシップを拡大することが求められています。一方で、人口問題や環境問題など、様々な困難も有しているとともに、依然として紛争や脆弱性を抱える国、地域もあります。笹川平和財団は、アジア地域の平和と安定、並びに、世界共通課題の解決に向けたアジア諸国との対話や協働を通じ、アジアの諸国と日本の戦略的関係の強化を図ります。
3. イスラム諸国への理解と関係強化
中東地域の過激派の台頭や武力紛争の長期化は、世界中に波及し、アジアのイスラム社会にも影響を及ぼしつつあります。このようななか、日本においてイスラム社会に住む人々に対する認識や理解は進んでいません。笹川平和財団は、世界のイスラム諸国との交流を推進し、日本国民に向けてイスラム社会の存在を正しく伝えていく努力を進めていきます。
4. 海洋を通した平和な世界の実現
海洋は、陸と陸の間に横たわり国や地域を隔てる一方、国と国や地域と地域を結びつける重要な役割を果たしています。また、生命の源である水、生態系、様々な物質をもたらし、同時に環境を調整する機能を有する、人類を含めた生命体全体の共有財産です。しかし、その海洋が、国家間の権益争いや密漁・海賊等犯罪の場となり、さらに人為起源と自然起源の様々な要因から脅かされている状況にあります。笹川平和財団は、まず、現地調査・研究を基に海洋に関する正しい情報を収集・分析し、地球の生命体共有の財産を守り新たな価値を創造することを共通目的として、国家間、民族間、地域間、多種多様な人々の間で情報共有・対話・教育を通して、海洋を人類の平和と繁栄を構築する場とすることを目指します。
5. 日本人国際リーダーの育成
世界の平和と安定を確保するためには、国際社会が協調して頻発する地球的規模の問題解決を進めていくことが必要であり、日本がその中で積極的な役割を果たすことが期待されます。国際情勢に通じ、多様な価値観に柔軟に対応しつつ、問題解決を主導する知見を有した日本人リーダーが多くの分野に存在することが求められています。笹川平和財団は、各地の日本の若者が視野を拡げ国際感覚を養うとともに、将来の活躍の土台となる優れた知識を習得することを可能とすべく、笹川奨学金を提供し、米国・英国の大学進学を支援します。さらに、将来の活躍を支えるコミュニティ作りを進めることにより、国際性を有した日本人リーダーの輩出を目指します。
2024年4月1日現在
公益財団法人 笹川平和財団
公益財団法人 笹川平和財団