Ocean Newsletter
オーシャンニューズレター
第597号(2025.09.20発行)
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事務局だより
瀬戸内千代
◆今号の特集テーマは、「アフリカの海」です。8月20~22日に、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が開催されました。TICADは、1993年に日本政府の主導で始まり、当初は5年ごと、2013年以降は3年ごとで、第9回は6年ぶりの日本での開催でした。笹川平和財団はTICAD9に先立ち、日本財団やササカワ・アフリカ財団と連携し、アフリカ諸国の6人の賢人と2泊3日で語り合いました。声明文をまとめ、提言書『アフリカの持続可能な開発推進に向けて』と共に岩屋毅外相に手交し※1、アフリカの食料安全保障とブルーエコノミーをテーマとするイベントを2回開催しました※2。また、TICAD9の会期中には公式サイドイベントとして、シンポジウム「アフリカにおける持続可能・包摂的・対応力ある食料システムと地域経済の未来:持続可能なブルーエコノミーと農業の視点から」を開催しました※3。
国際情勢の変容や地球温暖化が進む中、各種技術を持ちつつ少子高齢化に悩む日本が、人口が増加する若く広大なアフリカと組むことで、どのような未来を描けるのか。聴いていて、想像がふくらみました。◆今号の1本目は、上記イベントの進行役も務めた小林上席研究員による論考です。2、3本目は、アフリカの研究所と大学の専門家が、貴重なご寄稿をくださいました。4、5本目のご寄稿は、日本人の視点から、アフリカ漁業の現場をご紹介くださいました。◆アフリカは、飛行機でもほぼ1日がかりの遠い国々という印象ですが、産出品は私たちの暮らしと密接に関わっています。スマホなどに欠かせない希少金属は、その代表例です。チョコレートの原料であるカカオ豆の生産量は、コートジボワールやガーナなどアフリカ諸国が世界の7割以上を占めています(出典:国際カカオ機構)。コーヒー豆は、世界の輸出量の約2割がアフリカ産です(出典:国際コーヒー機構)。タコの輸入を例に挙げるまでもなく、日本とアフリカは「海」でもつながっています。アフリカ54カ国のうち、マダガスカルのような島国を含め、38カ国が海と接しています(外務省※4)。漁業支援などを通してアフリカの海と日本には浅からぬご縁があり、TICAD9でも「ブルーエコノミー」が大切なキーワードとなりました。今号の特集を通して、日本が30年以上継続してきたTICADの意義や、アフリカ諸国と日本の、人と人との交流の価値を感じ取っていただけましたら幸いです。(瀬戸内千代)
国際情勢の変容や地球温暖化が進む中、各種技術を持ちつつ少子高齢化に悩む日本が、人口が増加する若く広大なアフリカと組むことで、どのような未来を描けるのか。聴いていて、想像がふくらみました。◆今号の1本目は、上記イベントの進行役も務めた小林上席研究員による論考です。2、3本目は、アフリカの研究所と大学の専門家が、貴重なご寄稿をくださいました。4、5本目のご寄稿は、日本人の視点から、アフリカ漁業の現場をご紹介くださいました。◆アフリカは、飛行機でもほぼ1日がかりの遠い国々という印象ですが、産出品は私たちの暮らしと密接に関わっています。スマホなどに欠かせない希少金属は、その代表例です。チョコレートの原料であるカカオ豆の生産量は、コートジボワールやガーナなどアフリカ諸国が世界の7割以上を占めています(出典:国際カカオ機構)。コーヒー豆は、世界の輸出量の約2割がアフリカ産です(出典:国際コーヒー機構)。タコの輸入を例に挙げるまでもなく、日本とアフリカは「海」でもつながっています。アフリカ54カ国のうち、マダガスカルのような島国を含め、38カ国が海と接しています(外務省※4)。漁業支援などを通してアフリカの海と日本には浅からぬご縁があり、TICAD9でも「ブルーエコノミー」が大切なキーワードとなりました。今号の特集を通して、日本が30年以上継続してきたTICADの意義や、アフリカ諸国と日本の、人と人との交流の価値を感じ取っていただけましたら幸いです。(瀬戸内千代)
第597号(2025.09.20発行)のその他の記事
- アフリカ開発会議と持続可能なブルーエコノミー 笹川平和財団上席研究員◆小林正典
- アフリカ南部の脱炭素化の取り組み 南アフリカ国際海事研究所戦略プロジェクト・国際化担当ディレクター◆Nwabisa MATOTI
- 西インド洋(WIO)の海洋食料危機回避に向けた協調 ネルソン・マンデラ大学(南アフリカ共和国)/サウサンプトン大学(英国)教授◆Michael ROBERTS
- セネガルにおけるJICA水産事業の軌跡とこれから 元JICA経済開発部農業・農村開発第一グループ第二チーム ジュニア専門員◆石井潤
- マダガスカルにおける環境意識の高まり 国立民族学博物館教授◆飯田卓
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