「課題先進国」の日本とアジアをつなぐ

(画像)インタビューに答える岡本富美子

インタビューに答える岡本富美子

  笹川平和財団は1986年に創設された。主要事業を継続しつつ、国際社会や地域の情勢変化と、それによって生じる新たなニーズを敏感にとらえて新規事業を開拓、創造し、民間ならではの問題意識と構想力、実現力によって多様な問題の解決へ向け取り組んでいる。

  財団では昨年以来、大幅な組織改編も進められている。その結果、現在は「日米交流」「安全保障」「太平洋島嶼国」「アジアの平和と安定化」「アジアの人口動態」「ジェンダーイノベーション」「日中友好交流」「中東・イスラム」の8事業グループと、海洋政策研究所で構成されている。展開している事業の総数は約60にのぼる。

  8事業グループのうちのアジアの人口動態は、昨年7月に新しく立ち上げられ、①アジア・インパクト対話②アジアにおける少子高齢化③新しい男性の役割に関する提言④モンゴルにおける高専教育支援⑤人の移動ーの5つの事業 を推し進めている。 

  これを率いるのが、グループ長兼主任研究員の岡本富美子だ。そして、アジア・インパクト対話は2018年度から新規にスタートした、財団と岡本のグループが力を注ぐ事業のひとつである。この事業と岡本の活動にスポットを当てることは、財団における事業の形成・推進過程を知るうえでも興味深い。
 

急速に進む高齢化

  日本は世界における「課題先進国」といわれる。日本とアジア諸国が直面する共通の課題は多い。アジア諸国が日本の成功と失敗に学び、日本もアジア諸国から学ぶ。共通の課題を抽出し、課題ごとに各国から専門家や実務家、政策担当者などが集い、問題点や経験、取り組みなどを共有し議論を深め、そこから既存の解決策にとらわれない、地域の実情に即した方策を見いだし提案していく―。それがアジア・インパクト対話である。課題先進国としての日本と、アジア諸国がともに抱える最たる課題といえば、高齢化問題が真っ先に挙げられよう。

  日本で少子高齢化と、それによる生産年齢人口の減少や地域の過疎化、介護サービスの需要増加などが急速に進んでいることは、周知のとおりである。内閣府の「平成30年版高齢社会白書」によると、2017年10月1日時点で、日本の総人口は1億2671万人。65歳以上の高齢者人口は3515万人で、総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は27.7%だ。2065年には高齢化率が38.4%に達し、国民の約2.6人に1人が65歳以上という社会が到来すると予測されている。

  高齢化は世界、とりわけアジア諸国でも急速に進行している。国連などの推計では、東・東南アジアにおける総人口に占める高齢者の割合は、2015年の時点で10.6%だが、2050年には30.6%を超えるという。国別では①韓国35.3%②シンガポール33.6%③タイ29%④中国26.3%⑤インドネシア13.8%⑥フィリピン9.8%―などとなっている。また、出生率の低下などにより、アジアの生産年齢人口は2035年をピークに減少に転じると見込まれている。

  韓国とシンガポール、タイでは日本を上回るスピードで高齢化が進んでいる。国連は、65歳以上が総人口の7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%超を「超高齢社会」と定義している。日本は、高齢化社会から高齢社会へ移行するのに24年を要したが、韓国の場合は18年という早さだ。

  日本が先頭を走り、そのあとをアジア諸国が追いかけているという構図である。
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