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「おじいちゃん」と「アキコ」

 堀場と中山の熱意と努力は、2013年に入り新たな展開を迎える。2月、インラック首相(当時)が公式対話を開始することを発表したのだ。これを受け、マレーシアの首都クアラルンプールで3月以降、計3回にわたり、政府と、武装組織のひとつであるBRNが交渉のテーブルに着いた。歴史的な出来事だといっていい。
 協議されたのは、①BRNは分離・独立ではなく、パタニ民族の解放を目指す組織であると認める②マレーシアを調停者とする③タイ治安部隊を撤退させ、パタニのマレー系住民の統治権を認める④和平対話を東南アジア諸国連合(ASEAN)、イスラム協力機構(OIC)、NGOなどの立会いの下で行う⑤治安事件で拘留されているすべての容疑者を釈放する―ことである。だが、交渉は進展せず、具体的な成果は得られなかった。
武装組織による爆弾事件の現場。壁の破片の跡が生々しい。和平はいつ…(2012年6月)

武装組織による爆弾事件の現場。壁の破片の跡が生々しい。和平はいつ…(2012年6月)

 それ以上に、タイは、インラック氏の兄で、汚職防止法違反の罪に問われ亡命中のタクシン元首相を支持する勢力と、反タクシン派による激しい政争の渦に飲み込まれた。深南部をめぐる和平対話どころではなくなったのである。タクシン氏の帰国に道を開く恩赦法案を議会に提出した、インラック政権に対する「打倒」の叫び声は2014年5月、タイの「お家芸」ともいえるクーデターによってかき消される。
 実は、この間も堀場は、笹川平和財団による活動と支援をあきらめることなく、仲裁の労を取り続けた。
 「和平対話は宙ぶらりんになり、頓挫したと誰もが思っていた。でも和平対話のタイ側の中核メンバーらとBRNの人たちに、複数の第三国で会ってもらっていた。ですから水面下で交渉は続いていたのです」
 陸軍司令官として、クーデターによりインラック政権を崩壊させたプラユット首相は、全権掌握から約7カ月後の12月、マレーシアのナジブ首相(当時)との会談で、和平対話を行う用意があると表明する。そして、アクサラー・グートポン将軍をトップとする新たな和平対話チームが発足した。一方、それまではBRNだけが交渉に臨んでいた武装組織側にも、大きな変化があった。BRNを含む6つの武装組織が束ねられ、共に交渉に参加する連合組織ともいうべき「パタニ諮問評議会」(MARA Patani)が、2015年5月に結成されたのだ。
大きな変化があった。BRNを含む6つの武装組織が束ねられ、共に交渉に参加する連合組織ともいうべき「パタニ諮問評議会」(MARA Patani)が、2015年5月に結成されたのだ。
 主な武装組織にはBRNのほか、「パタニ統一解放機構」(PULO)、「パタニイスラム解放戦線」(BIPP)、「パタニ・イスラム・ムジャヒディン運動」(GMIP)がある。PULOが内部対立から3グループに分裂しているなど、武装組織は一枚岩ではない。政府との対話と交渉が、もっぱらBRNとの間だけで行われていることに、他の組織は極めて批判的な視線を注いでいた。
 こうした状況を憂慮し、MARA Pataniの結成に奔走したのが、ほかならぬ堀場であった。
 2014年9月、堀場はスウェーデンとドイツへ飛ぶ。亡命しているPLOやBRNなどの元指導者らに会うためである。堀場が彼らを「おじいちゃん」と呼べば、元指導者たちは彼女を「アキコ」と呼ぶ。
 「みんな孫がいたりして、おじいちゃんですよ。おじいちゃんと思っていますから。おじいちゃんと話している感じで喋り、思ったことをそのまま口に出す。『爆弾を置くことは国際社会から見ても良くない。そう思いませんか』といった具合です」
 堀場は快活で気さくだ。相手の目を見ながらモノを言い、話を聞き、自然体で接する。物おじすることもない。武装組織と政府の強者たちを相手に信頼関係を築き、「仲裁者」として受け入れられているのは、彼女のキャラクターに負うところもあろう。
 堀場は「おじいちゃん」たちを説得した。
 「声をひとつにしないと、バラバラでは交渉できないですよ」
 武装組織側をまとめないと交渉は進まない—。そうした強い思いが、堀場を動かした。
深南部にある学校では、イスラム教徒と仏教徒の子供たちが仲良く勉強していた (2012年6月)

深南部にある学校では、イスラム教徒と仏教徒の子供たちが仲良く勉強していた (2012年6月)

 堀場は「好きじゃないとできない。あちらこちら飛び回って話をし、そうしたことが形になったとき喜びを感じる」と、顔をほころばせる。
 プラユット政権下では今日に至るまで、和平対話は継続されている。傍らには堀場が寄り添い、中山と二人三脚で並走し続けている。
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