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随想一筆

【Faces of SPF】躍動する女性たち(1)

紛争続くタイ深南部に和平を 堀場明子

特任調査役 青木伸行


2018.07.10
37分
 女性の社会進出と地位向上、エンパワーメントが叫ばれて久しい。笹川平和財団の職員は約110人。このうち女性が5割以上を占め、財団が展開するさまざまな事業などを牽引している。そこには苦労もあれば、喜びもある。躍動する女性たちにスポットを当て、事業とともにシリーズで紹介する。
◇
 もう何度この地に足を踏み入れたことだろう―。2018年5月中旬、ひとりの日本人女性の姿が、マレーシアとの国境に近いタイの「深南部」と呼ばれる地域にあった。堀場明子。笹川平和財団の「アジアの平和と安定化事業グループ」に身を置き、主任研究員として奔走する平和構築の専門家である。
 タイの首都バンコクから南へ1千キロ以上、マレー半島の中部に位置する深南部とは、ナラティワート、ヤラー、パッタニーの3県と、ソンクラー県のうちの4郡(テーパー、チャナ、サバーヨーイ、ナッタウィー)を指す。仏教徒が全人口(約6900万人)のおよそ95%を占め、イスラム教徒は4%ほどにすぎない仏教国のタイにあって、深南部では約200万人の住民の8割が、マレー系イスラム教徒である。
 彼らはこの地域を「パタニ」と呼ぶ。もともと深南部と、マレーシアのクランタン、トレンガヌ両州を含めた地域は、14世紀後半に成立した「パタニ王国」であった。自らを「パタニ・マレー」と自負し、「タイ人」というアイデンティティはもち合わせていない。言葉も、訛りのあるパタニ方言のマレー語を話す。文字は、マレー語をアラビア文字で表記する「ジャウィ」だ。タイにあって極めて異質な土地柄なのだ。
 この地では、「パタニ」の分離・独立を求めるマレー系武装組織と、タイ政府・軍との紛争が長年にわたり続いている。堀場がタイから日本へ帰国した直後の5月20日も、20カ所以上で、武装組織が仕掛けた爆弾が同時多発的に爆発し、タイ軍兵士の詰め所が銃撃された。こうした事件は、武力抗争が激化した2004年以降だけで、1万6千件を超え、7千人以上の死者を出している。深南部一帯には恒常的に戒厳令が敷かれ、軍兵士や民兵などが、1887カ所にものぼる検問所で、不審な車両や人物などに目を光らせている。
タイ深南部の幹線道路には、いたる所に検問所が設けられている

タイ深南部の幹線道路には、いたる所に検問所が設けられている

 だが、紛争の内実は、より複雑怪奇である。数ある事件の中には、軍の「自作自演」のものもあるという。軍や警察に情報を漏らしたり、民兵として雇われたりしたパタニの若者らは、武装組織に「裏切り者」として殺害される。住民の間の傷は深い。
 タイ深南部は、政治的な解決がないまま泥沼に陥っているのである。
 そこになぜ、堀場が頻繁に足を運んでいるのか。笹川平和財団の事業として、タイ政府・軍と武装組織の双方に足場を置き、人的ネットワークを築きながら、両者の和平対話を仲裁、調停するという、決して一筋縄ではいかないミッションを自らに課しているのである。
 堀場はナラティワートとヤラーにある、とある2つの村をそれぞれ訪れた。武装組織のメンバーは村人に紛れている。勢い、軍は村に押し入り、とりわけ若い男たちを連行しては拘留する。村人が口を開いた。
 「この村では、すべての若い男たちが連れていかれたことがあります。1カ月前には100人ほどの兵士が来て、指紋や、DNAの試料を採取された」
 別の村の住民は「拷問を受け告白を強要されました。裸にされて水を浴びせられ、何度も殴られた」と打ち明ける。
 釈放される者もいれば、起訴される者もいる。連行や拘留を恐れ、隣のマレーシアへ逃げ込む者は後を絶たない。
イスラム教徒の村で、女性の住民から話を聞く堀場明子(写真左上)

イスラム教徒の村で、女性の住民から話を聞く堀場明子(写真左上)

 治安維持と人権は、真正面から衝突するのが常である。だが、拷問のような人権侵害が許されていいはずはない。人権侵害から住民らを守り、起訴された彼らを法廷で弁護する法律家集団の非政府組織(NGO)に、「ムスリム弁護士センター」(MAC)がある。関係者は「裁判になっても、証拠がなく自分達が勝訴する場合が多い」と言う。
 堀場はMACをはじめ26のNGOを支援し、密接に連携している。個別に活動していた異なるNGOを束ね、ひとつのネットワークとして機能させもした。
 「一緒に活動した方がいいと考え、皆に呼びかけてまとめた」と、堀場は話す。
 堀場はヤラーでイスラム教のイマーム(指導者)と会い、ナラティワートでは仏教寺院に高僧を訪ねた。イマームも高僧も「この紛争は宗教紛争ではない。和平対話を進め平和的に解決することが重要だ」と、口をそろえた。
 「今度、イスラム教徒の人たちと、この仏教徒コミュニティーを訪れたい」。
 堀場は高僧に申し出た。
 パッタニーのホテルでは、仏教徒の集会が開かれていた。堀場を通じ笹川平和財団が支援するNGOが主催したものだ。45人が集まり、いくつかのグループに分かれて和平の在り方などについて議論している。「暴力では問題は解決しない」「対話はテーブルの上にあるだけで、生活は何も変わらない」。和平を希求するが、果たして実現するのだろうか…。参加者のそんな思いがうかがわれた。
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