Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第582号(2024.11.05発行)

事務局だより

瀬戸内千代

◆発行日の本日11月5日は、「世界津波の日」です。そこで今号には、海の防災にまつわる5編をご寄稿いただきました。
◆日本政府は東日本大震災の3カ月後の2011年6月に、津波から国民の生命を守る目的で「津波対策の推進に関する法律」を公布し、その中で、1854年の「稲むらの火」の逸話にちなんだ11月5日を「津波防災の日」と定めました。2015年には、国連が同日を「世界津波の日」※1と定め、国境を越えて津波対策を考える日となりました。内閣府は、「津波防災の日」スペシャルイベントとして、毎年11月5日に専門家による講演会などを実施しており、第5回(2020年)以降のアーカイブ動画を「津波防災特設サイト」※2で公開しています。
◆同サイトの今年のポスター(図)が促しているように、津波に直面した時は、とにかく「逃げる」ことが最優先となります。今号のご寄稿にある犠牲者の行動記録や辛い被災体験談、民話として受け継がれてきた伝承※3などに学び、人を待ったり、海や川に近い自宅や職場に戻ったりせず、各自の判断で、迅速に、高い場所へ逃げることが大切です。同サイトでは、事前の対策として、「津波リスクの高い地域」「非常用持ち出し品」「津波避難施設などの安全な場所」「避難ルート」などの確認を呼びかけています。旅先でも、海の近くでは「津波避難ビル」マークが付いている建物や「津波避難タワー」など、素早く垂直移動ができる施設を把握しておくと安心です。
◆高所へ登ることが困難な状況では、水に浮くことが推奨され、場所によっては、津波救命艇※4や移動式小型津波避難シェルター、救命ボートなどが用意されています。より身近な防災グッズとしては、ライフジャケットのほか、水に浮くベンチやソファー、椅子、車シートカバーなどがあり、国土交通省の津波・洪水用の「避難ツールカード」※5には、ペットボトルで手作りする簡易救助器具も紹介されています。
◆場所を知っていても的確なルートで逃げられるか、グッズを持っていても正しく使用できるか、想像してみると不安になります。津波対策は内陸の水害にも役立ちます。いざという時、とっさに行動できるように、年に一度は、地域や家庭で話し合いや避難訓練をしておきたいものです。(瀬戸内千代)
津波防災特設サイトのポスター
※1 崎山光一著「稲むらの火は世界津波の日へ繋がった」本誌第414号(2017.11.05発行)
https://www.spf.org/opri/newsletter/414_1.html
※2 内閣府「津波防災特設サイト」 https://tsunamibousai.jp/
※3 沼田心之介著「海の民話を語り継ぐ意義」本誌第484号(2020.10.05発行)
https://www.spf.org/opri/newsletter/484_3.html
※4 丸山研一著「浮いて生き延びる~津波から身を守る新しい発想「津波救命艇」~」本誌第311号(2013.07.20発行)
https://www.spf.org/opri/newsletter/311_3.html
津波救命艇の普及を進める会(2022年発足) https://www.tsunamikyumeitei.jp/
※5 国土交通省「大規模水災害時の避難手法検討ガイドブック(案)別添3 避難ツールカード」 
https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/bousai/hinan_guidebook/pdf/06_hinan_toolcard.pdf

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