【プロフィール】
アリバム・シャム・シャルマ(Aribam Syam Sharma)
1936年生まれ(84歳)。インド北東部マニプール州インパール出身。インドを代表する映画監督であり、これまでに13本の劇映画、31本の短編・ドキュメンタリー映画を製作。4本目の長編劇映画作品「Imagi Ningthem (My son, My precious)」は1983年フランスのナント三大陸映画祭にて、金の気球賞(グランプリ)を受賞し、1990年「Ishanou (The Chosen One)」は、カンヌ映画祭にインド映画で初めて正式招待された。哲学者として大学で教鞭を取り、詩人、作曲、歌手としても活躍。2006年にインド政府から、その貢献をたたえ、「パドマ・シュリ賞(文化・芸術・科学・スポーツ等に多大な貢献をした人物に与える勲章)」を授与された。
YIDFF2019では3作が上映された。「マニプールの蘭」(1993)、「ライハラオバの踊り」(1995)では、マニプール州の花をはじめとする自然、伝統的な音楽と踊りにスポットを当て、「アルナーチャル州モンパの民」(2001)ではアルナチャルプラデシュ州のブータンに近い山岳地に暮らし、チベット仏教を信仰するモンパ族の暮らしの様子を伝えた。
ハオバム・パバン・クマール(Haobam Paban Kumar)
インド北東部・マニプール州出身の映画監督。コルコタのサタジット・レイ映画テレビ学院を卒業後、アリバム・シャム・シャルマ監督に師事し、精力的にドキュメンタリー映画を中心に製作。ナショナル・アワードを筆頭に受賞経験も多く、ベルリン、釜山など国内外の映画祭でも広く上映されており、インド北東部の映画人の中心的存在である。
YIDFF2019では、インド北東部最大の淡水湖に点在する浮島に暮らす漁民と、漁民の生活排水によって湖水が汚染されているとして家々に火を放ち、重機で破壊するマニプール州政府との対立を撮影した「浮島に生きる人々」(2014)が上映された。
ピンキー・ブラフマ・チョウドリー(Pinky Brahma Choudhury)
インド北東部・アッサム州コクラジャル出身の映画監督。インド映画テレビ学院(FTII)研究科課程修了。1992年から自主映画監督として活躍。学生時代の短編映画『Ether』(35ミリ)は多くの映画祭に出品された。テレビ番組制作で活躍し、近年は若手・女性の監督育成に力を入れ、プロデュースを多く手掛けている。
今回、YIDFF2019で上映された『秋のお話』は、内外で高い評価を受け、1999年、YIDFFの「アジア千波万波」のプログラムでも上映された。同作品では、自身の出身地である、アッサム州ボドランドにおいて、自治を求める先住民族ボド族による独立運動が武装闘争として泥沼化し、コミュニティも崩壊に瀕していくなかで、毎年秋に村の人々に演じられる音楽、歌、踊り、立ち回りの民俗劇に焦点を当てた。