Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第285号(2012.06.20発行)

第285号(2012.06.20 発行)

インフォメーション 国連持続可能な開発会議(リオ+20)と海洋について

United Nations Conference on Sustainable Development
20-22 June 2012 Rio De Janeiro

これまでの経緯

1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)において国連環境開発会議(UNCED、いわゆる「リオ地球サミット」)が開催され、持続可能な開発の原則に関するリオ宣言と、それを達成するための国際的取り組みの行動計画である「アジェンダ21」が採択されました。その17章が、「海洋、閉鎖性及び準閉鎖性海域を含むすべての海域及び沿岸域の保護、及びこれらの生物資源の保護、合理的利用及び開発」として、海洋に関するものです。
この地球サミットから10年目にあたる2002年には、これらの計画の見直しや新たに生じた課題等について議論するため、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD、リオ+10)※1が開催され、「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」とWSSD実施計画が採択されました。これは、各国が直面する環境、貧困等の課題を述べた上で、清浄な水、衛生、エネルギー、食料安全保障等へのアクセス改善、国際的に合意されたレベルのODA達成に向けた努力、ガバナンスの強化などのコミットメントを記述したものです。海洋に関しては、改めて国連海洋法条約およびアジェンダ21が海洋に関する基本的な法的・政策的枠組みであることを確認して、「第4. 経済・社会開発の基礎となる天然資源の保護と管理 29.~34.」と「第7. 小島嶼国における持続可能な開発」の中に海洋と沿岸域の管理並びに小島嶼国の問題に関する実施計画などが書き込まれました。

リオ+20

ブラジル政府は、1992年の地球サミットから20周年を迎える機会に、同会議のフォローアップ会合を行うことを提案し、2009年の第64回国連総会で開催が決定されたもので、2012年6月20日(水曜日)~22日(金曜日)までの3日間、リオ・デ・ジャネイロにおいて、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」※2が開催予定となっています。
リオ+20には各国から首脳レベルの出席が見込まれており、これまでの取り組みに関する進捗状況および残された課題の評価、新たに現れつつある課題への対処が予定されています。今会議では、以下の2つのテーマに関する政治的文書が合意されることが期待されています。
(1)持続可能な開発および貧困根絶の文脈におけるグリーン経済(green economy)すなわち、環境リスクや生態系の希少性を減少させつつ、人間の福祉や社会的衡平性を改善させた経済への移行。
(2)持続可能な開発のための国際的な制度的枠組み。

提言書の提出

■6月16日に開催される「オーシャンズ・デイ・アット・リオ+20」のプログラム。

2011年11月1日に、各国、そしてNGOなどのステークホルダーからのインプットが提出され、リオ+20成果文書の草案の基礎とされました。成果文書の交渉は、2012年1月以降、ニューヨークおよびパリにおいて行われました。
わが国では、国内準備委員会が2011年5月に設立され、ステークホルダー間の情報共有や意見交換、リオ+20に関するワークショップの企画・立案などの活動を実施し、ワークショップにおける意見に基づき、リオ+20国内準備委員会としての意見・提言を取りまとめ、リオ+20事務局に提出しました。これは、グリーン経済への移行に向けての道程を提案しているほか、わが国として深い知見を有する9つの主要セクターに関する提案※3をするものです。その中で海洋に関しては、自然災害リスクの軽減、気候変動・エネルギー、食料安全保障、水資源、生物多様性、海洋資源、地球観測システムの構築の項目で触れられております。
また海洋政策研究財団は、国連経済社会理事会のNGO資格(Special)を活用して、これまでの研究成果に基づいて提言書「Rio+20への提言」※4を提出しました。その主な内容は、A)海洋のアジェンダが国際社会に明確に理解されるよう独立した章を設けるべき、B)これに付随して、「総合的な海洋政策の策定推進」「島と周辺海域の管理」「海事産業の持続的発展」「市民への教育」および「海洋災害への対応」の5つの分野における取り組みが必要、というものです。

オーシャンズ・デイ

リオ+20のサイドイベントとして6月16日(土曜日)には、20日からの政府会合に向け、海洋・沿岸・島嶼の持続可能な開発への取り組みの機運を盛り上げ、政治的意思を高揚させることをねらいとして、「オーシャンズ・デイ」が開催されます。このイベントは、海洋政策に関する世界的なフォーラムであるグローバル・オーシャン・フォーラムのほか、中国国家海洋局、地球環境ファシリティ(GEF)、国連開発計画(UNDP)、海洋政策研究財団および米国・デラウェア大学が共同で開催します。政府機関、国際機関、産業界、学界等からハイレベルの参加者が一堂に会し、海洋分野でのこれまでの国際分野での取り組みの成果や残された課題を検証し、今後の行動について意思表明を行うとともに、「リオ+20海洋宣言」をとりまとめ、発表します。
海洋政策に関する様々な提言やオーシャンズ・デイの開催がリオ+20の成果文書にどのように反映されるか、大いに注目されるところです。

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