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【参加報告】気候変動枠組条約COP26 ― COP26において海洋対話の継続が決定

2021.11.18
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第26回締約国会議(COP26)(於:英・グラスゴー)が閉幕しました。笹川平和財団海洋政策研究所はNGOの資格で参加し、多くのイベントを主催・共催しました(後述)。
海洋政策研究所からの参加者写真

海洋政策研究所からの参加者(COP26会場にて、左より前川・松田・角田)

今回のCOPにおいて海洋分野では、2020年12月に「科学及び技術上の助言に関する補助機関」(SBSTA)の下で初めて公式に開催された「海洋と気候変動に関する対話」(以下、海洋対話)の継続開催の是非が論点となりました。この対話は、気候と海洋の連関やそれらに係る諸課題についての理解を促進するとともに、海洋を基盤とした気候変動の緩和と適応行動をどのように強化するかについて締約国、非締約国、非国家アクター(国際機関、市民社会組織、研究機関など)が議論するために設定されたものです。海洋対話の開催は2019年に開催されたCOP25の決定で付与されたマンデートに基づいており、本年6月のUNFCCC/SB期間中に開催された海洋に関する非公式会合では、昨年12月に開催された海洋対話のSBSTA議長非公式サマリーに基づき各国間で意見交換がおこなわれ、海洋対話の継続開催が数か国から提案されるなど、海洋に関して包括的に議論を行う場を確保するための政府間交渉が継続されてきました。海洋政策研究所も、UNFCCC海洋コミュニティの一員として、サブミッション等を通じて海洋対話継続開催への支持を表明し、各国にはたらきかけてきました。

それらが結実したCOP26の合意文書「グラスゴー気候合意」1/CP.26(※advance unedited version)では、2022年6月の第56回SBSTA会合以降、海洋対話を毎年開催することが決定されるとともに、UNFCCCの下の関連作業計画・機関に対し、既存のマンデートの範囲内でどのように海洋を基盤とした行動を強化・統合していくべきか検討して報告するよう、招請されました(paras.58,60-61)。また、この文書では、世界の気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求し、各国は2022年に2030年までの排出目標(国が決定する貢献:NDC)を再検討し強化すること、適応策を拡大し、未達となっている先進国による開発途上国への年間1,000億ドルの資金拠出を2025年までに達成することなどが合意されました。各国のこのような取組みを促進し支援するためにも、海洋対話の定期的な開催により多様なアクターが継続的に議論を行う場を設置したことは、意義深いと言えます。

この海洋対話の継続開催などを目指し、海洋政策研究所はCOP26において、UNFCCC公式サイドイベントや、マラケシュパートナーシップ (MPGCA)の海洋沿岸域イベント(Oceans Action Day)、日本パビリオンでの海洋と気候変動に関するイベント(2件)などを各国NGOや国際機関などと共催し、海洋からの緩和・適応に関する研究成果の発信や国際的な海洋グループとの連携促進を行いました。また、コロナ下にあっても、世界じゅうの海洋関係者がCOP26に参加できるよう、オンラインでの議論の場であるヴァーチャル・オーシャン・パビリオン(VOP)を立ち上げました。

海洋政策研究所が主催・共催したイベントは以下の通りです。

◆11月1日(月) 9時~10時半(日本時間18時~19時30分)
VOPオープニングイベント(オンライン開催)
オープニングに笹川平和財団・角南篤理事長が登壇しました。オープニングイベントに続く、19時30分からの海洋分野でのファイナンス等に関するハイレベルイベントでは、前川美湖主任研究員が登壇しました。開催報告はこちらをご覧ください。

◆11月4日(木) 15時~16時15分(日本時間5日0時~1時半)
気候変動と沿岸都市の適応をテーマとした日本パビリオンでのイベント「Stemming the Tide: Innovative Tools and Actions to Aid Coastal City Adaption and Improve Resilience」(共催:笹川平和財団海洋政策研究所、米国スティムソン・センターほか)
開催の概要はこちらを、動画公開についてはこちらをご覧ください。

◆11月4日(木) 16時45分~18時(日本時間5日1時45分~3時)
UNFCCC公式サイドイベント「Ocean solutions: Coordination and collaboration for ocean-based mitigation and adaptation」(共催:笹川平和財団海洋政策研究所、プリマス海洋研究所、World Ocean Networkほか)
角田智彦主任研究員が登壇しました。開催報告はこちらから、動画はこちらからご覧ください。

◆11月5日(金) 14時30分~17時30分(日本時間23時30分~翌2時30分)
マラケシュパートナーシップ (MPGCA)の海洋沿岸域イベント「レジリエントでネイチャー・ポジティブかつネットゼロの未来のための健全で生産性の高い海洋(A healthy and productive ocean for a resilient, nature-positive and net-zero future)」(Oceans Action Day)
前川美湖主任研究員が登壇しました。イベントの様子はこちらからご覧いただけます。また、開催報告はこちらからご覧ください。

◆11月6日(土) 10時30分~12時(日本時間19時30分~21時)
国連海洋科学の10年をテーマとした日本パビリオンでのイベント「The Ocean Decade: Catalysing Climate Action in Asia and the Pacific」 (共催:笹川平和財団海洋政策研究所、UNESCO-IOC)) 開催の概要はこちらからご覧ください。

◆11月12日(金) 15時~16時15分(日本時間13日0時~1時半)
VOPクロージングイベント(オンライン開催)
海洋政策研究所・阪口秀所長がモデレータをつとめました。
 

VOPではCOP26期間中、この他にも様々なイベントを開催しました。VOPに登録を頂くと動画をご覧いただけます。

このほか、海洋政策研究所の公式Twitter(@OPRI_SPF)でも、COP26の様子を紹介しています。以下主なツイートで、日付は発信時です。
オープニング角南理事長登壇 (11/1) | VOP前川美湖主任研究員登壇 (11/1) | 期間中VOP共催 (11/2) | 日本パビリオンイベント (11/4) | Oceans Action Day (11/5) | UNFCCC 角田主任研究員登壇 (11/4) | 日本パビリオンイベント (11/5) | クロージング阪口所長登壇 (11/12)

海洋政策研究所は、今後も、UNFCCC海洋コミュニティの一員として、海洋対話やマラケシュパートナーシップを通じて、UNFCCCにおける海洋を基盤とした行動の強化に貢献していきます。

(文責:海洋政策研究所 藤井麻衣、角田智彦、前川美湖)

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