笹川平和財団

English
  • 財団について
    • 財団について
      • 財団について
      • 沿革
      • 事業方針・5つの重点目標
      • 評議員・名誉会長・役員名簿
      • ダイバーシティ&インクルージョン
      • 財務報告
      • 定款
      • 役員の報酬・退職金に関する規程
      • より良い調査研究への取り組み
      • 笹川名誉会長対談のアーカイブ
      • 2017年度までの事業について
    • 理事長からのご挨拶
    • ブロシュア・年次報告書
    • アクセス
    • Idea Submission
    • 採用情報
    • お問い合わせ
  • 研究員
  • 事業
    • 日米・安全保障研究ユニット
    • 総括・交流グループ
    • 安全保障・日米グループ
    • 戦略・抑止グループ
    • アジア・イスラム事業ユニット
    • 第1グループ:戦略対話・交流促進担当
    • 第2グループ:平和構築支援担当
    • 第3グループ:社会イノベーション推進担当
    • 笹川日中友好基金
    • 海洋政策研究所
    • 海洋政策実現部
    • 島嶼国・地域部
    • 奨学ユニット
    • 笹川奨学金事業グループ
  • リポート
    • 報告資料・出版物
    • 各種レポート
    • シンポジウム・講演会録
    • SPF NOW
    • 随想一筆
    • 新型コロナウイルス 日本と世界
    • 動画
    • 地域別新着情報
    • アメリカ
    • 北東アジア地域
    • 東南アジア地域
    • 南アジア地域
    • 中東地域
    • 大洋州地域
    • ヨーロッパ・ユーラシア
    • 北極域
    • アフリカ
    • サテライトサイト
    • 国際情報ネットワークIINA
    • SPFチャイナオブザーバー
    • アジア女性インパクトファンド
    • 島嶼資料センター
    • WMU友の会ジャパン
    • SPF日米関係インサイト
    • 海洋情報FROM THE OCEANS
    • 海洋教育パイオニアスクールプログラム
    • アジア平和構築イニシアティブAPBI
    • 碩果累々 継往開来 —笹川日中友好基金の軌跡—
    • サイバー安全保障研究
    • ロシアと世界
    • 日中関係データグラフ
  • ニュース
    • 新着情報
    • プレスリリース
    • メールマガジン
    • メディア掲載
  • イベント
  • 笹川奨学金
第3グループ(社会イノベーション推進担当)

社会的起業が拓くアジアの未来

ジェンダー視点が起こすイノベーション

ジャーナリスト 治部れんげ


2020.02.06
12分

現地レポートシリーズ

Vol. 3
無農薬野菜を美味しく食べられるスナック製品に!
-親子の笑顔と健康を目指す20代女性起業家

経済発展を続ける東南アジア諸国では、起業家女性の活躍が目立つ。最大の理由は日本と異なり企業などに雇われて働く機会が少ないことだ。特に農村部では、起業は女性が経済力を持つための唯一の選択肢と言える。笹川平和財団はインドネシア、ミャンマー、カンボジア、フィリピンの東南アジア諸国で、女性起業家の支援を行っている。今回はインドネシアの首都ジャカルタと郊外で現地取材を行い、この地域で働く女性起業家や、彼女たちを支援するエンジェル投資家、起業家支援の仕組みを取材した。高等教育を受け外資系企業などで就労経験を持つ女性たちが、同じ国に住む貧しい女性たちの地位向上のため、ビジネスを通じた社会変革に取り組んでいる。

子どもに食事を作った経験がある人は「野菜を食べさせること」で苦労した経験があるのではないか。小さく刻んだり、食べやすいように味付けしたり。大人が食べて欲しい野菜は味にくせがあり、子どもは敬遠することが多い。

こんな悩みを解決してくれそうなのが、食べやすく加工した野菜だ。サンクリスプス(Sunkrisps)社は、枝豆やにんじんをベースにした離乳食、ポップコーンやチップスなどに加工した野菜を提供する。特徴は農薬を使わない野菜を原材料としていること、栄養価の高いケールをチップスにした製品や、粉末ケールをまぶしたポップコーンなどを開発していることだ。

共同創業者のサンドラ・アルフィナ(Sandra Alfina)さんにインタビューした。

――もともと、食品会社で働いていたのですか?

 サンドラさん(S): いいえ。私も共同創業者の夫も化学エンジニアで、別々の外資系石油会社で働いていました。大学ではずっと白衣を着て実験していました。石油会社では、遠方にある採掘施設に泊まり込んで2日、3日と働くのが普通でした。そういう生活を2年間経験して、体調を崩してしまい退職したのです。退職後はヨガをしたり、料理をしたりしていたら、心身ともに健康になりました。自分の経験から、どうしたら、他の人々が健康に暮らせるだろうか、と考えるようになりました。難しいのは、健康に良いことと実践のギャップです。例えば野菜は健康に良いですが、子どもは野菜が好きではありません。

――最初に手掛けた製品は何でしたか?

S:ケールで出来たチップスです。バリ島では人気があり栄養価も高いお菓子ですが、ジャカルタにはあまりなかったので、作ってみよう、と思いました。子どもに食べて欲しかったので、美味しいことに加えて塩味を濃くしない工夫をしました。続いて、より一般的に食べられているポップコーンも作るようになりました。

創業して今年で5年になります。2015年から2017年まで製品開発をしました。インドネシア政府が提供する起業家のインキュベーションプログラムなどを受けてビジネスについて学びました。 

事業を拡大できたのは、起業家のアクセラレータープログラムで2万5000ドルの資金提供とメンターの助言を受けられたことが大きいです。初期の起業家にとって、銀行融資は条件が厳しいため、こうしたプログラムに受かって資金調達できることは、大変ありがたいのです。

――製品はどういったところで販売していますか?

S: 国内300のスーパーマーケットで取り扱いがあります。半年前にはインターネット上でも販売を始めました。

当社の製品は、材料に無農薬野菜を使っています。子どもの健康のためには多少高くても払おう、という消費者層が対象です。例えばケールチップスでいうと、一般的な製品と比べて価格は4倍程度。こうした製品を購入する層はインドネシア人口の15%程度と推計されていて、高級路線のスーパーマーケットで扱ってもらっています。

――インドネシアは中国、インド、米国に次いで人口の多い国です。現在、約2億5800万人、毎年500万人も増えていますから、そのうち15%は大きな市場で有望ですね。
 ところで先ほどオフィスを拝見したら働いている方は皆さん、女性のようでした。

S: はい。今、創業者を含め15名の社員がいます。うち13名が女性です。専門学校を出た女性たちで、財務、品質管理や原料調達などを担当するオフィス勤務と、製造担当がいます。


起業をして良かったのは、多くの人に影響を与えられることです。当社で働く女性だけでなく、消費者の9割が女性、その多くが母親です。6つある契約農場の半分は女性が経営しています。小規模でも健康や環境に優しい農法を学んで実践する意欲のある農場を探して契約していて、そういう農場は女性経営者が多いのです。

この後、サンドラさんの案内により、会社オフィスから車で30分のところにある契約農場を見学させてもらった。虫除けネットで囲まれた農場は整然と整備されており、水耕栽培も手掛けている。農場のオーナーと思しき女性は小さな女の子の母親だった。

―― 一般論として、女性は起業する時や事業を大きくする時に壁にぶつかることが多いと言われます。家事や育児の負担が男性と比べて大きかったり、資金調達しにくかったり、といった話を聞きます。ご自身、そうした壁をお感じになったことはありますか?

S: 私自身はWoman(女性)とはHuman(人間)であって、女性は男性と同じことができる、と思っています。

幸運なことに、夫も同じ業界で働いていたので仕事に対する理解がありました。「一緒に起業しましょう」と私が説得したところ、共同経営者になってくれました。今はCFO(財務責任者)をしています。私は大きなビジョンを追うタイプで、夫は現実的なタイプ。性格が違う2人が一緒に経営することでバランスが取れています。

――日本の女性リーダーも、家族の協力について、とても大切と話す人が多いです。

S: 最初、両親からは起業をすることについて反対されましたが、私たちミレニアル世代は、より自分が納得のいく方法で働き、社会に貢献したいと考えています。自分たちの価値観に沿ってキャリアを決めることができました。

夫とは趣味のマーチングバンドで知り合いました。働いていたのは別々の会社でしたが、どちらも欧米系で男女平等、ハラスメントを許さないといった良い企業文化を持っていました。そういう環境で働くことで、私たちは今のような対等な関係になったのかもしれません。パートナーは人生にも仕事にも大きな影響を与えますから本当に大事ですよね。

――サンドラさんのご経験は、日本の働く女性も共感するところが大きいと思います。問題意識やご経験が重なります。

S: 一方で既婚の友人から「起業したいけれど、なかなか難しい」という話を聞いたことがあります。都市に住む女性も壁を感じるほどですから、地方の女性はもっと大変ですよね。

私自身は大きな困難を経験してはいませんが、アクセラレータープログラムを提供してくれたインステラ―(Instellar)社にはジェンダー視点があるのが、とても良かったです。このプログラムでは、先ほどお話した資金に加えてマーケティングのメンターを得ることができました。

当社はジャカルタ通勤圏ですから、プログラムに参加した時は電車で通いました。こういうことも、子育て中だったり、遠い村に住んでいたりしたら大変でしょうね。

――会社として次の目標はありますか?

S:生産能力にはまだ余裕がありますから、輸出もしていきたいと思っています。工場の衛生管理を含め、技術的なことは前の仕事が生きていますし、もっと多くの人、特に子ども達に健康的な食生活をしてほしいです。

大企業での経験を生かし、健康や子どものためになる事業を興したサンドラさんの経験は、日本の都市部で働く女性の関心にも通じる。特に「起業は多くの人にインパクトを与える」という指摘は示唆に富む。

サンドラさんの起業は自社の雇用に留まらず、消費者、契約農家と広範囲に影響を及ぼしており、恩恵を受ける人の大半が女性である。向上心のある小規模農家の女性が、サンクリスプスとの契約を通じて、質の高い野菜の栽培方法を学ぶ機会を持っていることも重要だ。こうした農家は今後、高付加価値の農作物を作り収入を増やす可能性が出てくる。

また、キャリアを考える際、夫婦の対等な関係がキーワードになっているのも興味深い。家庭内のジェンダー平等は女性起業の助けになり、その影響が広い範囲に及ぶのである。

次回記事では、サンドラさんが参加し「ジェンダー視点があって良かった」と述べる起業家のアクセラレータープログラムを提供するインステラ―(Instellar)に焦点を当てる。同社は笹川平和財団がオーストラリア政府などと連携して開発した女性起業家支援のツール「ジェンダー・レンズ・インキュベーション&アクセレレーション・ツールキット」に開発協力している。


連載記事はこちらからもご覧いただけます。
Vol.1 企業経営からエンジェル投資家へ -日本・インドネシアにルーツを持つ女性がエグゼクティブの生活を捨てた理由
Vol.2  道端での出産、赤ちゃん死亡をなくしたい! 高校時代の親友3人組が立ち上げた農村女性支援ビジネスとは
Vol.4 社会起業家支援にジェンダー視点を入れると -「暗黙バイアス」に気づき、女性起業家が増える
Vol.5 起業家の死活問題、資金調達 ―女性特有の困難とは? どう乗り越える?

第3グループ(社会イノベーション推進担当)
Share

関連記事

Latest News

第3グループ(社会イノベーション推進担当)

【開催報告】国際セミナー「海面上昇と気候変動への適応:モルディブ人工島フルマーレの事例と国内移住政策」

笹川平和財団(SPF)は、日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF研究財団)、モルディブ国立大学(MNU)、モルディブ住宅開発公社(HDC)との共催で、モルディブで進められている人工島の造成と整備による気候変動への適応策を取り上げるとともに、モルディブにおける伝統的な移住と気候変動に関連した移住の原因と背景について、モルディブにおける移住の変遷を明らかにするセミナーを企画・実施した。

2025.05.08
第3グループ(社会イノベーション推進担当)

【イベント報告 】 アジア・フィランソロピー会議2024

笹川平和財団はアジアにおける事業活動を展開するにあたって、近年成長の著しいアジアのフィランソロピー(公益事業 / 財団)関係者との協働を重視しています。2024年11月29日に、日本財団主催による「アジア・フィランソロピー会議2024」が東京ステーションホテルで開催され、笹川平和財団もパートナーとして参加しました。本会議は、アジア地域における社会課題解決に取り組む財団等の組織を招へいし、連携と協働を促すためのもので、今回で3回目となります。第3回のテーマは「Diversity, Equity & Inclusion (DE&I、多様性、公平性、包括性)」で、アジアにおいてすべての人が取り残されることのない社会の実現を目指し議論を行うものです。

2025.01.14
第3グループ(社会イノベーション推進担当)

移住労働者の児童の就学促進事業を開始

笹川平和財団、タイ教育省、国際労働財団および野毛坂グローカルは2024年9月13日に「タイと日本の学び合いによる移住労働者の児童の就学促進」のオフィシャルローンチセレモニーをバンコクにて開催いたしました。

2024.10.15
もっと見る

pagetop

Video Title

Footer

笹川平和財団

  • 財団について
  • ニュース
  • 研究員
  • イベント
  • 事業
  • アクセス
  • リポート
  • お問い合わせ

最新情報

SPF(笹川平和財団)の最新情報をメールでお届けするサービスです(購読無料)。 講演会やシンポジウム等のイベント情報、サイト更新情報、報道発表資料などをご案内いたします。

メールマガジンの登録

サテライトサイト

  • 海洋情報FROM THE OCEANS
  • WMU友の会ジャパン
  • アジア女性インパクトファンド
  • SPF日米関係インサイト
  • 国際情報ネットワークIINA
  • 海洋教育パイオニアスクールプログラム
  • 島嶼資料センター
  • SPFチャイナオブザーバー
  • アジア平和構築イニシアティブAPBI
  • 碩果累々 継往開来 —笹川日中友好基金の軌跡—
  • サイバー安全保障研究
  • ロシアと世界
  • 日中関係データグラフ
  • プライバシーポリシー
  • サイトポリシー
  • SNSポリシー
  • サイトマップ
  • ウェブアクセシビリティ

Copyright © 2022 The Sasakawa Peace Foundation All Rights Reserved.