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第3グループ(社会イノベーション推進担当)

社会的起業が拓くアジアの未来

ジェンダー視点が起こすイノベーション

ジャーナリスト 治部れんげ


2020.01.30

現地レポートシリーズ

Vol. 2
道端での出産、赤ちゃん死亡をなくしたい!
-高校時代の親友3人組が立ち上げた農村女性支援ビジネスとは

経済発展を続ける東南アジア諸国では、起業家女性の活躍が目立つ。最大の理由は日本と異なり企業などに雇われて働く機会が少ないことだ。特に農村部では、起業は女性が経済力を持つための唯一の選択肢と言える。笹川平和財団はインドネシア、ミャンマー、カンボジア、フィリピンの東南アジア諸国で、女性起業家の支援を行っている。今回はインドネシアの首都ジャカルタと郊外で現地取材を行い、この地域で働く女性起業家や、彼女たちを支援するエンジェル投資家、起業家支援の仕組みを取材した。高等教育を受け外資系企業などで就労経験を持つ女性たちが、同じ国に住む貧しい女性たちの地位向上のため、ビジネスを通じた社会変革に取り組んでいる。

前回記事(Vol. 1 企業経営からエンジェル投資家へ-日本・インドネシアにルーツを持つ女性がエグゼクティブの生活を捨てた理由)では「お母さんが笑顔になれること」「インドネシアの中下層の人が恩恵を受けること」を基準に社会起業家を支援するエンジェル投資家のマリコ・アスマラさんを紹介した。この記事では、マリコさんから投資や助言を受けて事業を拡大した企業のひとつ、Du Anyamを取り上げる。共同創業者でCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)のメリア・ウィナタ(Melia Winata)さんに話を聞いた。

――どんなビジネスをしていますか?

メリアさん(M): インドネシアのフローレス島とパプアの女性たちが草など自然素材で編んだ物を製品化して販売しています。最初の製品はバリのホテルに納品したスリッパでした。 日本のお客さんもいます。JALの機内販売や、京都のホテル、東京の三越で期間限定販売をしたこともあります。日本の雑誌にも掲載されました。

――起業したきっかけを教えてください。

写真 Agus Sanjaya撮影

M: 私たちは高校時代の友人3人で起業しました。大学は別々で、私はオーストラリア、他の2人はそれぞれアメリカと日本で学びました。休暇でインドネシアに戻るたび、会って意見交換していたのです。2012年にアメリカで学んだアユ(現CEO)から「社会的起業」というアイデアを教えてもらいました。アユは公衆衛生に関する仕事の経験があり、日本で学んだハンナ(現CCD:地域開発責任者)は国際NGOで働いたことがあり、地域開発支援の経験がありました。

――活動地域はどうやって選びましたか?

写真 Agus Sanjaya撮影

M: 2013年、フローレス島に行き、課題発見のためヒアリングをしました。ハンナの親戚が住んでいて縁があったためです。

フローレス島は色々な意味で首都のジャカルタとは違います。まず、高齢者は標準語を話しません。教育は小中学校まで、という人が多いです。金融機関も政府系銀行の支店が町にあるだけで、45分もボートに乗らないと現金をおろせません。

このような環境で特に困難な状況に置かれているのは妊婦です。女性は現金を持っていないため、出産時に病院へ行く乗り物代すら持っていないこともあります。自宅出産する人が多く、専門家の助言がないため、妊産婦の死亡率が高い。インドネシア政府は無料で出産できるサービスを提供していますが、乗り物がなければ病院へ行けないから意味がないのです。

ある時、3人目のお子さんを妊娠した女性がいました。病院へ行くボートを手配したのですが間に合わず、道端で出産してしまい、赤ちゃんは亡くなりました。

私たちは大きなショックを受けました。こんなことがあってはいけません。私たち3人とも「これは自分たちの問題だ」と思いました。

――新生児の死亡を防ぐことと、編み物ビジネスはどうつながっていったのでしょう。

M: フローレス島は働く場が少ないため、既婚女性は主婦になり、男性は出稼ぎに行きます。家庭ではとうもろこしを作っていますが、収穫にばらつきがあって現金収入が少ない。データから、フローレス島の妊婦の半分は栄養状態が良くないことが分かりました。栄養失調だと新生児の頭脳の発達にも悪影響があります。加えて、妊婦が現金を持っていないこと、これが社会課題だと私たちは認識しました。一方、ビジネスの観点から島の状況を分析すると、女性たちは編み物が得意だと分かりました。バスケット、シーツなど何でも編んで作ります。材料は、やしの葉で島中にたくさんあって無料で調達できます。「ここにはクラフト産業のチャンスがある」と思いました。そこで、女性たちに「何を編める? 編み物で何を作れる?」と尋ねて回ったのです。

―― 問題解決とビジネスが融合し始めました。

M: はい。私たちはチャリティーではなくビジネスで農村女性を支援したかった。チャリティーでは、受ける側が依存心を持ってしまい自立できない。そして質の良いものをストーリーに乗せてマーケティングしたい。同情ではなく、良いものだから買う、という流れが持続可能ですから。

――順風満帆でしたか? 壁にぶつかったことはありますか?

M: 最初の壁は2014年、製品と市場のフィットが難しかったです。まず、女性ができることから始めたため、サイズの違うバスケットがいくつもできてしまったこともあります。製品は注文通りに作ってもらわなくては、量を売ることができません。私たちはBtoCではなくBtoBを目指しています。注文数が多くなり、たくさんの女性をエンパワーできるからです。BtoBといえばホテルだ!と思いついて営業してみたら、バリ島のホテルがスリッパを購入してくれました。

そこで、新たな壁にぶつかりました。需要と供給のバランスです。ホテルから100足もの編み物スリッパの注文を受け、フローレス島の女性たちはすごく驚きました。自分たちの作ったものに大きな価値を認められたわけですから。嬉しい反面、手作りゆえ、工場のように24時間稼働はできません。女性たちが無理しすぎず仕事をすることと、注文数のバランスを取る必要があります。今では注文を受けたらこの村にいくつ、あの村にいくつと割り振っています。品質管理もしていて、A、B、Cでクラス分けをしています。日本からの注文は高品質が求められるため、Aクラスです。

――現在の生産量はどのくらいですか。

M:2019年は3万7500の製品を売り上げました。今はフローレス島とパプアにある50の村で1150人の女性が私たちの会社の編み物製品を作っています。中にはリーダーになる人もいて、正社員は90人まで増えました。

――共同創業者は3人とも、海外で高い教育を受けています。外資系企業で働いたら豊で安定した生活ができたはずです。あえて困難な道を選んだのはなぜですか?

M: 確かに、そう思うのも分かります。実際、起業すると伝えたら、両親からは反対されました。親の世代はビジネスと社会変革を両立できると思っていませんから。

でも、私たち3人の創業者は、理想やゴールを共有していました。インドネシアは途上国です。都市と地方の格差がとても大きい。国は広くて多様です。潜在力の大きいこの国の開発に関わりたいのです。

私たちは海外で学ぶ機会を持つことができて、ラッキーでした。だから、生まれた国に恩返しをしたい。これからも、インドネシアの文化を大事にしながら、より広い地域で女性の経済的エンパワーメントを、ビジネスを通じてやっていきたいです。

メリアさんによれば、Du Anyamの創業初期に投資家となったマリコさんは「メンターの役割を果たしてくれた」そうだ。自分たちで試行錯誤するだけでなく、経験豊富な経営者の助言を受けることで、起業家は大きく成長することができる。マリコさんは自己資金を投資することに加え、メンタリングに時間を割く。経営者としての経験に基づく助言を半年間、集中して行いつつ3回ほど投資をした後は、次の資金提供者につなぐという。起業家にとって、こうした連携支援はとても重要であり、ジェンダー視点を持つ起業家支援エコシステム構築が望まれる。

インドネシア、ミャンマーなど、東南アジア各地で女性起業家支援を手掛ける笹川平和財団のジェンダーイノベーション部・松野文香部長は「途上国の農村部には雇用主が身近にないため、起業は女性が経済力を得るための現実的な方法です」と話す。

実際、フローレス島の女性たちは手工業の生産者としてDu Anyamに編み物製品を納入することで「小さな起業家」になった。現金収入を得られるようになったことで、自身や子どもの健康に投資できるようになった。

島の女性たちに新しい仕事の機会を提供しているDu Anyamは、都市部の高学歴女性による起業であり、その初期段階を支援したのがマリコさんという経験豊かな経営者・投資家だった。このように、女性の起業を支援することで新しい経済のエコシステムが生まれていくことが分かる。女性起業家は新しい経済圏を生み出す触媒の役割を果たすのだ。


連載記事はこちらからもご覧いただけます。
Vol. 1 企業経営からエンジェル投資家へ -日本・インドネシアにルーツを持つ女性がエグゼクティブの生活を捨てた理由
Vol. 3 無農薬野菜を美味しく食べられるスナック製品に -親子の笑顔と健康を目指す20代女性起業家

Vol. 4 社会起業家支援にジェンダー視点を入れると -「暗黙バイアス」に気づき、女性起業家が増える
Vol. 5 起業家の死活問題、資金調達 ―女性特有の困難とは? どう乗り越える?

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