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舞台裏で

 オーシャンズ・アクション・デーを企画・運営しているのは笹川平和財団海洋政策研究所をはじめとする約40の団体、国際機関、政府、NGOなどで、海洋の第一人者である米国デラウェア大学のビリアナ・シシン-セイン教授を中心に、「Roadmap to Oceans and Climate Action」(海洋と気候変動対策へのロードマップ)というグループを組織している(詳しくはこちら)
 パリ協定の直後には、2016年から2021年までの戦略的政策提言書もまとめた。前川は中核メンバーの一人である。
 「提言書は海洋が気候システムの中で果たす科学的役割、緩和、適応、移転、能力開発、資金の6つがテーマです。約80ページのペーパー。皆で分担して書いたもので、様々なアイデアが詰まっています。それを実施していく。自分たちもそうですし、政府や産業界、企業にも働きかける。オーシャンズ・アクション・デーでさらに広いステークホルダー(利害関係者)を巻き込み、本交渉に働きかける。メディアにも来てもらっています。そうした活動をレビューする年次報告もあり、私も執筆しています」
 オーシャンズ・アクション・デーのアジェンダなどは、どのように練られ形作られていくのだろうか。
 「主要なメンバーで年間を通して話し合い、電話会議をほぼ毎月開いたり、準備会合のためにフィジーやヨーロッパ、アメリカに集まったりしています。COPの成果(決定)文書に、海洋と気候変動に関する対話を盛り込むようフィジーから提案してもらおうとか、そういうことを裏で仕掛けてもいます。電話会議に常時出てくるメンバーは10人ぐらい。私もその1人で意見を言う。6つのテーマが決まっているので、それを軸にアジェンダを設定していきます」
 議長というのは、さぞかし重責なのではなかろうか。
 「登壇者は皆さん専門家で、その分野で日夜仕事をされている方ですので、来ていただけさえすればいくらでも話すことはあり、最新情報もおもちです。むしろどういう方を呼んでどのような話をしていただくか、事前の調整の方が大変です。それ以上に、議論などを踏まえて今後、どうしていくのかということの方が大事です。イベントを開くだけではもったいないですから」
 COP25では、政府間交渉でも海洋と気候変動の問題に焦点が当てられた。これはひとつには、前川らの地道な活動と働きかけによってもたらされた成果だといえるだろう。6月にはCOP25で合意された、海洋と気候変動に関する対話が控えている。それへ向け「提言を出さなければいけないと思っています」と意気込む。

移転と移住

(写真)今年1月、笹川平和財団ビルで開かれた国際セミナー「気候変動に伴う移住とその脆弱性」で

今年1月、笹川平和財団ビルで開かれた国際セミナー「気候変動に伴う移住とその脆弱性」で

 移転と移住は前川の個人研究の対象でもあり、オーシャンズ・アクション・デーの移転と移住、適応に関するセッションにしても、この2、3年はアジェンダの設定などについて様々な提案をしてきた。移転と移住では最悪の場合、地域あるいは島全体を放棄し移住を余儀なくされることもあり得、社会、経済、文化などにも影響が生じかねない。極めて憂慮される深刻な問題の一つであり、中長期的な沿岸域管理計画などの必要性が指摘されている。
 「気候変動と様々な環境要因によって、沿岸域に高潮が来た時に被害が今までより大きくなったり、沿岸域で作っていた農作物が取れなくなったりしたために2、3キロ内陸に移動しなければならないなど、移転を余儀なくされている事例がフィジーやソロモン諸島をはじめとする太平洋島嶼国で起こっています。移転というと、よく『環境難民』と言われますが、実際には国内での移転が大半です。沿岸域や河川の流域で洪水の頻度が増え、今まで住んでいた所に住めなくなってしまっている。国内対策が非常に遅れていることが課題です。リスクを特定し分析、評価するリスクアセスメントを今後、しっかりやっていかなければいけない。国際的な支援も非常に限られています。移転する人達の多くは、基本的には自助努力、つまり自腹で移転しており、ある程度の蓄えがコミュニティにないと取り残されてしまうこともある」
 前川がさらに指摘する問題点は、先進国と開発途上国の格差である。
 「リスクアセスメント一つをとってもいつ、どこで、何が起こりそうかという精緻な分析は途上国にはありません。一方で先進国を見ると、例えばニューヨークではすでにいろいろなことをやっている。2100年には海面が最大で1メートル上昇すると言われており、マンハッタン南端の金融街がある辺りは水害のリスクが高まるというので、堤防で守る計画を進めています」
 ニューヨークの計画は「ビッグU」と呼ばれ、マンハッタンのU字形の沿岸部約16キロを、堤防の役割を果たす高台で囲むというものだ。高台には商店街やレクリエーション施設などがあり、外観は堤防には見えない。費用は70億~80億ドルといわれる。都市の活性化策も加味した気候変動対策だといえるかもしれない。
 「そうした計画を立て実施する資金力は途上国にはない。太平洋島嶼国の場合は土地制度の問題もあります。移転しようにも伝統的な部族が、代々続く土地と権利を所有しており、そうした土地に政府が介入し、堤防を建設したり建物をかさ上げしたりすることは難しい」
 地域の状況と事情、環境に応じた多角的な対策が必要だと、前川は強調する。
 「これをすればすべて解決するという方法はありません。この場所では堤防を作るのが良いかもしれないけれども、ここでは移転するしかないとか、かさ上げが良いとか、あるいは作物を育てるのはやめて漁業、養殖に生業を変えるなどローカルな対策が必要です。ですから細かなアセスメントと、それに基づき対策を実施するための国民的な合意と、資金が重要なのです」
 前川と海洋政策研究所による気候変動と移転問題に関する調査研究の一端は、英文学術誌「Journal of Disaster Research」の特別号(2019年12月発行)に掲載されており、今年1月23日に笹川平和財団ビルで開かれた国際セミナー「気候変動に伴う移住とその脆弱性」でも、前川自身が報告している(詳しくはこちら)。
(写真)前川美湖
 日本はどうか。国と地方公共団体、事業者、国民が連携して適応策を推進するための気候変動適応法が2018年12月に施行されている。
 「高潮・津波対策はかなりしっかりやっていますが、台風被害などが大きくなっている中で、インフラが脆弱なところも露呈してきている。やはり都市計画の様々な見直しが今後は必要です。自治体が対策と計画を練っていくうえで未体験ゾーンの部分もあり、他の国や都市などの取り組みも学びながらやっていかなければならないと思います」
 
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