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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

ザキオス駐米マーシャル大使、ミクロネシアのPIF復帰は「簡単な道ではない」

(2021年2月25日、ABC/PACNEWS)


10分

抄訳

ミクロネシアの太平洋諸島フォーラム(PIF)脱退騒動の中心にいるジェラルド・ザキオス氏は、5か国がフォーラムに「簡単に戻る道はない」と語るが、太平洋を離れたわけではないとしている。
 
マーシャル諸島のザキオス駐米大使は、PIFの新事務局長選挙に、ミクロネシアの擁立候補として出馬したものの、クック諸島のヘンリー・プナ前首相に一票差で敗れた。ミクロネシアの5か国は、同地域の候補者を支持するはずの紳士協定が破られたと主張して、PIFを脱退する決定を下した。
 
ジョージタウン大学及びハワイ大学・太平洋諸島研究センターが主催したウェビナーで、ザキオス氏は、ミクロネシアの離脱には、重要なポストをめぐる単なる小競り合い以上のものがあると述べた。
 
「PIFの弱体化を狙った行為と見なされるべきではないと思う。ミクロネシア地域の離脱は、取り組まなければならない問題の核心に切り込むものだ」
 
「選挙プロセスだけでなく、全般にわたる重要な改革を実行することだ…そして、すべてのメンバーが…平等に扱われるように」
 
ウェビナーの中で、ザキオス氏は、フィジー・スバのPIF本部でしばしば顕在化する、南太平洋諸国の見下すような態度について示唆した。
 
「以前、スバに駐在していた私の同僚が、ミクロネシアで太平洋地域の会議を開催することを申し出た」
 
「その申し出に対して、物珍しそうに『どうやってそこまで行くのか?』と聞かれたという。駐在大使なら、『それなら私は、どうやってここに辿り着いたのか?』と答えるだろう」
(訳:立入瞳)

コメント

※前回のPIFサーガに関する記事抄訳・解説は次のリンクから。
https://www.spf.org/pacific-islands/breaking_news/20210222-1.html
 
本記事では、マーシャル諸島ザキオス駐米大使の発言が掲載されています。ザキオス大使はマーシャル人ですが、両親はマーシャル人とパラオ人であり、PIF事務局長候補としては両国の代表でもありました。
 
まず、マーシャル諸島とPIFの関係を見てみましょう。1920年、ベルサイユ条約に基づきドイツ領から日本が施政権を有する国際連盟委任統治領の一部となったマーシャル諸島は、戦後、1947年に現在のパラオ、ミクロネシア連邦、北マリアナとともに、国際連合の枠組みにおいて米国が施政権を有する太平洋諸島信託統治領(TTPI)となりました。ダレス「War or Peace」(1950)では、TTPIは安全保障上の重要性から戦略的信託統治領とされています。信託統治は対象地域が現地住民による自治もしくは独立に向けた準備をするための制度であり、このTTPIの場合には、住民の選択により、1978年に北マリアナがコモンウェルスとして米国領に残る一方で、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオは独立を選択しました。しかし、これらの地域は、人口も少なく人材も産業も乏しいことから、米国が財政支援や住民への準米国市民としての権利を与え、安全保障および防衛の権限と責任を有する米国自由連合盟約(米国コンパクト)を締結し、米国自由連合国として独立することとなりました。
 
実際の過程としては、マーシャル諸島は1979年5月に憲法を制定し自治政府を樹立、1986年10月に米国コンパクトが発効し、米国自由連合国として独立しました。なお、マーシャル諸島では1986年の独立ではなく、1979年5月1日の憲法制定をより重要な記念日としています。一方、国連はマーシャル諸島とミクロネシア連邦(同様に1986年に独立)を1990年まで国連非自治地域リストに掲載していました(パラオは1994年まで)。
 
1986年に独立したマーシャル諸島は、1987年に南太平洋フォーラム(SPF、現在のPIF)への加盟が認められました。1971年、同フォーラムは太平洋島嶼地域が米英仏の核実験場として使用された歴史(米1946-63年、英1957-58年、仏1966-1996)と当時まだ続いていたフランスの核実験に対する抗議を背景に設立され、現在も核問題を主要議題の1つとしています。そのような背景もあり、米国とマーシャル諸島の間で第2次米国コンパクトに向けた改定交渉が始まった時期でもある2000年以降、マーシャル諸島の要望を受け、毎年フォーラム首脳コミュニケに「米国の核実験により生じたマーシャル諸島における核汚染に関し、米国の責任を再確認し、米国に責務の履行を求める」という文言が記載されるようになりました。マーシャル諸島は米国との交渉を進めるため、PIFという地域枠組みを利用してきた面があると考えられます。
 
次に、太平洋島嶼地域における赤道を境にした南北の違いについて確認しましょう。
 
太平洋島嶼諸国は、太平洋にある島嶼国という観点では一括りにできますが、現代社会の観点では、米国系の北半球の国々と英連邦系の南半球の国々という違いがあり、社会制度、教育、言語、政府体制、旧宗主国(英、豪、NZ、米国)との関係などに違いが表れています。また、南半球の国々には、北半球の米国自由連合国は独立が遅く、財政的にも米国に強く依存しており、開発課題や経済・財政問題を共有できないといった考え方も存在しています。
 
しかし、2003年のマーシャル諸島とミクロネシア連邦における米国コンパクト改定、2009年のパラオでの米国コンパクト部分改定による米国経済援助形態の変化、2007年以降に発生した世界食料価格危機、石油価格高騰、リーマンショックにより、これら3か国においても経済・財政問題が深刻化したことで、北半球の国々と南半球の国々が問題意識を共有できるようになりました。さらに気候変動という共通の脅威の存在、フィジーが示した豪州・NZとの新しい関係性なども影響し、2010年前後から赤道を越えた太平洋島嶼諸国の結束が強まりました(例えば、海洋政策研究所 海洋白書2020, p.90-95、https://www.spf.org/global-data/opri/ISBN978-4-884043629.pdf)。
 
ところが、2018年以降、中国の影響力拡大を背景とした米豪NZ英仏などの地域への関与強化、中台関係の悪化、太平洋島嶼国各国の地政学的変化に対する認識の違い、新型コロナウイルスがもたらした生命および経済・財政に対する安全保障上の危機に対する取り組みの違いなどにより、再び赤道を境にした北と南の乖離が強まりつつあります。特に新型コロナウイルスワクチン接種や台湾との観光バブルについては、地域枠組みが機能していないようです(例えば、https://www.spf.org/pacific-islands/breaking_news/20210224-3.html)。
 
PIFの枠組みは、独立の早い南半球の太平洋島嶼国と豪州・NZが築き、のちに北半球の米国自由連合国3国が加盟した経緯があります。ミクロネシア諸国(特に米国自由連合国3国)が実際にPIF脱退プロセスを開始した背景には、PIF事務局長選出において紳士協定が破られたという理由だけではなく、北半球側の米国自由連合国3国が抱えていたPIFという地域枠組みにおける違和感も影響しているかもしれません。
 
最近、クック諸島でプナ前首相やブラウン首相が関連する不正問題の調査が進んでいるとの報道があり、プナ前首相に次期PIF事務局長職を辞退するよう進言する首脳もいるとの話がありました。仮にプナ前首相が事務局長に就任しなければマーシャル諸島出身のフィリモン・マノニ次長が暫定事務局長になるため、ミクロネシア諸国による脱退の意向を翻意させることができるといった考え方が背景にあるようです。しかし、これまで述べてきたとおり、今回のPIFサーガは、事務局長ポストをミクロネシア地域から選べばよいというレベルから、地域枠組みにおける信頼関係の問題に発展しているため、特に米国自由連合国3国がPIF脱退の決定を取り消すことは簡単ではないと考えられます。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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