◆「黒鯛の潮のしたたり虹色に」(きくちつねこ)。黒鯛(チヌ、チン)は古くから日本人が多く採捕した魚の一つで、貝塚から骨が見つかると聞く。真鯛に比べると磯の匂いが強く、産卵期は3~7月。夏の季語。真鯛はある程度の大きさがなければ味に深みが出ないが、黒鯛は、匂いがある分、小さめでもしっかりと旨味があると感ずるのは編集子だけだろうか。先日も、 700円くらいの小ぶりの黒鯛の、あまりに鮮度が良いのに魅かれて一匹買い求め、薄くピンクがかった身を造りにして、大根の白、ニンジンの赤、わさびと穂紫蘇の緑をあしらい、あらと黒い皮で吸い物を造って白髪ねぎを放して食した。まさに季節の美味で、久保田のきりっとした酒の味、香りとよく調和。ささやかだが確かな幸せの実感。
◆土肥オピニオンは主に釣りを目的とする新たなレジャー、カートップボーティングの、いっそうの普及を促すための提言と、規制緩和に伴う危険の増大に対する利用者責任の自覚の強化、船体設計の安全性ガイドラインの必要性を説く。釣人口は多い。釣りと手軽なボート遊びの喜びを増す制度の充実は、着実に、われわれの生活を豊かにする。各界の今後の努力がより大きな成果を挙げることを期待したい。
◆松本投稿は、海の底に沈むマンガンクラストが白金を多く含み、大陸棚資源として有望であることを教える。海洋資源開発に十分な施策をという主張に諸手を挙げて賛成。
◆今号ではしばらくぶりに読者からの反応を紹介する。編集サイドの努力の足りなさを痛感させられる鋭いご指摘を謙虚に受け止めたい。また、今年のこれからの海洋関連国際会議開催情報を、とりあえず、第一次的に整理をしたものをインフォメーションとして提供する。活用していただければ、幸いである。(了)
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