- トップ
- 報告書・出版物
- Ocean Newsletter
- 事務局だより
Ocean Newsletter
オーシャンニューズレター
第583号(2024.11.20発行)
PDF
3.9MB
事務局だより
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所主任◆小熊幸子
◆「海洋教育」とは、どのような教育でしょうか。2009年にOPRIの前身である海洋政策研究財団より公表された『21世紀の海洋教育に関するグランドデザイン』※には、「海洋と人間の関係についての国民の理解を深めるとともに、海洋環境の保全を図りつつ国際的な理解に立った平和的かつ持続可能な海洋の開発と利用を可能にする知識、技能、思考力、判断力、表現力を有する人材の育成を目指すもの」と定義されています。私たちの暮らす日本は海と共にある島国であり、日々の暮らしのあらゆる面でその恩恵に授かる国民として、海洋と人間(国民)の関係について学ぶことは非常に重要です。
◆海洋教育パイオニアスクールプログラム(PSP)は、嵩倉研究員が紹介しているように、海洋基本法施行から約8年後の2016年に始まりました。のべ1,500校近くの学校で、その地域の自然環境や産業、文化を題材に、海の学びが展開されてきました。海洋教育研究会は、PSP採択校の活動報告とそこで得られた成果や課題に関する意見交換を中心とした会合でしたが、2024年は会場となった志賀島で、地域の素材を活かしたカリキュラムの作成という実践を伴ったワークショップとして行われました。参加された会場地元の田中氏、「海なし県」の鈴木氏からご報告いただいたように、志賀島について共にかかわり、つながり、考える中で、海の学びの発展性や地域の自然や歴史、文化の学びを創り上げるプロセスを実感していただけたかと思います。
◆各地の地域素材を活用した実際の事例として、中村氏と大坂氏より紹介いただきました。水揚げされても廃棄されるだけだった深海魚が、生徒達によってさまざまな用途へ有効活用され地域事業へ貢献するだけでなく、生徒達自身にも変容をもたらしました。サヨリの完全養殖では、下顎の変形や、走光性に伴う斃死や飛び出し等への多くの対策を重ねて、成魚育成の成功までに何年とかけてオリジナルブランド魚の販売に至りました。在学中にそれらの結果を得られなかった生徒も、途中の多くの課題を解決していく中で学んだものがあったのではないかと思います。2例とも魚が用いられましたが、それ以外でも、捉え方次第では海につながる学びになります。
◆日ごろ海に触れる機会のない地域でも、身近な素材を、海洋と人間の関係を知る入口として、海と共に生きる日本人としての海洋教育に取り組んでいただければと思います。(主任 小熊幸子)
◆海洋教育パイオニアスクールプログラム(PSP)は、嵩倉研究員が紹介しているように、海洋基本法施行から約8年後の2016年に始まりました。のべ1,500校近くの学校で、その地域の自然環境や産業、文化を題材に、海の学びが展開されてきました。海洋教育研究会は、PSP採択校の活動報告とそこで得られた成果や課題に関する意見交換を中心とした会合でしたが、2024年は会場となった志賀島で、地域の素材を活かしたカリキュラムの作成という実践を伴ったワークショップとして行われました。参加された会場地元の田中氏、「海なし県」の鈴木氏からご報告いただいたように、志賀島について共にかかわり、つながり、考える中で、海の学びの発展性や地域の自然や歴史、文化の学びを創り上げるプロセスを実感していただけたかと思います。
◆各地の地域素材を活用した実際の事例として、中村氏と大坂氏より紹介いただきました。水揚げされても廃棄されるだけだった深海魚が、生徒達によってさまざまな用途へ有効活用され地域事業へ貢献するだけでなく、生徒達自身にも変容をもたらしました。サヨリの完全養殖では、下顎の変形や、走光性に伴う斃死や飛び出し等への多くの対策を重ねて、成魚育成の成功までに何年とかけてオリジナルブランド魚の販売に至りました。在学中にそれらの結果を得られなかった生徒も、途中の多くの課題を解決していく中で学んだものがあったのではないかと思います。2例とも魚が用いられましたが、それ以外でも、捉え方次第では海につながる学びになります。
◆日ごろ海に触れる機会のない地域でも、身近な素材を、海洋と人間の関係を知る入口として、海と共に生きる日本人としての海洋教育に取り組んでいただければと思います。(主任 小熊幸子)
※ 『21世紀の海洋教育に関するグランドデザイン』海洋政策研究財団、2019
https://www.spf.org/_opri_media/publication/education/pdf/201303_granddesign_sum.pdf
https://www.spf.org/_opri_media/publication/education/pdf/201303_granddesign_sum.pdf
第583号(2024.11.20発行)のその他の記事
- 海と人との共生をめざして (公財)笹川平和財団海洋政策研究所研究員◆嵩倉美帆
- 志賀島とかかわり・つながり、そして共にまえへ 福岡市立勝馬小学校校長◆田中展史
- 海なし県から「海洋教育研究会2024」に参加して今思うこと 岐阜市教育委員会◆鈴木大介
- サヨリの完全養殖を成功させた高校生の挑戦 香川県立多度津高等学校海洋生産科教諭◆大坂吉毅
- 廃棄される深海魚を地域の資源として活用し未来へ紡ぐ 学校法人希望が丘学園鳳凰高等学校◆中村太悟
- 事務局だより (公財)笹川平和財団海洋政策研究所主任◆小熊幸子