Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第43号(2002.05.20発行)

第43号(2002.05.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者 ((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原裕幸

◆1999年3月の能登半島沖不審船問題の時、初めてわが国は威嚇射撃を加えたが2隻の船は逃走。昨年12月の奄美大島沖不審船問題では、威嚇射撃ののち当該船が東シナ海の200海里排他的経済水域(EEZ)想定中間線の中国側海域で沈没。5月ゴールデンウィークのさなかに政府は引き上げのための潜水調査を開始し、遺体や銃器等の沈没物の一部も回収。ところで、EEZは、国連海洋法条約によれば沿岸国の「主権的権利」と「管轄権」が適用される一方、船舶航行、上空飛行などの旧来からの「公海自由の原則」も適用される。真山ペーパーでは、船舶航行に関しては公海と基本的に同じ国際法上の地位にあるEEZでの不審船等に対する行動の限界について問題提起している。

◆松村氏による海上テロ対策に関するペーパーでは、IMO等国際機関での論議を踏まえ国際協力における日本の貢献が提起されている。航空機の場合と異なり、船舶、港湾等からの視点も必要という点で間口が広いという海上テロ対策固有の難しさも指摘されているが、海の法秩序維持問題は様々な課題を孕んでいる。

本号編集作業中にTAJIMA号事件が発生、急きょインフォーメーション欄へ。公海上のパナマ船籍内での犯罪、加害者は外国人で被害者は日本人。現在日本の領海内に停泊中。刑事裁判権はどの国にあるか?海洋法上の仮想問題をそのまま絵に描いたような事件が現実となった。この場合、基本は旗国に管轄権があるもののズルズル未解決状態が続いたわけで、円滑な処理のための方策の必要性が強く浮き彫りにされた。

◆永井氏の投稿はイワシの海への回復を提言しているが、それは水産庁の資源回復計画第一号として取り組む瀬戸内海のサワラ資源回復計画の一環でもある。「先取り・取り過ぎ体質」からの脱却、資源管理型漁業の試金石の一つとして注目したい。(了)

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