Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第34号(2002.01.05発行)

第34号(2002.01.05 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原裕幸

●2年前millenniumが明け、昨年centuryが明けたが、2002年はどんな年になるのであろうか?近々出される予定の、21世紀最初の10年(decade)のわが国における海洋の開発・利用・保全の動向を展望する文部科学・学術審議会海洋開発分科会(旧海洋開発審議会)の答申案の内容に注目したい。

●「地球温暖化」をテーマに、新年特集号を初めての増ページでお届けする。海洋学の世界的泰斗、奈須氏は現在の文明の発達が海面と海岸線の約6千年に及ぶ安定によるものであることを指摘したうえで、地球年代的視点から温暖化に警鐘を鳴らし、海岸工学の専門家である三村氏はアジア太平洋での海面上昇による水没地域と影響を受けるであろう人口の評価と試算に取り組んでいる。水産資源関係に造詣の深い河井氏は海洋での植物プランクトンを基礎とする食物連鎖への影響を危惧し、ヘテロカプサの異常繁殖に忍び寄る影を感知する。他方、温暖化の元凶であるCO 2の海洋処分について深海貯留法研究の最先端を綾氏は紹介しており、温暖化対策の努力の一端を垣間見ることができる。

●かつてNHKが地球温暖化による海面上昇で東京のゼロメートル地帯が水没するというシミュレーション画像を主とした番組を放映したことがあるが、海面上昇といっても時間スケールが人間の一生よりもはるかに長い現象であるため、正直言って実感がわかないのが困ったもの。しかし、地球温暖化対策は全海洋人の英知を結集して取り組むべき課題である。(了)

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