Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第31号(2001.11.20発行)

第31号(2001.11.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者 (横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新

◆港の調査でシアトルに来ている。北緯47度39分に位置するシアトルはもうすっかり冬の海である。「冬帝の日差し一湾かゞやかす」(宮埼ふみ子)。昨夜はピュージェット湾の新鮮な蛎の種類の多さ、味わいの多様さを堪能し、この地の海の豊かさを実感した。

◆本号には日本の漁業の将来に大きな影響を与えうる、漁業用水制度の創設を唱える真鍋氏のオピニオンと、生態系アプローチによって新第一次産業としての漁業の確立を主張する森下氏の投稿を得た。いずれも流域に着目した水管理の重要性を海のサイドから説くもので、今後のわが国の社会全体における産業間のバランスのとり方、われわれの生活の仕方にも大きな影響を与える貴重な提言と考える。

◆また、宇多氏のオピニオンは、ともすればステレオタイプな思考に陥りがちな、海の環境に対するわれわれのアプローチに、専門家ならではの視点から、冷静な客観的認識のあり方を示すもので考えさせられる。海の環境の維持に関する国際的な協力の比較的新しい試みであるポートステートコントロールに関するインフォメーションは、アヒルの水かきのように、多くの人が気づかないところで貴重な国際協力が行われていることを知らせる。さまざまな角度からの、さまざまな人による、海をよく知り、よりよく使うことの努力の積み重ねが日本の海を豊かにすることを思い、そのために本誌の果たすべき役割の重さを改めて心するシアトルである。(了)

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