◆先月末の国連総会では、尖閣列島をめぐる日中間で厳しい答弁の応酬があった。ほぼその3カ月前、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで「リオ+20」が開催された。会期中の6月16日、オーシャンズ・デーが催された。このイベントに参加した海洋政策研究財団の寺島紘士さんは、会議の成果である『リオ海洋宣言』採択に尽力された。このなかで、「名ざしで」の東シナ海、日本海で喧噪中の事案は明記されていないが、中長期的な展望に立った海洋秩序の構築にむけての提案が尖閣諸島・竹島の案件の解決へとつながることを期待したい。◆3.11以降、原発再稼働をめぐる議論が熱を帯びてきた。原発ゼロ宣言が野田総理により提起された反面、使用済み核燃料の処理をめぐり、矛盾も露呈した。今後の事態の行方に注視しておこう。3.11以降の学校防災について、徳島大学の中野晋さんはマニュアルの策定を提案されている。多くの幼いいのちをうばった地域の反省点、避難所となった学校現場の教職員の活動にも目を向けるべきという。一方で、犠牲者を出さなかった「奇跡の学校」もある。先月、岩手県釜石市で教育現場の方から話を聞くと、子どもたちの自主的な判断が功を奏したという。子どもだから何もできないと大人は考えるべきではない。複雑なマニュアルは本当のマニュアルとはなりえない。地震津波発生時に研究者や東京電力、さらには政府が「マニュアル」通りに動いたとしたら、明らかにそのマニュアルは誤謬だらけではなかったか。◆原発に代わる再生エネルギーの模索がようやくはじまった。再生エネルギーだけでは原発をゼロにできないとする現実的な意見がある一方、この夏に行われた「討論型世論調査」でも、原発ゼロ志向の意見が多かった。北九州市長の北橋健治さんによると、関門海峡で進められている潮流発電は小規模とはいえ希望の灯をともすことは間違いない。ライトアップされた関門海峡の赤レンガ倉庫は東京のスカイツリーよりも日本人の心に響く風景を作り出すにちがいない。(秋道)
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