Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第25号(2001.08.20発行)

第25号(2001.08.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者 (横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新

◆「マッチ擦るつかの間の海に霧深し 身捨つるほどの祖国はありや」(寺山修二)。暑い夏の終戦記念日も終わった。56年の歳月の経過の後に、身を捨てるに値するほどの祖国が今はあると言えるだろうか。

◆読者からの投稿二編。片桐信治氏の「海洋文化を地域から」、堀口瑞穂氏の「海岸での体験学習に向けて」、いずれも、地域に根ざした人々の地道な活動によって、次の世代に祖国の海の楽しさ、奥深さをハンド・メイドで伝える試みがなされていることを紹介する。私たちの祖国の末来が少し明るく見えるように思えるのは、編集子だけではないであろう。

◆徳山英一氏のオピニオン「自前エネルギー、メタンハイドレート」は、日本の宿命ともいうべきエネルギー資源の乏しさという制約が、近い将来に解消されるかもしれないという夢を与える研究の紹介である。海底にごろごろとメタンハイドレートが転がっているという状況を想像あれ。何とはなしに心浮き立つ図ではないか。海底の砂や泥に宝がごろりと転がっていることからの連想。「大鯒の砂けむりあげ釣られけり」(山口耕堂)。暑い陽も落ちた後で、よく冷えたビールか吟醸酒と、照りゴチの白い魚肉の洗いの組み合わせなどいかがであろうか。充分に身捨つるに足る祖国の夏の味覚である。読者からの活発なご意見、今後もお待ちする。(了)

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