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オーシャンニューズレター

第214号(2009.07.05発行)

第214号(2009.07.05 発行)

再・開港はこだて2009 ~開港150周年を契機に未来(あした)へ挑戦~

[KEYWORDS] 函館港/開港150周年/市民協働
函館市長◆西尾正範

函館は1859年、横浜・長崎とともにわが国最初の国際貿易港として開港して以来、本年が150周年の節目の年にあたります。
150周年という記念すべき年を迎えるにあたり、「函館を元気にしたい」「記念すべき年を盛り上げたい」という多くの市民の熱い想いに応えるとともに、未来に向けての「第二の開港」とすべく、官民が協働し様々な記念事業を行っております。

第二の「函館港開港」として

函館は1859年(安政6年)、横浜・長崎とともにわが国最初の国際貿易港として開港して以来、本年が150周年の節目の年にあたります。開港は人・物などの様々な交流をもたらし、函館のみならず、現在の日本の礎を築く上でも大きな契機となりました。
これまで函館は、港を中心とする海との関わりのなかで歩みを進めながら、国内屈指の水産都市、夜景に代表される国際的な観光都市、そして、陸、海、空の交通体系の整った交通の要衝としての地域を築いてきました。しかし、その後の造船不況、北洋漁業の衰退、青函連絡船の廃止など、苦悩の時代を幾度となく経験し、そのたびに市民が中心となって立ち上がり、そうした逆境を跳ね返してきており、こうした市民気質は、今もなお連綿と引き継がれております。
このたび、150周年という記念すべき年を迎えるにあたり、「函館を元気にしたい」「記念すべき年を盛り上げたい」という多くの市民の熱い想いで集まり、未来に向けての「第二の開港」とすべく、官民が協働し様々な記念事業を行っております。

「ふむふむ」「すくすく」「わいわい」三つのプロジェクト

函館港空撮写真(平成19年9月1日撮影)
函館港空撮写真(平成19年9月1日撮影)

平成20年8月に「函館開港百五十周年記念事業基本計画」において、「再・開港はこだて2009」~Re:Start HAKODATE未来(あした)へ~をコンセプトにしています。事業のテーマは「挑戦のための機会」「変革のための機会」として、この事業テーマに沿って三つのプロジェクトを展開します。
一つめとして「はこだて ふむふむ プロジェクト」で、まちをもう一度見つめ直す機会として、歴史や文化をはじめ、自然、食材などまちの資源を改めて見つめ直し、学ぶ機会作りに努めます。
二つめとして「はこだて すくすく プロジェクト」は人とまちを育てるチャンスとして、子供たちをはじめ大人を含めた市民全体がまちの魅力を共感し、愛着を持てるような機会づくりに努めます。
三つめとして「はこだて わいわい プロジェクト」は、ひとが集い賑わい溢れるまちを創るチャンスとして市民をはじめ内外のひとが集い、交流が生まれ、賑わい溢れる機会づくりに努めます。
これらのプロジェクトの推進により「ひと」と「まち」双方に効果のあるものをめざすこととしており、「ひと」に対しては、まちへの愛着心を持ち、自らが主体となってまちづくりを担い、まちの魅力を発信できるような市民や団体等を育む人材育成効果を目指し、「まち」に対しては、新しいまちの魅力が創造され、それにより様々な分野でのビジネスチャンスが拡がるような裾野の広い経済効果を目指しております。

市民みんなで考える記念事業

記念事業実施にあたっては、官民78団体で構成される実行委員会を設立したうえで、その傘下にワーキンググループを組織し、事業の企画から運営まで進めております。この実行委員会は官公庁、経済団体、市民団体など「オール函館」とも言うべき体制で、これをサポートしながら実働部隊として活動するワーキンググループには、実行委員会を構成する団体のほか、公募の市民スタッフなど総勢170人の構成で運営しています。
基本計画や実施計画など企画段階におけるワーキンググループの意思決定方法は、グループワークによるブレーンストーミング方式を採用しました。これは多くの意見の中から、その要旨となるキーワードを効率的に導き出すのに有効な方法で、まず思考を拡散しながら、関係ないと思われる意見も含め、とにかく多くの意見を出し、それから類似する意見をまとめ、グループのテーマとなるキーワードを発表するというやり方です。この方法によりメンバーは自らの考え方を他のメンバーの意見も組み合わせながら整理することができ、結果としてメンバー全てが共通の認識に立てるという利点があります。こうした作業を繰り返し進めながら、事業のコンセプトやキーワードを作り上げてきました。

「食」「音楽」「スポーツ」三つのキーワード

このような議論を経て、ワーキンググループは事業を組み立てるための三つのキーワード、「食」「音楽」「スポーツ」を導き出しました。
「食」~函館は、三方を海に囲まれ、豊富な水産資源に恵まれた全国でも屈指の水揚げを誇る水産都市であることから、この資源や特性を改めて市民共有の財産として再認識し、まちの魅力として発信していくために水産物を活用した「食」をキーワードとした事業を展開します。
「音楽」~函館は様々なジャンルの音楽団体が数多く存在し、なかでも子供たちの活動が盛んに行われていることから、子供たちを中心として、多くの人々が集う中で様々なジャンルが一堂に会する「音楽」をキーワードとした事業を展開します。
「スポーツ」~函館は、スポーツ健康都市宣言を行なうなど、スポーツに対する意識が高いことから、市民をはじめ多くの人々が集い、賑わいを通じて交流が生まれる機会を作っていくため、幅広い年代の人が楽しめるような「スポーツ」をキーワードとした事業を展開します。
これら三つのキーワードは、基本計画にある三つのプロジェクトから派生した「歴史・文化」「港・海」などのフィルターを通した上で決定されており、全てのキーワードはこれらフィルターの上に成り立っています。三つのキーワードを基に来る8月8日から16日までの9日間、函館港内「緑の島」を会場に、メイン事業「DREAM BOX 150」(ドリームボックスいちごーまる)(以下DB150)を開催することとしております。DB150は夢(DREAM)のある函(BOX)館にしたいと名付けられた名称で会場となる緑の島をはじめ場内で開催される様々なイベントの総称です。
7月1日の開港式典、8月8日からのメイン事業「DB150」の開催まであとわずかな期間を残すのみとなりました。これまで事業のアイディアから企画まで、多くの市民スタッフに関わっていただきながら進めてきました。この間の取り組みを通じ、行政と市民の新たな関係のその一歩を踏み出すことができたのではないかと考えております。行政と市民が協働する時代にあり、市民、行政がお互いに本音の議論をし、共に良い方策を考える「本当の市民協働」。函館の150周年事業がそのきっかけとなればこれに優る事業効果はないと考えます。(了)

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