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オーシャンニューズレター

第207号(2009.03.20発行)

第207号(2009.03.20 発行)

世界に誇れる総合港湾を目指して~横浜開港150年からのチャレンジ~

[KEYWORDS] 横浜港/スーパー中枢港湾/開国博Y150
横浜市長◆中田 宏

2009年、開港150周年という記念すべき年を迎えた横浜港では、世界に誇れる総合港湾を目指し、国際競争力の強化や環境にやさしい港づくりなど、様々な取り組みを進めている。
市内では4月より、150周年を記念した事業やイベントを実施し、市内経済活性化を図り、この機会に多くの来訪者に横浜の魅力を楽しんでいただきたい。

2009年(平成21年)、横浜港は開港150周年という記念すべき年を迎えました。
幕末の開港以来、日本を代表する国際貿易港として発展してきた横浜港は、わが国の近代化と経済発展を支える重要な役割を担うとともに、横浜市内においては雇用・所得とも約3割が横浜港と関わっているなど、市内経済とも密接な関係があります。また、海と港、異国情緒、国際都市など、横浜のイメージはまさに「みなと」に結び付いています。
これら横浜港の持つ様々な役割をさらに発展させるため、横浜市では次の取り組みを進めています。

国際競争力のある港

横浜港全景
横浜港全景

横浜市では、市民生活を豊かにし世界に誇れる総合港湾を目指して、横浜港の発展・国際競争力強化を図っています。平成16年7月には、国からスーパー中枢港湾として指定されました。
南本牧ふ頭では、世界最大級かつ、わが国初となる水深20m岸壁を有する高規格コンテナターミナルMC-3を整備中で、その背後には、物流倉庫や配送サービス拠点等の総合物流拠点を形成していく計画です。また、長年横浜港の中心的な役割を担ってきた本牧ふ頭でも、スーパー中枢港湾の中核的な施設として埠頭機能の強化が急務であり、岸壁改良や航路・泊地の浚渫を行っています。
こうした埠頭機能の強化のほか、取扱貨物量の増加などで増大する物流関連交通の円滑な流動を図るため、輸送網の整備・充実にも取り組んでいます。平成20年12月には、かねてから整備を進めていた臨港幹線道路の、みなとみらい21地区(西区)と橋本町(神奈川区)間(1.2km)が開通しました。現在は、本牧ふ頭と大黒ふ頭を結んでいる国道357号(横浜ベイブリッジ区間)本牧側出口の増設工事を進めています。
これらハード面の整備を進める一方、平成20年3月、横浜港、東京港、川崎港の3港は、国際競争力強化を図るため、港を一体的に管理するポートオーソリティの設立も視野に入れ、一層の連携を推進することで基本合意しました。9月に行われた3首長会談では、(1)広域連携推進体制の整備、(2)基本合意に基づく事業の実施(艀輸送拡大による環境対策・3首長によるトップセールスの実施・コンテナ船入港料の一元化)、(3)京浜港共同ビジョンの策定について合意しました。京浜3港の今後の取り組みが、わが国の港湾、経済の浮沈にも直結する重要なチャレンジであるという認識の下、迅速かつ適切な施策づくりに取り組んでいます。

環境にやさしい港

横浜市は、平成20年1月に「横浜市脱温暖化行動方針CO-DO30」を策定し、平成20年7月に国から環境モデル都市として選定されるなど、市を挙げて低炭素社会の実現に向け行動しています。本年も、脱温暖化行動の本格展開として様々な取り組みを進めていきます。
港湾においては、内航・艀・鉄道などを活用したモーダルシフトの推進や、港内の関係物流事業者との協働による事故・コスト・CO2の削減を目指した「ゆっくり走ろう!横浜港」など、民間事業者と連携して積極的に取り組んでいきます。

開港150年からのチャレンジ~危機にひるむことなく自ら未来を切り開く~

■象の鼻パーク 完成イメージ(夜景)
象の鼻パーク 完成イメージ(夜景)

マスコットキャラクター
横浜開港150周年記念事業
マスコットキャラクター

横浜市では、開港150周年という記念すべき年を、港と先人の業績や歴史を振り返り、さらに「チャンスあふれるまち 横浜」の創造に向けた契機とするため、多くの記念事業や取り組みを進めています。
まず、現在まで6年連続の客船寄港数日本一を誇る横浜港に、この3月6日、世界最大級の豪華客船「クイーン・メリー2」が入港しました。これは150周年を記念し市を挙げて誘致活動を行った結果実現したもので、日本に初寄港したこの豪華客船を市民の皆さんと共に歓迎しました。
また、現在の大さん橋基部付近にある横浜港発祥の地である象の鼻地区は、開港当時に波止場が作られた場所で、その形状から象の鼻と呼ばれるようになったところです。往時の雰囲気を今に伝えるこの地区を、記念事業として再整備し、6月2日に象の鼻パークとしてオープンします。
日本丸メモリアルパーク(第1期地区)は、横浜港をテーマにリニューアルし、特にマリタイムミュージアムは、横浜みなと博物館と名称を変え展示内容も一新し、4月24日にリニューアルオープンします。
また、7月20日の海の日を中心に、海に親しむ環境づくりを進めることを目的として「海フェスタよこはま」を開催します。
世界的な金融不安による経済状況の急激な変化は、横浜においても例外ではありません。このような中、開港150周年を迎えたわけですが、ここ数年準備を進めてきた横浜市にとっては、絶好の機会に巡り合わせたとも言えます。4月28日からテーマイベント「開国博Y150」※を、海・街・自然が生きる横浜の3つのエリアで開催します。「開国博Y150」が市内にもたらす経済効果は、約550億円と見込まれており、これが市内経済活性化のための起爆剤になればと期待しているところです。
皆様には、この機会に是非横浜を訪れ、横浜港と横浜の魅力をお楽しみいただきたいと思います。(了)

※ 「開国博Y150」については、(財)横浜開港150周年協会ホームページを参照下さい。

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