Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第19号(2001.05.20発行)

第19号(2001.05.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者 (横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新

◆「海よ 日はかがやいて波はにほふ まぶしい海のたよりをおくれ」(立原道造 海よ)。明るい海の季節となった。関東地方は上り鰹の季節である。適度に脂が乗って鮮度の良い鰹の皮を軽くあぶり、少し厚目に切って、たまねぎ、大蒜、三つ葉などといっしょに、ポン酢に鰹の出汁をミックスして味を調えた土佐酢をかけまわし、掌で優しくたたいて味をなじませる「たたき」は、濃厚さとさわやかさの絶妙のバランスで、イタリアのカルパチョに増して初夏の口福をもたらす。

◆海の便りを船に託す野本謙作氏のオピニオンを掲載する。遊びの船の総数が実動動力漁船総数の2倍に近いというのは衝撃的な事実である。港湾・漁港が業務船だけではなく同じ資格で遊びの船の基地でもあるべきだという提唱は、成熟した社会のインフラの使命についてきわめて新鮮な視点を提供する。また、日本人の味覚の原型をなす食材である鰹・マグロの、今後のわれわれの消費に大きな影響をもたらすMHLC条約に関する小川和美氏のオピニオンは、わが国の漁業が資源管理型漁業への転換を余儀なくされている今日、否応なしにそれが世界的規模での問題たらざるをえないことを鋭く指摘する。困難な利害調整に国民的関心の高まりを期待したい。本号では、専門家以外の目に触れにくい船のリサイクルの重要性を説く山路宏氏の投稿を得た。地球規模での環境保全と資源の節約の重要性を考える時に、日本が果たすべき役割は確かに大きい。三氏に多謝。インフォメーションの科学技術・学術審議会海洋開発部会の初会合、今後の動きに注目したい。(了)

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