Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第161号(2007.04.20発行)

第161号(2007.4.20 発行)

インフォメーション  東アジア海域の持続可能な開発に向けた地域協力―東アジア海洋会議2006の成果から

昨年12月、海洋・沿岸域管理にかかわる政府関係者、研究者、産業界、非政府組織、国際機関など約700人が一堂に会し、「東アジア海洋会議2006」が中国・海南島の海口(ハイコウ)市で開催された。東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA)を中心に、海洋政策研究財団を含む44の機関が共同開催者に名を連ねた。

PEMSEAは1994年、途上国の海洋汚染対策や沿岸域管理の支援を目的に発足し、1999年以降は海洋の持続可能な開発に向けた多様な関係者間の連携強化を図ってきた。そして現在、より長期的な地域協力メカニズムとして再編・強化されつつある。

PEMSEAの一つの特色は、東アジア海洋会議の会期中に閣僚レベルで合意文書を採択することで、多国間の共通認識と政治的意思の形成を図っている点にある。2003年のマレーシアでの第1回会議では、東アジア海域が直面している諸問題と対応策を明記した「東アジア海域の持続可能な開発戦略(SDS-SEA)」が採択された(同戦略の邦訳は海洋政策研究財団から入手可能)。2度目の開催となる今回は、「東アジア海域の持続可能な開発戦略の実施に関する海口パートナーシップ合意(海口合意)」が採択・署名され、2007年以降のパートナーシップのあり方と新たな運営体制(下図参照)が正式に合意された。

海口合意は、PEMSEAをSDS-SEA実施のための地域調整メカニズムとして位置付け、分野別の取り組みから統合的な海洋沿岸域ガバナンスへ、また、危機対処型の対応から長期的な能力構築への転換を掲げている。優先的目標としては、能力強化、10年単位の地域パートナーシップ計画の策定、既存の取り組みを評価分析した報告書"State of the Coast"の作成、統合的沿岸管理計画の実施などが盛り込まれている。

東アジア海域の持続可能な開発に向けて、あらゆる関係者が参加するパートナーシップ・アプローチをとる地域協力体制は、こうして新たなスタートラインに立った。課題は山積しており、今後の具体的行動が、その成否を左右することになる。


(海洋政策研究財団 大久保彩子)

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