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第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)

起業をつうじた社会課題解決⑦

~地方の子供たちに世界レベルの教育をAPI(エー・ピー・アイ)~

笹川平和財団


2025.02.06

【APIの創業者ヴァナックさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

【カンボジア Cnai アクセラレータープログラム】

 笹川平和財団は2022年度より、カンボジアで起業家支援の「Cnai(チェナイ:革新)アクセラレータープログラム」を実施している。このプログラムは、2021年度にミャンマーのVC、Emerging Market Entrepreneurs (EME)と共同開発したSanthit(サンティット:革新)アクセラレータープログラムをモデルにしており、世界的に有名なアーリーステージに投資を行うVCであるVillage Capitalのカリキュラムを採用している。

 「Cnai」とはクメール語で「革新・イノベーション」という意味で、このプログラムはジェンダー視点[i]を重視し、女性起業家が男性起業家と対等に参加できる公平な学びの場を提供している。参加起業家はステージごとに選抜され、ファンドを受け取り、伴走支援を受けながら事業を拡大させていく。2023年末から始まった第二期では、昨年度からのパートナーである、アジア開発銀行(ADB) Frontierに加え、カンボジア政府機関のクメール・エンタープライズ、米国政府機関のHarvestIII(ハーベスト・スリー)、オーストラリア政府機関のCAPRED(キャプレッド:Cambodia Australia Partnership for Resilient Economic Developmentの略)が新たに共同パートナーとして参画している。このことにより、Cnaiコミュニティづくりや展示会の実施、カリキュラムの拡充を行うことができた。多くのパートナーを巻き込むことで、コレクティブインパクトを生み出している好例であると言える。第一期に続き、今回、第二期のファイナリストの起業ストーリーや課題、ビジネスにかける思い、そしてビジネスを通じてどのように社会課題の解決に貢献しているかについてお話を伺った。
 
[i] Cnaiアクセラレータープログラムの対象は女性だけでなく男性起業家も含むが、プログラムの設計段階から、ジェンダー視点を有している。例えば、本アクセラレーターのホームページのイメージキャラクターは女性起業家だ。またCnaiのホームページでは、ジェンダーに配慮した言語表現や書きぶりを徹底している。また、多くの起業家支援プログラムは大人数の前でのピッチイベントを実施するが、社会的に人前で話す機会が限られてきた女性には不利となりうる。本プログラムでは、起業家の参加態度とプログラムへのコミットメントを最も重視している。またピッチも大人数に対してではなく、数人の審査員の前で、プレゼンテーションを15分、質疑応答の時間を30分とするなど、実際に投資家と話す際に起こりうる状況を再現している。また、参加起業家は、ジェンダー指標を設定し、事業の実施を通じ、いかにジェンダーへのインパクトを出せるかが審査の際に考慮される。
 
第二期生へのインタビュー第三弾として、幼稚園から高等学校の13年間の教育 (K-12)を提供するインターナショナルスクール、API(Australia Pacific International School) (エー・ピー・アイ、以下API)の共同創設者であるヴァナック・ソス(Vannak Soth)さんにお話しを聞いた。

APIは、アンコールワットのある 地方都市シェムリアップの中心地に位置し、現在1歳半から18歳までの計800名の生徒が、世界有数の教育サービス企業であるピアソンのカリキュラムに沿って世界レベルの質の高い教育を実践している。APIが最も重視しているのは将来のリーダーを育成するためのキャリア教育であり、生徒たちには在学中から将来のキャリアについて学ぶ機会を提供している。

- APIを設立した経緯や思いを教えて下さい。

【シェムリアップ中心地に建つAPI(写真:API提供)】

約20年前、高校生だった私は、自分の進路について考えが分かりませんでした。両親はシェムリアップ郊外の田舎で小売店を経営していて、私に医者になってほしいと思っていました。私の母は小学校2年生までしか教育を受けませんでしたが、一生懸命働きながら私と妹を大学に行かせてくれました。このような母の姿を見て育った私は、自分も頑張らなくてはと思っていました。今の若い人は首都のプノンペンに行ったり、海外に行く機会もありますが、当時はそうではありませんでした。大学では観光業とホテル経営のコースを取り、在学中からホテルで働き始めました。

当時勤務していたホテルによく通っていたオーストラリア人夫婦と仲良くなり、話をするようになりました。その夫婦にシェムリアップ郊外の私の出身コミュニティで学校を作るNGOを紹介され、現地アシスタントとして働くことになりました。最初は数年したらまた次の仕事をするつもりでしたが、結局そこで10年働きました。NGOでの勤務経験はとても大変でやりがいのあるものでした。事業運営から学校経営に関すること、外国との連携や今までやったことのないあらゆることを学び、一生懸命働きました。

2013年にシェムリアップの中心部でも学校を設立したいという思いから、APIを設立しました。最初に直面したのが、非営利と営利の運営・経営の仕方の大きな違いでした。NGOで働いていた時は、コンピューターが必要であればアメリカやオーストラリアの本部に掛け合えば入手できましたが、営利企業になった途端、そのようなことはできません。当時の私はキャッシュフローの意味すら知らず、非営利から営利のマインドに頭を変えることにとても苦労しました。

しばらくの間学校の教育モデルを模索しましたが、現在の午前中は現地のクメール語、午後は英語のクラスというスタイルに落ち着きました。設立から5年が経ったある日、これまで自分がやってきたことを振り返っていました。今のカンボジアに足りないものは何か、それに対して自分に何ができるのか。高校生の時の自分と同じように、7割のカンボジアの高校生がどのようなキャリアに進めばよいのか分からないというデータがあります。その時、当時の自分のように、どの進路に進めばよいか分からない生徒を一人でも減らし、その生徒が学校に入る時からキャリアに対する考えを持ち、その進路に対して準備し、自分のように時間を無駄にせずに済んだら、カンボジアは大きく発展できると思ったのです。それから学校でマンツーマンのキャリア指導、様々な職業の専門家との交流、学期末に生徒が職場経験を行う機会を作りました。また、Cnaiプログラムに参加中に、OKR(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)を設定しましたが、その中でより体系化したキャリア準備プログラムを作ることを目標の一つにしました。

2013年に25人の生徒と8人の職員でスタートした学校は、1年の間に生徒の数が90人に増え、それからずっと拡大し、現在は800名の生徒が在籍しています。現在、特別な支援を必要とする生徒も全生徒の10%を占めており、その子たちが不自由なく勉強できるように包摂的な教育環境が整いつつありま す。学業においても生徒たちは優秀な成績を収めています。グレード12(16歳~18歳)が参加した全国試験では、最上位のAを取る学生は全国で全体の3%ですが、APIの学生の30%がAを取り、合格率は100%でした。

- Cnaiアクセラレータープログラムへ参加することになった経緯と、これまでの学びで印象的だったことを教えて下さい。

【Cnaiのワークショップに参加するヴァナックさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

Cnaiのことを知った時、最初は応募する気がありませんでした。以前、他のプログラムに応募した際、カンボジアでは農業が重要なセクターであるため、教育分野の起業家への関心度と優先順位が低いと感じる苦い経験をしたからです。でも、Cnai第一期に参加したSiem Reap Farmers Marketの共同創設者であるセライスさんと同じホテルで働いていたことから、彼の夫で共同創設者のセング・シブンヘム(Saing Sivnhem)さんから応募を進められました。Cnaiは分野横断プログラムで、ACTのような学校も参加していると聞き、私は常々投資を受ける準備をしたいと思っていたので、これはチャンスだと思いました。今まで銀行から融資を受けたことはありましたが、投資は受けたことがありませんでした。同じところにいてはこれ以上の成長はないと感じ、参加を決めました。

Cnaiのプログラムは非常に厳しいものでしたが、その分多くのことを学びました。どのステージも楽しかったですが、特に応募時のオンラインカリキュラムは秀逸で、今でもよく復習しています。まるで2年分のMBAが40のモジュールに凝縮されているかのようです。ストレスやプレッシャーを感じることも多くありましたが、Cnaiチームは常に私に大きな視野を持つこと、枠を超えて考えることを促してくれました。若い起業家には、ぜひCnaiへの参加を勧めています。たとえトップ7社に選ばれなくても、オンラインカリキュラムだけでも多くの学びがあり、価値のある体験になると思います。

- Cnaiはジェンダー視点を持ったプログラムです。Cnaiへの参加を通じて、ジェンダーについて学んだことはありますか?

【APIで学ぶ生徒たち(写真:API提供)】

正直なところ、研修を受ける前は「ジェンダー」と聞くと、女性を支援するばかりで実際には女性のエンパワーメントに繋がっていないと感じ、少し憤りを感じていました。しかし、Cnaiでジェンダー投資に関する外部専門家によるセミナーを受けたことで、考えが変わりました。APIが自然に事業の中で推進しているジェンダー平等の実態をデータとして示すことが、インパクト投資の獲得に繋がり得ることを学びました。参加後、これまで明文化されていなかった差別禁止に関する方針をすぐに作成しました。そして、これまで冗談のつもりで言っていたことが実はスタッフメンバーを傷つけていたかもしれないと気がつきました。それ以来、自分の発言にとても気を付けるようになりました。

- Cnaiコミュニティの一員となってどうでしたか?

https://www.spf.org/admin/imgmngr/index.php?units=btxig_img&l=-99

【ヴァナックさんとCnaiチーム】

Xertificateのジェイソンさんとはとても良い友人になりました。彼以外の起業家ともたくさん話をして、多くのことを学びました。ジェイソンさんの挑戦をサポートしたく、現在、APIで彼のサービスを使えないか検討しています。

多くの素晴らしい起業家から学ぶと同時に、消極的な起業家もいることを学びました。Cnaiのピア・セレクションでは、毎回違う起業家とペアを組み、お互いの事業について学びを深めます。しかし、相手からのアプローチを待ち、急にミーティングをキャンセルしたり、 遅れて来たりする起業家もいました。こういった起業家は当然トップ7社には残りませんでした。何かをやる時は、必ず110%の力で取り組まなければならないのです。

- API Schoolの次のステップを教えて下さい。

【当財団のインタビューを受けるヴァナックさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

中期的には学校を拡大したいと考えています。既に土地を確保しているので、現在エクイティ投資のためのインパクト投資家を探しています。長期的には、全25州でAPIのモデルを再現したいと思っています。しかし、現在の限られた人材で拡大に目を向けると、焦点を失ってしまうと思っています。私はビジネスをタマリンドの木に例えるのが好きです。若い葉や花はスープに使え、果実も食べられます。木が成長すれば、種を取ることもでき、薬にもなります。枝を接木することも可能です。しかし、早い段階で木を切ってしまうと、これらの恩恵を得ることができません。

APIも適切な時期を待って拡大したいと考えています。そして、APIで学ぶ子供たちには、これからの時代に必要になる知識、リーダーシップ能力、実務的なスキルを養い、変化する職のニーズに対応できるよう準備していきたいです。また、様々な生徒が多様性を重視する安心・安全な環境で学び、変化する世界に対応できるよう、レジリエンスを高める教育を提供したいと思っています。

- 編集後記

Siem Reapの郊外で育ったヴァナックさんは、子供のころ、20キロ先のアンコールワットまで自転車で行き、外国人に自ら話しかけて英語を学んだという。常に行動し、学び、挑戦する姿勢が彼を起業家として成功させたのだと、その自信に満ちたたたずまいや話し方から感じられる。

APIは、2019年に経営が黒字化し、その後も生徒の数は年に15%増加している。昨年の収益も32%増と経営は起動に乗っている。

Cnai参加後、ヴァナックさんは当財団が地方の零細女性起業家を支援するために立ち上げたメンター研修プログラム(Inclusive Mentoring Network for Entrepreneur: IMNETイムネット)のメンターとして参加してくれた。一歩先を行く先輩起業家として、研修プログラムに積極的に参加し、精力的にメンティーとのコミュニケーションを行い、プログラムの中で模範的なメンターの一人となった。常に努力を重ね、自身の成功に留まらず、次世代を支援するヴァナックさんのような存在が、APIで学ぶ生徒たちだけでなく、明日のカンボジアを作る若い起業家たちの道しるべとなっている。

第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)
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