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第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)

メンターシップを通じた地方の零細女性起業家のエンパワーメント①シェムリアップ編

~ジェンダー視点を有したメンター育成プログラムIMNEt(イムネット)~

笹川平和財団


2025.07.09

【IMNEtパイロット期を卒業したシェムリアップのメンター達。右から4番目がラ・ヤさん。(写真:Swisscontact提供)】

【カンボジア IMNEt(イムネット)プログラム】

 カンボジアにおいて、女性主導の企業は全体の7割を占め、女性起業家はカンボジア経済及び社会の根幹を担っている。しかしながら、女性起業家はその社会的、文化的背景からも企業成長のために必要な資金調達、市場へのアクセスなどで多くの課題を抱えている。さらに、地方と都市のリソースへのアクセス格差も顕著である。例えば、同国では近年起業家支援が盛んであり、多くの起業家支援プログラムが存在する。しかし、その多くが首都プノンペンに集中しており、地方の起業家が参加するにはハードルが高い。笹川平和財団はこのような地方の女性起業家が持つ障壁を、2023年度に実施したカンボジアのジェンダー投資概況調査で特定した。その他、この調査ではいくつかの重要な課題が浮き彫りになった。まず、女性起業家への支援を広げるジェンダー視点を有した起業家支援組織は全体の2割程度でしかないこと。零細起業家の資金ニーズ額は小さいにも関わらず資金調達へのアクセスが足りないこと。地方の起業家ほど、ビジネス成長支援に対するニーズが高いのにも関わらず、十分にアクセスがないこと。更には、零細・小規模の企業のほとんどが非登録企業であり、伝統的な金融機関からの資金調達の課題になっていることなどの課題が浮き彫りになった。そして、女性起業家特有の課題を克服するためには、メンターの存在が有効であり必要とされていることも分かった。
 
上記の調査結果をもとに、笹川平和財団は現地の関係者やパートナーとの協議を経て、2024年度に地方の零細女性起業家をエンパワーし、支援するためのメンター育成プログラム「IMNEt(Inclusive Mentoring Network for Entrepreneurs:イムネット、起業家のための包摂的メンターネットワーク)」を立ち上げた。カンボジアの起業家支援エコシステムの中核を担い、政府のプログラム「起業家支援エコシステムと投資促進プログラム:Enhancing Entreprenerial Ecosystem and Investing (3EI)」を実施するNGOであるSwisscontact Cambodiaを主パートナーとし、Impact Hub Phnom Penh、Cambodia Coaching Instituteと協働してカリキュラムを作成した。カリキュラム作成にあたっては、現地の起業家とのフォーカス・グループ・ディスカッションを実施し、地方特有の課題やジェンダーの視点を取り入れた。このプログラムはすべてクメール語で実施されている。メンター候補生の多くは自身も起業家であるが、成功した起業家が必ずしも良いメンターであるとは限らない。そのため、研修ではコーチングスキル、傾聴力、自身のメンタースタイルや動機を理解するための自己理解など、メンターとして重要なスキルの習得に多くの時間を費やした。

今回、パイロット事業として地方都市であるシェムリアップとバッタンバンにおいて、25名のメンター候補生を対象にメンター育成研修を実施した。これらの候補生は、それぞれの都市における零細女性起業家(メンティー)25名に対し、2か月間のメンターシップを提供した。
このプロセスを経て、2025年2月に開催された修了式では、プログラムを修了したメンターに修了証が授与され、メンターシップの重要性をテーマとしたパネルディスカッションも行われた。
この機会を活かし、メンターおよびメンティーへのインタビューを実施。彼女たちがIMNEtへの参加に込めた思いや、地方の女性起業家が直面する課題、そしてメンターシップの意義について話を伺った。


 

世界遺産アンコールワット

世界遺産アンコールワットがあることで有名な地方都市シェムリアップでは、メンターとしてIMNEtに参加してくれたRa Ya(ラ・ヤ)さんにインタビューを実施した。彼女は、子供が水害にあわないように必要なスキルを教える水泳教室「Survival Swim Club(サバイバル・スイム・クラブ)」を夫と経営している。
また、メンターシップを受けたメンティーとして、自然素材のスキンケア商品を製造販売し、スパを経営する「Angkor Diamond Scrub and Spa(アンコール・ダイアモンド・スクラブ&スパ)」のKhoy Morokot(クオイ・モロコット)さんにインタビューを行った。
 
 

- IMNEtプログラムに参加した動機を教えて下さい

メンターのラ・ヤさん(左)とメンティーのモロコットさん(右)(写真:Swisscontact Cambodia提供)

(メンティーのモロコットさん)私は2017年に家族からの経済的支援は一切受けず、自力で小さなビジネスを立ち上げました。毎日午後にはビジネスの運営を行い、夕方から翌朝にかけては夜勤のレジ係として働いていました。この仕事の収入を貯金し、事業の成長のために再投資していました。私は学校を卒業してすぐに結婚し、それまでビジネスの経験がまったくなかったため、起業をする中で多くの困難に直面しました。数年間懸命に努力しましたが、ビジネスは小規模なままで、持続的な成長のための効果的な戦略を見つけるのに苦労していました。ですので、IMNEtプログラムに参加することで、その壁を打破するきっかけを得たいと考えました。

(メンターのラ・ヤさん) 私はファミリービジネスを夫と経営しています。以前自身のビジネスで資金調達の課題があった時、サポートしてくれるメンターがいたらどんなに良かったかと思っていました。私は貧しい家庭で育ったこともあり、他の人を支援したいという思いが強く、自分のように課題を抱える起業家を支援できれば、という思いからプログラムへの参加を決めました。

 

-参加した前と後ではどのような変化がありましたか

【ラ・ヤさんの経営する水泳教室でメンターシップを受けるモロコットさん(写真:ラ・ヤさん提供)】

(メンティーのモロコットさん)以前は、いつもイライラしていて、落ち込むこともよくありました。一人で子育てしながら営むビジネスを諦めかけたこともありました。IMNEtに参加したことで、メンターのラ・ヤさんが自分をサポートしてくれていると感じることができました。また、ラ・ヤさんが「卸売りにも進出するように」と、今まで考えたこともないアイデアをくれました。少しずつビジネスが成長するのを感じ、それに伴って少し自信が出てきました。メンターシップを通じて、ビジネスの成長のために何をやらなければいけないかが分かるようになりました。その一つが自身の「ブランド登録」でした。そのために政府事務所に行くときはとても緊張しましたが、無事に登録することができました。
 
(メンターのラ・ヤさん) 彼女が自身のビジネスのブランド登録をした時は本当に嬉しかったです。ブランドの登録なしにはビジネスを拡大することはできないと思っていました。前にNGOで働いていたこともあり、これまで多くのメンターシップをしてきましたが、IMNEtプログラムに参加することで、これまで疑問に思っていたことが明確になりました。自分のメンターシップのスタイルを理解すること、メンティーとの関係性や信頼関係の構築の仕方、境界線の引き方、守秘義務の重要性、メンターシップの目的を理解して目標を立てることや課題を設定することなどです。カンボジアの多くの女性起業家の自信を持つことに苦労しています。メンターとして、私たちの役割は、メンティーが自分自身と自身の成長の可能性を信じることを手助けすることなのです。

-IMNEtに参加して、心に一番残っている瞬間は何でしょう

【コーチングスキル研修に参加するメンター達(写真:Swisscontact Cambodia提供)】

(メンティーのモロコットさん)メンターとメンティーのマッチングの日はとても緊張しました。自分のことを話すだけでも緊張するのに、もしメンターが男性だったらどうしようと思っていました。なので、ラ・ヤさんが現れた時には本当に嬉しかったです。とても気さくで優しく、私のビジネスの課題に向き合ってくれました。ラ・ヤさんはとても忙しい方なのに、親身になって支援してくれました。ラ・ヤさんは何も得るものがないのに、私の事業がうまくいくことを心から望んでくれたのです。
 
(メンターのラ・ヤさん) 実は、マッチングの日、母が病気になってしまい、会場に遅れて到着しました。私が行かないとメンティーが一人になってしまうという気持ちで急いでいきました。メンターシップが始まってからは、時間を作って100%コミットしました。
 
(メンティーのモロコットさん)IMNEtの修了式でパネリストとして、多くの人の前で話をしたことが信じられません。これまでは人前で話す自信もなく、すごく緊張してしまいました。でも今はもっと自分に自信が持てていて、幸せを感じています。
 

-いずれメンターにになって他の起業家を支援したいと思いますか?

(メンティーのモロコットさん)現在、恵まれないコミュニティに対し、研修やアドバイスを提供しています。是非将来は他の起業家に対しても支援したいと思っています。

- 編集後記

いずれ自分もメンターになりたいか?という質問に対して、少し考えるメンティーのモロコットさんに、優しく手を添えて、「あなたならできるよ。」というメンターのラ・ヤさん。二人の関係を象徴する一コマであった。また、ラ・ヤさんの話をききながらモロコットさんが涙ぐむシーンもあった。メンターのラ・ヤさんは、笹川平和財団が実施するCnaiアクセラレータープログラムの第一期に参加した起業家である。彼女は当時ビジネスの知識や経験も不十分で、プログラムへの参加を通じて多くのことを学んだものの、次のステージ(選抜7社)に進むことはできなかった苦い思い出がある。こんな時にも支えてくれるメンターがいたらまた違ったかもしれないという思いもあって、IMNEtに参加してくれたという。
 
IMNEtは、単なるメンター育成プログラムではなく、包摂性を備えたメンター文化の醸成、エコシステムの構築を上位目標に掲げている。そのために、第二期の実施においてもパイロット期のフィードバックを踏まえ、様々な取り組み、仕掛けを行うべく、パートナーたちと協議を進めている。カンボジアにおいてメンターシップが恒常的・自律的に実施されることで、モロコットさんのように、いずれ先輩起業家となった際に若い起業家たちを支援していく「恩送りの分化」が根付き、支援の輪が繋がっていく。そのことにより、出自を問わず、誰もが取り残されない起業家支援のエコシステム作りへの貢献を目指していきたい。

(笹川平和財団 アジア・イスラム事業ユニット 第3グループ 研究員 伊藤悦子)
 

第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)
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