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第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)

起業をつうじた社会課題解決⑤ 

~ ブロックチェーン技術で築く、不正の無い社会 Xertificate(サーティフィケート) ~

笹川平和財団


2024.10.08

【Xertificateの創業者ジェイソンさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

【カンボジア Cnai アクセラレータープログラム】

 笹川平和財団は2022年度より、カンボジアで起業家支援の「Cnai(チェナイ:革新)アクセラレータープログラム」を実施している。このプログラムは、2021年度にミャンマーのVC、Emerging Market Entrepreneurs (EME)と共同開発したSanthit(サンティット:革新)アクセラレータープログラムをモデルにしており、世界的に有名なアーリーステージに投資を行うVCであるVillage Capitalのカリキュラムを採用している。

 「Cnai」とはクメール語で「革新・イノベーション」という意味で、このプログラムはジェンダー視点[i]を重視し、女性起業家が男性起業家と対等に参加できる公平な学びの場を提供している。参加起業家はステージごとに選抜され、ファンドを受け取り、伴走支援を受けながら事業を拡大させていく。2023年末から始まった第二期では、昨年度からのパートナーである、アジア開発銀行(ADB) Frontierに加え、カンボジア政府機関のクメール・エンタープライズ、米国政府機関のHarvestIII(ハーベスト・スリー)、オーストラリア政府機関のCAPRED(キャプレッド:Cambodia Australia Partnership for Resilient Economic Developmentの略)が新たに共同パートナーとして参画している。このことにより、Cnaiコミュニティづくりや展示会の実施、カリキュラムの拡充を行うことができた。多くのパートナーを巻き込むことで、コレクティブインパクトを生み出している好例であると言える。第一期に続き、今回、第二期のファイナリストの起業ストーリーや課題、ビジネスにかける思い、そしてビジネスを通じてどのように社会課題の解決に貢献しているかについてお話を伺った。
 
[i] Cnaiアクセラレータープログラムの対象は女性だけでなく男性起業家も含むが、プログラムの設計段階から、ジェンダー視点を有している。例えば、本アクセラレーターのホームページのイメージキャラクターは女性起業家だ。またCnaiのホームページでは、ジェンダーに配慮した言語表現や書きぶりを徹底している。また、多くの起業家支援プログラムは大人数の前でのピッチイベントを実施するが、社会的に人前で話す機会が限られてきた女性には不利となりうる。本プログラムでは、起業家の参加態度とプログラムへのコミットメントを最も重視している。またピッチも大人数に対してではなく、数人の審査員の前で、プレゼンテーションを15分、質疑応答の時間を30分とするなど、実際に投資家と話す際に起こりうる状況を再現している。また、参加起業家は、ジェンダー指標を設定し、事業の実施を通じ、いかにジェンダーへのインパクトを出せるかが審査の際に考慮される。
 
 第二期生のトップバッターとして、近年急速に拡大しているWeb3の代表的な例であるブロックチェーン技術を活用するXertificate(サーティフィケート)の創業者である男性起業家、ジェイソン・チンリム(Jason Chhinlim)さんに話を聞いた。同社はブロックチェーン技術を使い、偽の資格や経歴を提示することで経歴詐称をする行為や、そうした人を雇用してしまう被害を防ぐ事業をしている。

- Xertificate社を設立した経緯や思いを教えて下さい。

【Xertificate社が発行したブロックチェーンを活用したデジタル証明書(写真:Xertificate提供)】

カンボジアでは、10年前なら5ドルで近所のコピー店で架空の良い履歴書を作ることができました。実際、数年前に知り合いがフォトショップを使って学歴詐称を行い、仕事を得たこともありました。しかし、最終的には不正が発覚して職場を解雇され、一年近く刑罰を受けました。このような詐称が存在することで、努力して学業を修めた人々が得るべき機会が奪われることは許されないと強く感じています。明確なデータはありませんが、最近、国内で医学部に通う20人の学生が高校卒業証明を詐称していた事件が発覚しました。これは氷山の一角に過ぎません。学歴や職歴の詐称という問題は、発展途上国でも先進国でも問わず存在し、大きな問題だと思っています。

 私は、4年ほど前からブロックチェーン技術に興味を持ち始め、専門家に話を聞いたり、独自に勉強を始めました。ブロックチェーンは、一度記録されると改ざんできない仕組みです。このテクノロジーの力を使って、社会的意義のある使い方ができないかと考えました。それを実行するために、Xertificate社を立ち上げる前には、実験的に7000件ほどのデジタル資産を作り、管理するプロジェクトを運用し、経験を積んだり後、2023年10月にXertificate社を設立しました。外国には同様のサービスを提供する会社もありますが、一つの用途に特化しているところが多いです。我々はブロックチェーン技術を様々な用途に活用し、学歴や資格の証明だけでなく、芸術や出版等の著作権に関わるもの、また、コーヒーをはじめとする農産物等の生産履歴の追跡(トレーサビリティー)の分野にもビジネスを拡大しています。現在(2024年10月)では、5つの団体・企業が顧客で、無料トライアル中の顧客を含めると10に上ります。
 
 私たちは、学校や個人と契約を結び、許可を得た後、卒業証書や資格証明などの重要なデータをブロックチェーン技術を使ってデジタルで記録します。この技術により、証明書は改ざんや偽造が不可能になり、信頼性が大幅に向上します。また、証明書に追加情報や独自のデザインを組み込むことも可能です。一度記録された証明は、後から削除や変更ができないため、安全で永久的な記録として機能します。また、一度作成したデジタル証明書は、QRコードやウエブリンクで生涯アクセスできます。

- Cnaiアクセラレータープログラムへ参加することになった経緯と、これまでの学びで印象的だったことを教えて下さい。

【Cnaiのワークショップに参加するジェイソンさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

 友人である、第一期生ファイナリストのTenbox(テンボックス)社のダネスさんからプログラムについて紹介されました。最初は、ジェンダー視点のあるプログラムということで、女性起業家限定だと思っていました。でも男性起業家でも参加できると知り、プログラムのことを知るにつれて、興味を持つようになりました。また、笹川平和財団などの国外パートナーが実施するプログラムなら、新しい技術を使ったXertificateのビジネスモデルも理解してくれるのではないかと思ったのです。でも正直、勝ち抜けると思っていなかったので、ファイナリストに選ばれてびっくりしています。

 Cnaiのカリキュラムはとても充実しており、期待を上回るものでした。いまだにオンラインの教材にアクセスして復習することもあります。また、Cnaiチームからの率直なフィードバックが非常に役立ちました。彼らはネットワークの強化にも尽力してくれました。他のプログラムと異なる点は、Cnaiが参加企業を積極的に変化させようとするところだと思います。その分、Cnaiはとても厳しいプログラムでした。Xertificateには私の他に、ファイナンスを担当する女性とテック開発を担当する男性の共同創設者がいるので、サポートし合いましたが、Cnaiの宿題をこなすために正直睡眠時間を削りました。

- Cnaiへの参加を通じて、ジェンダーについて学んだことはありますか?

【Cnaiでジェンダー研修を受けた後、すぐに社内で安全で包摂的な職場に関する方針を打ち立て、これまで全スタッフが署名した。(写真:Xertificate提供)】

 Cnai参加前にも、自分なりにジェンダーと多様性の重要性について理解していました。しかし、プログラムに参加してその理解がさらに深まりました。包摂的な職場を作り、多様性を確保することで、より創造的なアイデアが生まれるということです。でも正直に言うと、そんなことは当たり前だと思っていて、その価値が分からない人のことが不思議です。自分の経験からも、多様性は時に相いれないアイデアを生み出すかもしれませんが、大きなことを達成するためには、今までのやり方を変え、自分の聞きたいことだけを言う人を周りに置いてはいけないと思っています。時には、破壊的(Disruptive)な環境を作ることが大切だと思っています。

 Cnaiでは、外部から専門家を招いてジェンダーに関する講座がありました。包摂性・多様性の確保は当然だと思っていましたが、セクシャルハラスメントなどのハラスメントに対する方針をしっかり明文化することが重要だということを学び、講座を受けた後、すぐに社内で実行に移しました。

- Cnaiコミュニティの一員となってどうでしたか?

【Cnaiのコミュニティイベントで登壇するジェイソンさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

 生涯付き合っていきたいと思える、多くの起業家の仲間が出来ました。特に、同じくファイナリストであるAPI(Australia Pacific International School)の創設者、ヴァナック(Vannak)さんと良い友人になり、起業家の先輩である彼から多くのことを学びました。Cnaiに参加しなければ、出会うことができなかった人の一人です。

- Xertificateの次のステップを教えて下さい。

 経歴詐称による詐欺行為が過去のものとなる社会をつくることです。もちろん、頑固でいてはいけないところもあるので、柔軟にビジネスも変容・発展させていくつもりです。Xertificateは私にとって初めてのフルタイムのベンチャーであり、自己資金を使って切り盛りする状況が続きますが、起業したことは人生の中で最も良い決断の一つだったと思っています。

- 編集後記

 小さいころからテック愛好家でデザインが大好きだったジェイソンさん。大学で建築・デザインを学ぶ傍ら、若者の異文化理解とリーダーシップを促進する非営利組織でボランティアをして、その後そのまま同団体のマネージメントに関わった。その後、民間企業で、6年間アジア太平洋地域の担当として、マーケットプロダクト開発とイノベーションに従事したが、非営利団体での経験は、ジェイソンさんにWeb3技術を社会課題にどのように活用できるかを考えさせるきっかけとなったという。ブロックチェーンという比較的新しい技術を使っていることもあり、なかなかカンボジアではXertificateのビジネスは理解されない、とジェイソンさんは言う。2024年10月には、Cnaiプログラムの一環で、日本への視察がある。テクノロジーが進む日本で多くの関係者と協議をしてパートナーシップを構築したい、と意気込むジェイソンさん、イノベーションを活用して課題に取り組む若き起業家の挑戦を見守っていきたい。

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