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第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)

【女性起業家の挑戦】起業を通じた社会課題解決 第四回 - カンボジア Eコマースの可能性

~ カンボジア女性小売店を成長させる起業家精神 Tenbox(テンボックス) ~

笹川平和財団


2023.12.15

【首都プノンペンのシェアオフィスに事務所を構えるTenbox】

【カンボジア Cnai アクセラレータープログラム】
 
笹川平和財団が、2022年度よりカンボジアにおいて実施しているCnai(チェナイ:革新)アクセラレータープログラム。2021年度にミャンマーのベンチャーキャピタル(VC)であるEmerging Market Entrepreneurs (EME)と共同開発した「SanThit(サンティット:革新)」アクセラレータープログラムをモデルとし、世界的に有名なアーリーステージの起業家への投資を行うVCであるVillage CAPITALのカリキュラムを採用している。カンボジアでは、パイロット事業として第一期を現地パートナーのCambodia Investors Corporation(CIC)、アジア開発銀行(ADB) Frontier、EMEと計4組織で協働実施した。Cnaiはクメール語で「革新・イノベーション」という意味で、ジェンダー視点[1]を持ち、女性起業家でも男性起業家と対等な立場で参加できるよう、公平な起業家育成の場を提供している。カンボジアの起業家支援エコシステムの中では、投資家が実施機関となり、ジェンダー視点を有しているという点で革新的な取り組みだ。参加起業家はステージごとに選抜され、ファンドを受け取り、伴走支援を受けながら事業を拡大させていく。今回、最終選考に残った4社は、図らずとも全て女性起業家が率いている。彼女たちに、それぞれのストーリーや課題、ビジネスにかける思い、また彼女たちがビジネスを通じて、いかにカンボジアの女性のエンパワメントに貢献しているかについて話を伺った。
 
[1] Cnaiアクセラレータープログラムの対象は女性だけでなく男性起業家も含むが、プログラムの設計段階から、ジェンダー視点を有している。例えば、本アクセラレーターのホームページのイメージキャラクターは女性起業家だ。またCnaiのホームページでは、ジェンダーに配慮した言語表現や書きぶりを徹底している。また、多くの起業家支援プログラムは大人数の前でのピッチイベントを実施するが、社会的に人前で話す機会が限られてきた女性には不利となりうる。本プログラムでは、起業家の参加態度とプログラムへのコミットメントを最も重視している。またピッチも大人数に対してではなく、数人の審査員の前で、プレゼンテーションを15分、質疑応答の時間を30分とするなど、実際に投資家と話す際に起こりうる状況を再現している。また、参加起業家は、ジェンダー指標を設定し、事業の実施を通じ、いかにジェンダーへのインパクトを出せるかが審査の際に考慮される。
 第4弾となる今回は、スーパーなどの食材店であるサプライヤーとレストランや小売り店を繋ぐB2B(ビジネスとビジネスを繋ぐ事業形態)のEコマース会社、Tenbox(テンボックス)の共同創業者のダネス・ラズメイ(Daneth Rasmey)さんとソクメイ・ティ(Sokmey Ty)さんのお二人だ。カンボジアでは近年急速にEコマースが発展しており、日本でもおなじみのUber Eatsなどの他にも、Food Panda、Nyam 24をはじめとした、B2C(ビジネスと顧客を繋ぐ事業形態)のプラットフォームが多数存在する。そのような中、B2Bプラットフォームの不在に目を付け、ビジネスを始めた二人の女性起業家に話を聞いた。

- お二人の手掛けるビジネスについて教えて下さい。

【共同創業者のダネスさん】

 (ダネスさん)Tenboxは2021年に私たちが創業した、卸売りのB2Bのセールスプラットフォームです。スーパーなどの食材店などのサプライヤーと、商品を買うカフェ、レストランや小さな商店とを繋ぎ、ワンクリックで欲しい商品が手に入るEコマースプラットフォームを構築しています。

- お二人がTenboxを創業・携わることになった経緯や思いを教えて下さい。

 (ダネスさん)7年ほど前、当時大学生だった私たちは、プノンペン市内の大学に通いながら、大学の前のマーケットで小遣い稼ぎとしてフライドチキンの売店を始めました。毎朝早く起床して店を開け、サプライヤーから食材を仕入れて、料理をして、店を回し、夕方に大学に行くという生活を3年ほど続け、疲れ果ててしまいました。大学卒業後は、一度企業で経験を積もうと思い、ソクメイは金融で、私はマーケティングの会社に就職しました。その後、2021年のコロナ禍に、また何か自分たちでビジネスを始めたいと思いました。その時、以前フライドチキンを売っていた時の記憶、マーケットに食材を買いに行き、重い仕入れ品を運ぶのがとても大変だった事にヒントを得ました。またカンボジアでFood PandaなどのEコマースが進んでいるので、同じような仕組みがB2Bでできるのではないかと考えました。以前のお店経営の経験から既に何軒かのサプライヤーを知っていましたので、簡単なウエブサイトとフェイスブックのページを作成して、買う人がいるか試してみたのです、そうしたらオーダーが入りはじめたのです。

【共同創業者のソクメイさん】

 (ソクメイさん)私たちは、シンプルなアイデアを試していくことから始めました。始めてみると、他に誰もB2Bでやっているところはありませんでした。また、このようなEコマースには、顧客である小売店が使えるキャッシュフローを円滑化するための柔軟な支払い方法がないという課題が見えるようになりました。
 
 (ダネスさん)ちなみに、Tenboxとは10個の箱、つまり「卸売り」の意味です。一回のオーダーでまとめて10箱くらい注文するという意味です。私たちは卸売りの価格で売り、サプライヤーから3-5%のコミッションをもらうというビジネスモデルをとっています。創設当初は、注文が入った商品を我々がサプライヤーから買い、タクシーで配達していましたよ。20オーダーくらい入ったところから、ビジネスとしてやっていけるという自信につながり、本格稼働し始めました。

- Cnaiアクセラレータープログラムへ参加することになった経緯と、これまでの学びで印象的だったことを教えて下さい。

 (ダネスさん)CICのフェイスブックページで募集を見て、やってみようと思いました。カンボジアで実施される、既存のアクセラレータープログラムは、最後にピッチコンテストをやって終わる、一回きりのものがほとんどです。でも、Cnaiは最初から100の質問に答えて、自身のビジネスの足りないところや、自身のビジネス知識の足りないところがグラフで示されるなど、とても実践的でした。CnaiチームとOKR(Objectives and Key Results目標と主要結果)を設定し、毎週伴走支援を受けることにより、ただのビジネスコンペティションに参加しているのではなく、Cnaiチームと一緒に事業を作り上げているという実感がありました。他のアクセラレータープログラムが、これまで何をしてきたかに焦点を当てるのに対し、Cnaiではこれから何を達成したいかを問われました。多くの課題は仕事が終わった深夜近くに取り組むことが多かったですが、参加してからこれまで、多くの実践的なビジネススキルを学ぶことができました。

- カンボジアにおいて女性起業家としてのチャレンジはありますか?

 (ダネスさん)実は、女性起業家として、特別な障害や問題があるとは思っていません。むしろ女性ということで優しくしてくれることがあります。今後事業が拡大していくにつれて、私たちを見る周りの目も変わっていくかもしれませんが。

- Cnaiへの参加を通じて、ジェンダーについて学んだことはありますか?

  (ダネスさん)これまで我々は顧客の男女別データ等をとっていませんでした。しかし、Cnaiチームに強く勧められ、顧客がアプリにサインアップする際に性別を含むデータを入れてもらうことを準備しています。男女顧客データをとることで、顧客の利用状況や購買傾向などを深く理解することは、事業拡大にむけた明確な戦略を作る上で、重要であるという事を学びました。

- 現在どのような協力や支援が必要ですか?

【本インタビュー後2023年9月に、クレジットカード会社Visaおよびイオン銀行と共同でキャンペーンを開始。同サービスを利用する顧客は、52日間無利子で後払いが可能となる】

 (ダネスさん)顧客のニーズに合わせたサービスを提供するために、戦略的パートナーシップが必要です。例えば顧客のキャッシュフローを円滑化するために、クレジットカード会社との連携をして、顧客の金融アクセスを向上させたいと思っています。クレジットカードはカンボジアではあまり使われていませんが、日系スーパーマーケットのイオンでは、イオンクレジットカードの顧客に、45日~50日無利子で後払いさせてくれる制度があります。小売業にとって日々の経営に有利になるような、より多くの柔軟な支払いオプションを提供できるよう、金融パートナーを見つけたいと思っています。

 TenBoxの現在の顧客の6、7割はママパパストア(零細小売店)であり、この多くが女性によって経営されており、そのほとんどの女性経営者には金融サービスの利用経験がないため、クレジットヒストリーと呼ばれる利用履歴と信用情報がありません。だから顧客がTenboxを通じこれらの金融サービスを使うことで、クレジットヒストリーを積み上げていくことが可能になり、後に銀行から融資を得ることに繋がると思っています。また、Tenbox独自のPOS(販売時点情報管理)システムを現在作っており、Tenboxの顧客が在庫管理に利用することができるようにしています。このことによって、在庫管理や購入履歴の確認が容易になります。Tenboxのアプリで商品を購入する顧客にはこのPOSシステムを無料で提供しています。

【Tenboxのサービスを使用している小売店】

 現在、顧客の20%程度を占める、地方への拡大も重要だと思っています。地方のショップオーナーは、首都プノンペンまで商品を仕入れに来る必要がありますし、別のオンラインショップで注文しても、無事に商品が到着するかも分からないのが現状です。ここにビジネスチャンスがあると思っています。

- Tenboxの次のステップは何ですか?

 (ソクメイさん)取り扱う商品の種類を拡大して、ビジネスをオフィスへの文具やホテルへのアメニティなどの供給にも広げていきたいと思っています。
 
 (ダネスさん)また、家庭用品への拡大や、都市部以外の地方都市への拡大も視野に入れています。いずれは、カンボジア以外の東南アジア(タイ、ベトナム等)にも広げたいと思っています。サプライヤーは、Tenboxのプラットフォームを使うことで、多国間で商品を販売できることになります。

- 日本を含む若い起業家に何かメッセージはありますか?

 (ダネスさん)自身の強みを見つけてそこで勝負すること、そして弱みを補完するチームを作ること。困難な点にばかりフォーカスしていては、何も始めることはできません。ダイバーシティも重要です。私たちは年上の男性をCOO(最高執行責任者)としてチームに招き入れましたが、私たちとは違う視点を持っていて、配達管理の鍵となっています。また、CTO(最高技術責任者)にも男性を入れました。

 (ソクメイさん)自分が愛せることを特定することです。起業は簡単ではありません。起こりうるリスクを理解して、それに取り組むこと、そして決してあきらめないことが重要です。

- 編集後記

 Tenboxは、Cnaiアクセラレータープログラムに参加している最中に、アーリーステージのスタートアップを対象としたVCである、Choice Acceleratorから投資を受けることが決まった、将来を有望視されているスタートアップである。インタビューの中でも述べられていた、新しい取り組みも導入するなど、若い二人の女性起業家がイノベーティブな取り組みを推し進めている。そこには、大学生として起業した時のガッツと機動力、ビジネスチャンスを捉えようとする起業家マインドが宿っている。

第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)
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