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  • 【開催報告】小島嶼開発途上国の気候変動適応戦略 
第1グループ(戦略対話・交流促進担当)

【開催報告】
小島嶼開発途上国の気候変動適応戦略 

モルディブの人工島開発経験からの貢献

笹川平和財団アジア・イスラム事業グループ 主任研究員 前川美湖


2024.06.17
15分

主催:笹川平和財団、モルディブ国立大学、
   日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団、法政大学
開催日時:2024年2月29日(木)14:00-17:00 (JST)
会場:笹川平和財団10階会議室・オンライン(Zoom)配信

開会挨拶:笹川平和財団 安達一 常務理事

笹川平和財団 常務理事 安達一

笹川平和財団 常務理事 安達一

笹川平和財団のアジア・イスラム事業グループは、アジア地域の平和と安定の実現に向けた様々な取り組みを行っている。アジア地域では経済成長が目覚ましい一方で、人口変動、環境影響などの深刻な課題も抱えており、気候変動対策は重要な課題となっている。
モルディブ自身も、「国家適応策行動プログラム2006」など、積極的な適応策の策定と実施を試みてきた。モルディブは平均海抜が1.5mの島嶼国であり、海面上昇のリスクに直面しているため、環境と調和した都市開発が主要な政策課題となっている。本セミナーでは、首都マレに隣接する島フルマーレの開発事例を取り上げ、その取り組みや移住者による評価、残されたチャレンジについて議論する。フルマーレ開発には民間主導の側面もあり、所得の恵まれた層を中心に進められてきたが、中低所得層の移住や社会サービスの提供などの課題も存在する。持続可能な成功事例なのか、残されたチャレンジは何かを共有する機会となることを期待する。

基調講演:モルディブの気候変動適応戦略
モルディブ国立大学 副学長 アイシャ・シェヘナーズ・アダム氏

MNU アイシャ・シェヘナーズ・   アダム氏

MNU アイシャ・シェヘナーズ・   アダム氏

モルディブは平均海抜1.5メートルの島嶼国であり、気候変動の影響を最も受けやすい国の一つである。海面上昇や異常気象により存亡の危機に直面しており、差し迫った脅威と長期的なレジリエンス強化の両面から総合的なアプローチが必要とされている。具体的には、強靭なインフラと最先端技術への投資、再生可能エネルギーの活用と持続可能な開発手法の採用、サンゴ礁などの自然生態系の保護が重要である。気候変動の影響は貧しい遠隔地コミュニティにとり深刻であり、食料安全保障への影響が危惧される。このため、モルディブ政府は気候変動対応を優先しており、「国が決定する貢献」(NDC)でも適応の取り組みが強調されている。人工島フルマーレの開発は都市開発と人口移動の管理への先駆的取り組みの一例である。モルディブ国立大学(MNU)でも農学部の新設や関連する研究プロジェクトを通じて気候変動対策に取り組む方針である。結論として、小島嶼国の気候変動適応には大胆かつ野心的で協力的な取り組みが必要であり、国際社会との連携が不可欠である。

フルマーレに関する概要説明:
住宅公社/HDC 戦略経営本部長 アーマッド・アスラム氏
住宅公社/HDC 戦略経営本部研究開発部長 アイシャス・ライラ氏

左からHDCアイシャス・ライラ氏、   HDCアーマッド・アスラム氏

左からHDCアイシャス・ライラ氏、 HDCアーマッド・アスラム氏

HDC(Housing Development Corporation)が主導してフルマーレを開発した。フルマーレは首都マレの近くに位置し、マレの人口過密問題を緩和するために造られた。フルマーレは3段階で開発が進められ、現在はフェーズ1のほとんどが完了し、フェーズ2が5%程度開発中、フェーズ3の開発も最近始まった。フルマーレは住みやすく働きやすい街を目指しており、オープンスペースを多く確保し、環境にも配慮した持続可能な都市を目指している。現在約6万5千人が居住しているが、最終的には32万6千人が住む予定である。フェーズ2では社会住宅の建設が進められており、フェーズ3は63ヘクタールの開発が計画されている。フルマーレからさらに橋で繋がる地域、グルヒファルフとティラフシの開発も進行中である。グルヒファルフは気候にやさしい低層住宅地区、ティラフシは工業地帯および新国際港湾都市として開発される予定である。さらに、フルマーレの3倍の面積を持つラスマレという新プロジェクトも始まり、今後さらなる人口増加が見込まれている。しかし、これらの大規模開発には社会的・環境的な課題もあり、今後さらなる研究が必要である。

フルマーレ住民の満足度への影響要因:
日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団 事務局長 坂本晶子氏
日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団 専務理事 中山幹康氏

左から日本GIF坂本晶子氏、      日本GIF中山幹康氏

左から日本GIF坂本晶子氏、      日本GIF中山幹康氏

日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)が2022年8月にフルマーレ住民252名を対象にオンライン調査を実施した経緯と、調査項目の内容について説明する。調査項目は住民の属性と、フルマーレでの生活に関する32項目の5段階評価である。回答者の属性や各項目の評価結果を報告する。全体としてはフルマーレ移住後の生活満足度が向上しているが、年齢・出身地・定住意向などで満足度に違いがみられた。評価の高かった項目は生活環境やインフラ、低かったのは住宅価格や治安などである。そして、属性別の2群間の有意差分析と、人工知能(AI)モデル、構造方程式モデリングによる分析結果を報告する。AIモデルでは生活環境や施設など、構造方程式モデルでは生活環境・施設・治安が満足度に大きく影響する要因として確認された。

島嶼間移住への動機に関する予備調査結果:
日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団 事務局長 坂本晶子氏
笹川平和財団 アジア・イスラム事業グループ 主任研究員 前川美湖氏
モルディブ国立大学 副学長補佐 ラヒマ・アブゥドゥル・ラヒム氏
モルディブ国立大学 工学・科学技術学部長 アダム・カリッド氏

左からSPF前川美湖、        日本GIF坂本晶子氏

左からSPF前川美湖、        日本GIF坂本晶子氏

モルディブの首都マレ以外の地域に住む住民を対象に、人工島フルマーレへの移住に関する意識調査を行った結果を報告する。この調査の目的は、フルマーレに実際に移住した住民と、移住していない住民との認識のギャップを明らかにし、円滑な移住を進めるための知見を得ることである。モルディブ国立大学(MNU)の協力を得て、同大学のあるマレ以外の4つの島で398人を対象に調査を実施した。調査結果によると、フルマーレに対して高く評価された項目は商業施設やスポーツ施設などの利便性である一方、生活費や住宅費については低い評価であった。教育やの質の高さ、医療へのアクセスについても比較的高い評価がなされた。しかし、気候変動への対応については期待が低く、日常的な海面上昇の影響については地域差があることがわかった。そうした影響への対処方法として、防潮堤の建設などのハード面と、他島や海外への移住というオプションも一定数みられた。
MNUラヒマ・アブゥドゥル・ラヒム氏

MNUラヒマ・アブゥドゥル・ラヒム氏

モルディブの人工島フルマーレに住む人々の健康状態と、移住理由における健康面での評価について説明がなされた。2018年、2020年の住宅市場調査結果から、人々がマレやフルマーレへ移住する主な理由は、教育、仕事、医療といった生活環境の良さにあることが分かった。実際、多くの人がマレやフルマーレへの移住を希望しており、現在の住環境に不満を持っていることが明らかになった。そして、笹川平和財団(SPF)、日本GIF、MNUが実施した最新の調査では、フルマーレでは島々に比べて医療が充実しているという認識があり、それが移住理由の一つになっていることが確認された。実際の健康に関するデータを見ると、マレ地域では高血糖、高血圧、高コレステロールの有病率が他の島々に比べて低く、医療アクセスの良さが示唆された。しかし一方で、フルマーレの人口が過密になることで健康被害が生じる恐れもある。そのため、フルマーレなどの都市部と島々を組み合わせた分散型の健康都市コンセプトが必要であると結論付けられた。
MNUアダム・カリッド氏

MNUアダム・カリッド氏

モルディブの教育制度と、首都マレや人工島フルマーレへの人口移動における教育面での要因について説明がなされた。まず、モルディブが多数の離島から構成されていることから、島々によって言語や文化に違いがあると指摘。次に、モルディブの教育制度について説明した。すべての島に十分な教育施設を用意することは難しく、特に理科の授業で実験室が不足していることが指摘された。実際、統計データからマレ地区の学校に在籍する生徒数が他の島々に比べて多いことが示された。その理由として、マレ地区の学校に対する良いイメージと、政府による予算の重点配分があげられた。一方で、気候変動への意識は島々によって異なる。人々はマレにある大学の充実した教育環境を望んでおり、マレ移住の大きな要因となっている。

パネルディスカッション

法政大学 人間環境学部       教授 藤倉良氏

法政大学 人間環境学部       教授 藤倉良氏

モルディブ政府は、気候変動への適応策として大規模な土地の嵩上げプロジェクトであるフルマーレの建設を行っている。しかし、そのプロジェクトの財政的持続可能性に懸念がある。世界銀行の報告によれば、フルマーレの賃貸料の滞納率は高く、政府の債務リスクが大きくなっている。特に中国の金融機関からの借入が多額になっているため、返済コストを公的部門が負担せざるを得ない可能性が高い。HDCは国民への住宅供給という社会的責任を負っているが、同時に安定的な財源確保が課題となっている。今後の見通しについて説明が求められている。
立教大学 異文化コミュニケーション 学部 准教授 日下部尚徳氏

立教大学 異文化コミュニケーション 学部 准教授 日下部尚徳氏

バングラデシュには100万人のロヒンギャ難民が流入し、過密な難民キャンプが形成されている深刻な状況となっている。この対策として、バングラデシュ政府は無人島バシャンチャールへの難民移住計画を進めている。ここは元々脆弱な土地であったが、埋め立てと護岸工事によって人が住めるようにした。強制的な移住という点で批判もあるが、世界の難民問題解決に向けた新たな試みとして注目される。確かにインフラ面ではフルマーレには及ばないが、人道危機に直面する難民の命を守る挑戦として、環境難民のみならず一般難民問題の解決にもつながる可能性がある。人類が生き残りをかけて挑んでいる気候変動対策の一環として、この難民移住計画は大きな意味を持つ取り組みと言える。
国連開発計画(UNDP)モルディブ事務所 常駐代表補佐 レジリエンス・気候変動 アハメド・シャフィズ氏

国連開発計画(UNDP)モルディブ事務所 常駐代表補佐 レジリエンス・気候変動 アハメド・シャフィズ氏

UNDPはモルディブにおいて約45年にわたり開発支援を行ってきたが、現在は気候変動への適応・緩和、レジリエンス向上に注力している。適応策としては、水資源管理、気候スマート農業、順応型観光など多岐にわたる。緩和策では、運輸、農業、観光などへの再生可能エネルギー導入を促進している。また、災害リスク削減や環境問題、生物多様性保全、廃棄物管理にも取り組んでいる。資金面では、気候変動対策資金の調達に力を入れ、革新的な手法も模索している。UNDPはこうした幅広い活動を通じ、モルディブの気候変動対策とレジリエンス強化、持続可能な開発を多面的に支援している。
笹川平和財団 主任研究員 前川美湖

笹川平和財団 主任研究員 前川美湖

本セミナーの議論を通じて、気候変動に予防的に対応していくことの重要性が浮き彫りになった。モルディブの経験から学ぶべき点は、中長期的な影響を考慮した予防的対策と、自発的な移住を促進するまちづくりである。包摂的なコミュニティ構築と、財政的持続可能性も今後の課題となる。国連の気候変動枠組条約で、ロス&ダメージ基金の設置が合意されたことは、多様な支援につながる大きな成果である。研究を通じてそして多数の関係者とともに、今後もこの課題に取り組んでいく必要がある。

閉会挨拶:日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団 専務理事 中山幹康氏

日本GIF 中山幹康氏

日本GIF 中山幹康氏

本セミナーではモルディブの気候変動適応策である人工島フルマーレの開発事例を多角的に紹介し、意義と課題を共有した。フルマーレでは平均海抜2mの高さに新都市が建設されており、自然と都市生活が調和した魅力的な居住環境の実現が目指されている。本セミナーでは、人工島開発の経済社会面での意義、他の島嶼国への応用性、移住者の生活環境や満足度、資金調達、環境保全との両立、国際協力の重要性など、多岐にわたる貴重な議論がなされた。これらの議論は、気候変動と移住の課題に対し重要な示唆を与えるものであり、モルディブと日本の協力関係の発展にもつながることが期待される。セミナー開催に尽力された関係者、登壇者、参加者の皆様に感謝申し上げる。人類共通のこの課題に対し、国境を越えた協力が重要である。
関係者の集合写真           関係者の集合写真

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