当財団の「日本の防衛外交」事業(2019-)では、この度、韓国の防衛外交について調査を行い、その内容を冊子に取りまとめて発行いたしました。
昨今、平時における他国の防衛当局や軍との交流や協力、即ち、駐在武官や連絡要員を通じた関係構築や、政府高官および実務者による協議、防衛に係る協力文書の交換、部隊交流や共同訓練、相手国に対する能力構築支援活動や防衛装備品の供与などは、望ましい安全保障環境の実現手段として注目されています。
笹川平和財団安全保障研究グループでは、このような軍事アセットを活用した安全保障環境整備を「防衛外交」として位置づけ、その理解を深め政策的示唆を得るため、国内専門家と研究会を設立し概念整理や事例検討を行うとともに、情報収集・分析や自衛隊および他国の軍関係者らとの意見交換などの
研究活動を行っています。これらの活動を通じ、これまで防衛外交における
先進事例として、イギリスとフランス、オーストラリア、アメリカ、中国の順に、これら5カ国の取り組みとその背景にかかる戦略などの分析結果を『事例報告書』としてとりまとめ、公表してきました。(これまでの報告書は
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このたび、新たにシリーズ第6番目となる「韓国の『国防外交』-『国家生存』から『多様な国益実現』の手段へ」を発行しました。本報告書では、変わりゆくアジアの安全保障環境において、隣国の韓国が軍の派遣や装備品の移転などを通じて行っている「国防外交*」につき、朝鮮戦争以降の歴史的展開、概念、そして近年の特徴をとりまとめています。また、韓国の官民軍による防衛産業新興に向けた支援プロジェクトから得られた教訓など、日本の政策に参考となる知見をとりまとめています。(報告書本文は
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*国防外交とは、韓国の政府文書で用いられる傾向にある用語であり、防衛外交と同一の考えとして整理している。