Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第9号(2000.12.20発行)

第9号(2000.12.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者 (横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新

◆2000年もいよいよ押し迫った。21世紀はどのような世紀になり、それに日本がどのようにかかわって行くのだろうか。近付きつつある新年は、未知の大海への船出の覚悟を改めてなす大きな区切りの新年である。

◆「帆船(ふね)を進めよ――ひたすらに深海(わたつみ)めざせ。おお、恐れを知らぬ探検心。我と汝ともどもに、我等が向かうは船乗りの、敢えて行かざりし海なれば、いざ船を、わが身命を、ものみな賭して分け入らん」。19世紀の後半に、ホイットマンが歌い上げたアメリカ的な精神は、その後の20世紀におけるアメリカの発展を予兆するものであったといえる。21世紀に向かう日本も、それに負けない若々しい探検心をすべての分野で保ちたいものである。海は未知なる存在の象徴であり、それ自体が21世紀の大きなフロンティアである。

◆堀氏のオピニオンを、正月にマグロのお刺身を召し上がる時には思い出していただきたい。カネが敵の世の中に環境が絡むのが現代なのである。また、磯部氏のオピニオンが示すように、21世紀の社会は、技術による生活の変革のつけを支払うことをわれわれに迫る。しかし、それが大きくなればなるほど、その支払いも技術の進歩によってのみ担保されるのであろう。後戻りができない世界にわれわれは暮らし、まさに、ものみな賭して21世紀に分け入らねばならないのである。最後に、日本の海の課題が凝縮する権利密集地帯、瀬戸内海からの高屋氏の投稿に多謝。日本の海にかかわるすべての人々と読者諸氏に、良き21世紀の来たらんことを。(了)

第9号(2000.12.20発行)のその他の記事

ページトップ