◆「海技」というと小林ペーパーの注書きにもあるように、海事関連技術(maritime technology)のことで、"海技教育"とは主として"船員教育"のこと。その指針や教育訓練の実際は、海運先進国たるEUと実際の船員供給源たるアジア諸国との関係などなかなか分かりにくいが、日本のリーダーシップによるアジアでの教育訓練ネットワークづくりは地道な努力として取り組まれるべきであろう。
◆他方、日進月歩の新しい「海洋技術」(marine/ocean technology)。その代表格が白崎ペーパーのテーマであるAUV。数十年前から世界中で有索式のROVが多数登場してきたが、それはケーブルを介した遠隔操作型。これに対してAUVは無索式の自律型。いずれも"海中ロボット"と呼ばれているが、後者にはいかに技術的な飛躍が必要であるかは想像に難くない。そのAUVの性能や活躍ぶり、わが国のAUV一覧などを知って認識を新たにされた読者も多いのでは。
◆福江・山崎ペーパーによる海水浄化船も初めて知った読者が多いのではなかろうか。編集子は、2002年11月に広島県呉市で開催した海洋環境産業シンポジウムに関わり、そこでの発表依頼をした関係もあって今回の執筆依頼も担当したが、土運船を改造して海水ろ過装置を組み込み1日6,000トン以上の海水を浄化するというユニークな試み。こうした実際のプロジェクトはもっと広く知られてよい。
◆新造ロボットや改造船などの事例に限らず、新規性と独創性に富む技術やシステムが続々と登場してくることを大いに期待したい。また、それを育む土壌作り、社会経済条件作りに、微力ながら本誌もその一端を担うべく努めていきたい。(了)
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