Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第89号(2004.04.20発行)

第89号(2004.04.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原裕幸

◆今号のキーワードは海洋の平面と立体。地球表面の約7割が海洋であることは小学生でも知っている。しかしその中身を人間はまだまだ知らない。濱田ペーパーは、地球が水惑星であるという意味が、単に地球表面の平面的割合だけでなく地殻のなかまで実は水で占められていることを、卑近な表現で水浸しであると指摘する。「水は地球にとっての血液」、大切にしなければ。陸との接点たる海岸・水際線でその海水が与える様々な影響もまた見逃すことはできまい。

◆他方、内藤ペーパーの指摘のとおり、「星空は万人が仰ぎ見ることができるが、水塊の中を見通すことはほとんどできない」。その海中空間を縦横に動き回る生物をセンサーの装着体(プラットフォーム)として利用し、その海洋生物の生態挙動と海中の画像データまでをも取得するバイオ・ロギング技術の話に、読者諸氏も胸躍らせる思いであろう。ウミガメ、アザラシなどを活用したこの分野の研究ではわが国に何人もの世界的権威がいるが、執筆者はその代表的存在の一人。

◆再び平面的思考に戻ってはるか太平洋上に浮かぶわが日本の領土、小笠原にTSLの航路が開かれる。それでもやっと欧米までの国際線航空路なみの片道16-17時間。編集子も片道28時間余をかけた船旅で滞在した経験があるが、島の崖に露出した枕状溶岩を見ることができる。ハワイの火山から流れ出た溶岩流が海水に浸かって次々と枕状溶岩が出来上がっていく様子をTVドキュメンタリで見た方もいるのではないかと思うが、小笠原で実物をこの目で見て感動。季節によってはホエールウォッチングも。そして南国のパッションフルーツで作ったテキーラ風リキュール酒。さあ皆さんもTSLに乗って小笠原へ行ってみませんか。(了)

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