Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第87号(2004.03.20発行)

第87号(2004.03.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原裕幸

◆今井ペーパーが紹介する海岸線や島の形をモチーフとした子供たちの絵描きコンテスト。海洋科学技術センターも「ハガキにかこう海洋の夢絵画コンテスト」をやっているが毎年非常に多数の応募があると聞く。ところで、新しい海洋技術を検討するときポンチ絵と呼ばれる絵をよく求められるのだが、呼ばれ方とは裏腹に、その出来の良し悪しが内容の良し悪しを左右したり検討熟度を体現したりしていることが多い。ひるがえって自分の小中高校時代の図画、美術の成績を思い出すと絵心や画才のDNAに無縁であることにガッカリさせられる。

◆干潟は地形によって遠浅の砂浜とほぼ同義の前浜干潟、海岸と河川の交差する場にできる河口干潟、海岸近くの閉鎖性小湾にできる潟湖干潟に分けられ、底質によって砂干潟と泥干潟に分けられる。砂や泥の粒度の差によって生物相が異なってくる。緩やかな傾斜が特徴だが、はて勾配はどのくらいまでのことを言うのだろう?その干潟の作りつつ学びつつの管理手法について細川ペ-パーは書く。自然の変動に晒されながら柔軟に回復する応答機能。自然の自己デザイン。尊重すべきものといえる。

◆日本の南の端にある海洋研究所。上野ペーパーは優しく温かな目線でその活動概要を記しているが、私学としての運営は人知れずの苦労が多いに違いない。しかし、人の住まないところでの研究は、自然の猛威と対峙する経験を通じて人を育むという指摘は、どこかに置き忘れてきた教育の原点を示唆しているような。生物から環境、考古学や人類学まで、海の文化の南の出入り口に位置するこの研究所に、読者諸氏とともにエールを送ろう。(了)

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