Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第81号(2003.12.20発行)

第81号(2003.12.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原 裕幸

◆宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙ロケット打ち上げ失敗は残念。今年は海洋分野でも海洋科学技術センター(JAMSTEC)の深海ロボットが失われた。宇宙も海洋も、相手の環境を十分に知り、自分の技術を磨くことが肝要。そのために、科学(サイエンス)と工学(エンジニアリング)の両面で人材養成が不可欠だが、大学レベル以上の専門教育の充実とともに、その底辺を支える青少年の教育の拡充が極めて重要。日本海洋学会の重鎮、角皆氏はその海洋教育の現状を憂えて論陣を張る。本誌でもこれまで幾度もこのテーマは取り上げてきたが、今後も柱の一つとして追求し続けたいので読者からもどしどしご意見を。

◆久保ペーパーが述べる船のプロペラ。出来上がってしまうと人の目に触れないせいもあって、豪華客船用の超大型から競艇用の小型まで全て一品生産であることはあまり知られていないのではなかろうか?編集子はこれまた縁あって岡山の製造工場を拝見させてもらったことがあるが、世界でも有数のシェアを誇るというモノづくりの真髄を垣間見ることができて一見の価値あり。本誌No.74で掲載したアンカーも含め、縁の下ならぬ水面下の力持ちにもっとスポットライトが当てられて良い。

◆相模湾沖合に浮かべられた「拓海」。伊勢地方の小湾での水質改善のための鉛直混合促進という実績をベースにした本格的な外洋での海域肥沃化実験プロジェクト。同種の実験は富山湾で海面上散布方式による「豊洋」の前例があるが、生産力向上評価の手法ともども成果を期待したい。大内ペーパーの結びでの多目的洋上プラットフォーム提案。各方面での類似の構想など、一層活発な論議で一歩でも実現へ近づければ。こうした意欲的な取り組みが続々登場して海洋利用の、そして海洋産業の新地平が切り開かれていくことを願う。来年が良い年となりますように。(了)

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