Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第79号(2003.11.20発行)

第79号(2003.11.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原 裕幸

◆"森里海連環学"という耳慣れない言葉を山下ペーパーに発見して、思い浮かべたのが「流域圏」という言葉。欧米でもWatershed全体の環境管理が話題となりつつある。森川海の循環系環境教育については本誌第73号(本年8月20日)で兵庫県の竹野シュノーケルセンターのエコツーリズムに関するペーパーが既に掲載されているが、それにしても、海陸を一体的に捉える取り組みが大学教育の現場に実際の形となって現れてきたことを喜びたい。全国各地に大学レベルから草の根運動的なレベルまで、同様の取り組みがますます定着していってもらいたい。

◆ジャンク、ピニシ、ダウ。ウーンどこかで読んだぞと記憶をたどってやっと見つけたのが鶴見良行著「海道の社会史:東南アジア多島海の人々」(朝日選書、1987年)と生田滋著「大航海時代とモルッカ諸島」(中公新書、1998年)。そういえば沖縄にも独特の漁船サバニがある。しかしムダマ船については恥ずかしながら編集子は無知であった。ロシアでの市民向け銀行事業で異彩を放つ大道寺氏のペーパーは、『みちのく北方漁船博物館』を開設した動機と夢を語っている。縁あって、氏とは会えなかったものの同会長室を訪問したことがあるが、室内一杯に海と船の装飾品が並べられていた。そう、「日本人が海の国民であることを忘れないように」しなくては。

◆大井ペーパーでは、港湾、船舶のSecurityに関する新しい動きが紹介されているが、保安措置を講じようとすればするほど措置内容をつまびらかにできなくなるという自己撞着を指摘し、それを保安意識の向上でカバーしなくてはと述べる。海事保安の必要性は誰しも否定しないが、円滑な港湾荷役、海上貿易と物流に支障をきたさねばよいがと願うのは、これまた編集子の無知のなせる業か。(了)

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