Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第77号(2003.10.20発行)

第77号(2003.10.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原 裕幸◆わが国が「島国」であることは、子供の頃から日本人の脳裏に刷り込まれている地形的特徴を表した言わずもがなの常識。しかしこれを「海洋国家」と言い換えると単なる常識とは言えなくなる。海洋から受けている恩恵や海洋への働きかけが国家としてどれだけのものであるか、認識の度合いや見方が人によって異なってくるからであろう。そうした中で、秋山ペーパーは国家政策の主軸に海洋を据えた数少ない政治家として吉田茂を挙げる。200海里EEZを超える大陸棚調査が国策的重要度を増してきている現在、小泉首相は国会審議で積極的にこれに取り組む旨の答弁をしており、大いに海洋国家としての施策を推進していただけるよう期待したい。そしてそれがわが国の海洋関連産業の健全な発展とアジア太平洋地域における国際貢献にもつながることを願う。

◆日本のシーレーンとして最重要な場所がマラッカ・シンガポール海峡であることは、これまた日本人の常識に近い。その航行安全にわが国は相当協力してきているが、海賊・テロ対策という新たな課題も出現。今後の協力のあり方を志村氏とともに考えてみよう。

◆本誌二度目の登場となる真山氏は、海上保安庁が警察であって軍隊でないとの法制度的位置付けも一旦有事となったら意味をなさなくなり武力紛争の当事者あるいは軍事目標になりうることを指摘し、法制的整備の必要性を説く。少々飛躍するが、関連して思い出したのが次の指摘。「国土を戦場にして戦う場合の有事法制よりも、国土を戦場にしないための戦力造成と有事法制を優先するのが世界の常識」であり、そもそも「国土を戦場にすることは国防の失敗である」(松村劭、海から見た日本の防衛、PHP新書)。それにしても、文末の「海上保安官の安全確保のためにも」との一節が胸に響く。(了)

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