Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第75号(2003.09.20発行)

第75号(2003.09.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原 裕幸

◆数ヶ月前、東海大学海洋学部の学生達とともに静岡県清水港に係留されていた引渡し直前のフローティング海釣り公園を視察した。メガフロート後利用プロジェクトの一つで、実験開始時のユニット(100m×20m)とは違うサイズ(136m×46m)に切断しての利用。当初の水中溶接だけでも大きな意義があったが、溶接部ではない部位の切断という大きなノウハウも得られたという。小川ペーパーがこうした技術の要諦を述べている。産総研四国センターでの孤軍奮闘ともいえる技術開発に民間の寄せる期待も大きい。ロボット化以前に手動工具や支援機器など匠の世界の拡充方策も重要との指摘は、潜水作業など海中技術に共通の示唆に富むもの。

◆特区の制度が始まってから、海洋沿岸域に関するものがどこかに出現しないかと思っていたが、函館市が名乗りを上げた。文部科学省による大学での先端技術研究を支援するCOE(Center of Excellence)制度では既に佐賀大学の海洋エネルギー利用研究などが選定されているが、これは予算の重点配分が受けられるのに対し、特区の方は規制緩和が中心。ナポリやウッズホールと肩を並べることを目指すという。サザンプトン(英)やブレスト(仏)、バンクーバー(加)やシアトル、サンディエゴ(米)等を目指して、函館だけが海洋都市ではないぞと他の都市での奮起を促したい。

◆小中学校での教科書における海の取り上げられ方を分析、紹介した横内ペーパー。これまでの学会提言や政府関係審議会の答申でも人材養成、海洋教育の重要性は決まり文句の一つ。しかし、義務教育でどのように「海」が教えられているのかを把握、分析した例は、ごく最近の日本海洋学会での取り組みを除いてほとんどない。初めて本格的にメスを入れた同氏の研究に敬意を表するとともに、海洋に関する知識をどの学年でどのように教えるのが望ましいか、活発な論議が望まれるところ。(了)

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