Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第67号(2003.05.20発行)

第67号(2003.05.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原 裕幸

◆日本の水産とりわけ沿岸漁業の現状を憂い、その改革に情熱を燃やす気持ちが率直に伝わる松田氏のオピニオンは、コンブの人工海中林を日本周辺に張り巡らすことによって資源の倍増は可能であると訴える。「藻場造成」「海中造林」という言葉で水産の世界では古くから言われてきた海の豊かさを培養する方策を、国をあげて本格的に取り組むべきであろう。それにしてもコンブの恵みの多様さを再認識。

◆漁民による植樹活動は今や全国に普及した運動であるが、それは北崎ペーパーのとおり1988(昭和63)年にスタートした北海道の漁婦連創立30周年記念事業に端を発している。「100年かけて......」のキャッチフレーズが留萌南部森林組合長の「100年くらいかけてあせらずやることだ」との一言がきっかけであること、道漁婦連の植樹活動が紹介されたのは漁業白書より1年前の1993(平成5)年の林業白書の方が先であったこと、などの興味深いエピソードも含めて「森はすべて魚つき林」(柳沼武彦、北斗出版、1999年)に詳しい。「システムとしての<森-川-海>:魚付林の視点から」(長崎福三、(社)農山漁村文化協会、1998年)とともにオススメの書。

◆地球上の人類の必要食糧と現実とのギャップを畳みかけるように数字で示されると、危機感の薄い飽満日本にいるわれわれも事態の深刻さをもっと考えねば。人口削減策が急務であり陸上農業の工夫に加えて、漂流式フロートによる洋上農業を、と提唱する寺本ペーパーは、世界的視野でのアイデアとして検討の余地あり。ミクロやナノ・テクノロジーが流行の昨今、壮大なエンジニアリングの視点からも英知の結集が呼びかけられているといえよう。(了)

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