Ocean Newsletter
オーシャンニューズレター
第571号(2024.05.20発行)
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事務局だより
瀬戸内千代
◆今号は海洋ドローンに関するご寄稿をいただきました。ブルーカーボン調査に寄与する海中ドローンや、養殖生け簀の魚を観察できるAIドローンは「水中ドローン」、風で進むセイルドローンなど海面を移動するのは「水上ドローン」です。海洋立国の実現を目指す日本政府は現在、海洋基本法の下、第4期海洋基本計画の海洋開発重点戦略を練っており、その重要ミッションの一つに「AUVの開発・利用の推進」を挙げています。AUV(自律型無人探査機)は、「人による遠隔操縦を必要とせず、自ら状況を判断して全自動で水中を航行するロボット」と定義されています。政府は、AUVのほかに、自律型無人艇(ASV)や遠隔操作型無人潜水機(ROV)を含む海洋ロボティクスを「海洋科学技術における重要な基盤技術」と位置付け、これらの国産化と産業化を急いでいます。今号で紹介された海洋ドローンは、いずれも少子高齢化や労働力不足が深刻化する中で活躍が期待されています。
◆今号1本目は、2023年12月の総合海洋政策本部会合で策定された「自律型無人探査機(AUV)の社会実装に向けた戦略」のプロジェクトチームにも参加している山本氏からご寄稿いただきました。長崎大学オリジナルのROV「REMONA」は、2022年と2023年の「沖縄海洋ロボットコンペティション」で、「ROV部門 知能・計測チャレンジ最優秀賞」を獲得しています。同競技会では、2023年から洋上風力発電設備の立地候補地の海底調査や設置後のメンテナンスに活躍する安価なロボットの開発に挑戦しており、第10回大会は2024年11月に開催予定です。こうした競技会は、過去号のNPO法人日本水中ロボネットのご寄稿※1にある通り、毎年の開催を通して次世代エンジニアを育てています。
◆2本目は同じく長崎大学から小林氏が、再生可能エネルギーで動くドローンを使った完全自動養殖システムの構想をご紹介くださいました。既存の「日本水中ドローン協会」※2に対し、「日本水上ドローン協会」を立ち上げたのは、今号3本目の著者、エバーブルーテクノロジーズ(株)です。同社もまた、温室効果ガスを排出しないドローンを開発しています。風力や電力のドローンは静かです。空のドローンも、ボートやヘリコプターより騒音が少ないため、クジラやペンギンの貴重な映像の撮影に成功しています。静音性に優れた海洋ドローンが普及すれば、生き物を無用に驚かせずに済む上に、野間氏が言う「中世の絵画」のような魅力的な海辺がよみがえるかもしれません。(瀬戸内千代)
◆今号1本目は、2023年12月の総合海洋政策本部会合で策定された「自律型無人探査機(AUV)の社会実装に向けた戦略」のプロジェクトチームにも参加している山本氏からご寄稿いただきました。長崎大学オリジナルのROV「REMONA」は、2022年と2023年の「沖縄海洋ロボットコンペティション」で、「ROV部門 知能・計測チャレンジ最優秀賞」を獲得しています。同競技会では、2023年から洋上風力発電設備の立地候補地の海底調査や設置後のメンテナンスに活躍する安価なロボットの開発に挑戦しており、第10回大会は2024年11月に開催予定です。こうした競技会は、過去号のNPO法人日本水中ロボネットのご寄稿※1にある通り、毎年の開催を通して次世代エンジニアを育てています。
◆2本目は同じく長崎大学から小林氏が、再生可能エネルギーで動くドローンを使った完全自動養殖システムの構想をご紹介くださいました。既存の「日本水中ドローン協会」※2に対し、「日本水上ドローン協会」を立ち上げたのは、今号3本目の著者、エバーブルーテクノロジーズ(株)です。同社もまた、温室効果ガスを排出しないドローンを開発しています。風力や電力のドローンは静かです。空のドローンも、ボートやヘリコプターより騒音が少ないため、クジラやペンギンの貴重な映像の撮影に成功しています。静音性に優れた海洋ドローンが普及すれば、生き物を無用に驚かせずに済む上に、野間氏が言う「中世の絵画」のような魅力的な海辺がよみがえるかもしれません。(瀬戸内千代)
※1 浅川賢一著「水中ロボット競技会と人材育成」本誌第549号(2023.6.20発行)
https://www.spf.org/opri/newsletter/549_3.html
※2 小林康宏著「(一社)日本水中ドローン協会の取り組みについて」本誌第491号(2021.1.20発行)
https://www.spf.org/opri/newsletter/491_2.html
https://www.spf.org/opri/newsletter/549_3.html
※2 小林康宏著「(一社)日本水中ドローン協会の取り組みについて」本誌第491号(2021.1.20発行)
https://www.spf.org/opri/newsletter/491_2.html
第571号(2024.05.20発行)のその他の記事
- 海中ドローンによるブルーカーボン調査 長崎大学副学長、海洋未来イノベーション機構教授◆山本郁夫
- 魚の空腹度に応じたAIドローンによる自動給餌 ~育てる漁業のための取り組み~ 長崎大学工学部教授◆小林透
- 水上ドローンがもたらす新たな大航海時代 エバーブルーテクノロジーズ(株)代表取締役、日本水上ドローン協会代表理事◆野間恒毅
- 事務局だより 瀬戸内千代