Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第56号(2002.12.05発行)

第56号(2002.12.05 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者(横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新彌

◆本号では沿岸域の保全、管理に関するさまざまな主体の活動と、その活動を支える情報の生産、加工、流通、管理に関する問題を論ずるオピニオンを集めた。敷田オピニオン、Kay/Crowオピニオンは、いずれも沿岸域に関する情報の生産、加工、流通、管理の問題を客観的に整理し、ある種のシステムを提言するものである。両オピニオンが、情報の生産・流通・管理等の過程を観察者として見る学問的整理であるのに対して、松浦オピニオンは運動の内部者の視点で、NPO/NGOが運動を展開していく上で情報をどのように生産し、流通させていったかを紹介する。さらに言えば、Kay/Crowオピニオンは管理者のニーズに応じてさまざまな情報を統合していく仕組みを論ずるものであるのに対して、敷田、松浦、両オピニオンは管理の中でのプレイヤーである運動のサイドから情報の問題を見るものとなっている。

◆いずれにしても、現代に生きるわれわれが、コンピューターネットワークによる情報の流通をいかにして活用するかがさまざまな局面で問われており、その傾向がますます強まるであろうことへの示唆は興味深い。その意味で、本来的に少数者の運動から出発することを余儀なくされている環境保全運動にとって、インターネットが数の劣勢を挽回する非常に有効な武器になりうることを経験として語る松浦オピニオンの意味するところは大である。

◆今回は趣向を変えて現代川柳。「情報の海にぷかぷか私の皿」平井詔子。沈まずに、流されずに、主体的なうねりを作り出して、その中でぷかぷかと浮き続けたいものである。(了)

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