Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第510号(2021.11.5発行)

編集後記

帝京大学先端総合研究機構 客員教授♦窪川かおる

♦ 2021年のノーベル物理学賞はプリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎博士が受賞された。気候変動に関するすべての研究者、地球の未来を心配する人々に最高の朗報であろう。本誌編集委員一同も、心よりのお祝いを申し上げたい。真鍋博士からは2011年に「地球温暖化と海」と題するご寄稿をいただいた(本誌第267号)。一方、今年度の第14回海洋立国推進功労者表彰が発表された(下記参照)。多岐にわたる受賞者の分野は海洋立国の裾野の広さを示す。本誌は、引き続き人類の未来を託す海洋のさまざまな重要課題の発信に努めていきたい。
♦太平洋諸島学会会長の小林泉大阪学院大学教授より、太平洋島嶼国フォーラム(PIF)が進めてきた島嶼国の一体化が揺るがされている現状を教えていただいた。その原因はドナー国をめぐる合意不成立で、背景に中国の進出があるという。わが国はPIFに非加盟だが域外国対話に出席して交流を深めるとともに、太平洋・島サミット(PALM)を主催する。筆者は、わが国が太平洋島嶼国・地域の多様性の中での個別の意思の理解に努めるべきだと分析する。
♦洋上風力発電の導入促進が始まる。法整備や港湾整備などが後押しし、年間1GWずつ開発、2030年までに年間10GWにするという。なお、年間1GWの投資コストは最大1 兆円である。(一社)日本風力発電協会の足立慎一管理統括部長より、2021年『洋上風力発電金融ガイドブックVol.1』で、金融の役割に関する調査研究の成果を発表したと教えていただいた。参画者を対象とする実務解説書が追い風になることが期待される。
♦甲殻類に属するカイアシ類は体長10mm以下の小さな動物プランクトンだが、その役割は大きい。餌となるカイアシ類の膨大な生物量は、魚類資源量と相関する。また植物プランクトン食のカイアシ類の糞は、温暖化の原因となる表層CO2を深層に運ぶ。このように海洋生態系に恩恵をもたらすカイアシ類にも、温暖化やマイクロプラスチック汚染の影響が懸念される。(窪川かおる)

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