Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第37号(2002.02.20発行)

第37号(2002.02.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者 (横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新

◆「寒鰤の盛り上がりたる定置網」(徳淵富枝)。まだまだ旬の旨味を失わない冬の海の幸に混じって蛍烏賊なども魚屋に顔を見せはじめ、春の気配がそこはかとなく感じられる季節となった。魚食を一つの中心にする日本の食文化の伝統は、わが領海の豊かな漁業資源に支えられて育まれてきた。

◆恵谷氏のオピニオンはこれまで権利を中心に理解されてきた領海の概念に、「秩序維持の義務」という視点で新しい光を当て、海運の振興をはかることを意図する。昨年の不審船騒動の記憶も生々しいうちに、領海の秩序維持に必要な物理的能力の備えと、その行使の法制度を裁判のレベルまで含めて十分に検討することの必要性は高く、その意義も大であると考える。

◆寒鰤の本場、氷見の堂故市長から、越中式定置網の伝統的技術を生かした途上国援助・国際交流にかける、氷見市民の熱い思いの伝わるオピニオンをいただいた。魚ばかりではなく、人と智恵も大いにキトキトで、国際的な評価が高くなるのもむべなるかなと考える。今後の氷見の定置網をめぐる動きに注目したい。

◆国立天文台の川口氏のオピニオンは、そのあまりのスケールの大きさに、あるいはマイクロ秒角の想像を絶する精妙さに、編集子のような凡人はただただ驚くばかりである。海がこのような形で大宇宙につながり、それが離島の振興にもつながりうるとすれば、こんなに嬉しい話はない。Viva VERA!(了)

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