Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第24号(2001.08.05発行)

第24号(2001.08.05 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原裕幸

◆「静脈(物流)産業あるいは舞台裏(BehindtheCurtain)システム。これまで真正面から取り上げてこられなかったシステムに、ようやくスポットライトが当てられるようになってきた。日常生活におけるゴミ処理やリサイクルと同じように、船も、国際社会のなかで解撤というその最終段階における環境への配慮を、最初の建造段階から要請される。モノを生産しっ放しの時代は終わり、「地球環境に責任を持つ者のみがモノを製造し、所有することが許される時代がくる」という井上氏の予測はけっして大胆ではなく、むしろそうあらねばなるまい。本誌既刊号でも提唱されているように、この分野での日本のイニシアチブと国際貢献が求められている。

◆環境アセスメントが一応定着化してきたあとに、環境修復・代償措置を求めるミチゲーションの考え方が登場したが、いまだ確立した理念と政策手段が講じられることなく今日に至っている。そして「予防原則」の考え方の登場。そのコンセプトを簡潔に紹介して意義を説く大森氏のオピニオンは、国際社会ではじわじわ浸透してきつつあるアプローチである。人の健康や環境に害を与える恐れのある場合には因果関係が科学的に証明されなくても予防措置が採られるべき、という考え方は、初めて接する読者にとっては驚きにも似た印象を与えるかもしれない。しかしながら、それくらいの政策なくしては地球環境生態系の健全性確保はギリギリの崖っプチに立ち至っている、だから手遅れにならないようにすべきだ、という問題提起といえよう。これをどう考えるべきか、読者諸氏の意見を広く求めたい。

◆一転して、読者投稿による身近な海岸や海水浴場での水上バイク問題。ライダーの傍若無人の行為を戒め、モラルとマナーの向上を訴えながら、優れたライディング技術の発表、披露、競技の場の創設と、他方での海面利用のルール作りの主張。地道で確実な前進を図りたい。(了)

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