◆ 災害は忘れたころにやってくる。しかし、これは日常の生活空間における話であり、世界全体を眺めれば痛ましいニュースが引きも切らない。ミャンマーの悲惨な高潮災害に引き続き、中国の四川省で大地震が発生し、またも多くの人命が失われた。被災地では豪雨などによる二次災害の危機も迫っている。◆わが国では1959年の伊勢湾台風、翌々年の第二室戸台風などによる災害の教訓から、災害対策基本法が制定され、気象災害により一時に多くの人命が失われることは無くなった。国の対策を補完するものとして、最近はボランティア活動の有効性も広く認識されるようになっている。◆自然現象そのものは防ぎようもないが、被害を最小限に抑えることは可能である。災害に強い社会を目指して、ハード、ソフトの両面から普段の努力がなされているか、それを適切に推進する社会体制が備わっているか、ひとたび災害が起きた場合に迅速かつ有効に対応できる危機管理体制が整っているか、今回の大災害はこうした点について、大いに考えさせられた。わが国は災害対策先進国としてそのノウハウの伝達に務めるとともに、自らも他山の石としなければならない。◆今号は海洋政策、海事、海洋教育の三題をカバーする。松本宏之氏には国際海洋政策研究センターの活動について、沢野伸浩氏には「海上における捜索及び救助に関する国際条約」(SAR条約)の下、フィンランド湾の沿岸諸国で整備が進む船位通報制度について解説していただいた。海洋汚染防止も視野に入れていることは制度の新しい方向性を示している。中野義勝氏には沖縄のサンゴ礁を生かす初等教育の重要性についてのオピニオンをいただいた。郷土の風土に根ざした教育を発達の早期に開始することが地球環境の保全にはもっとも効果的である。 (山形)
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