Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第10号(2001.01.05発行)

第10号(2001.01.05 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者((社)海洋産業研究会常務理事)◆中原裕幸

◆新世紀の扉が開かれた。まだ「2001年宇宙の旅」は一般に普及するには至っていないが、海洋の旅は21世紀の人類の様々な危機を救ってくれるはずである。ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)が「海底二万哩」を著したのが今から約100年前。今から100年後には海洋の本格的利用を実現していきたいものである。そのためにも、海図なき航海に漫然と漕ぎ出していくわけには行かず、しっかりとした羅針盤すなわち政策と戦略、そして優秀な船長とクルーが必要であろう。
◆上原氏のペーパーは、沖縄の歴史を俯諏し新たな世紀において「海の邦を再興」しようとの静かなる気概を窺わせた好個の一編である。沖縄県は大東諸島をも抱えているので、わが国200海里排他的経済水域(EEZ)のなかで占める海域面積は広大なものである。わが国領土の北端宗谷岬から南端の沖の鳥島までは2,786km、東端の南鳥島から沖縄県与那国島の西端まで3,144km。それは「イギリスからイタリアまで欧州大陸をまたぐ距離に相当する。日本が小国などと誰が一体言い出したのだろう」とのある識者(名前を失念)の文章に接して地図を確認した時の、目からウロコ感を想起させられた。
◆石原氏のペーパーは、「もう船大工など要らないのか?」と問いかける心洗われる小編である。船大工による匠の業の継承に腐心しながらも、20世紀で滅び去っていくものへの鎮魂歌とならざるをえないのか。「遠い未来に船大工が木で船を造る時代が帰ってくる気がする」という希望がもし叶えられるとしたら、それは単なる復古趣味、伝統への回帰ではないであろう。しかし一体どんなかたちで叶えられるであろうか?
◆米仏の二大海洋研究機関からの新年のメッセージをすべての読者とともに感謝し、われわれの使命を改めてかみしめたい。海洋の世紀、21世紀に乾杯。(中原)

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