Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第104号(2004.12.05発行)

第104号(2004.12.05 発行)

インフォメーション(1)
東アジア海域持続可能な開発戦略(SDS-SEA)

「東アジア海域持続可能な開発戦略(SDS-SEA)」の採択

2003年12月、マレーシアで「東アジア海洋会議」が開催された。同会議は、東アジア海域における環境管理と持続可能な開発に関する各国、有識者等の連携協力の強化を目的に活動している「東アジア海域の環境管理パートナーシップ(PEMSEA)」が、マレーシア政府、地球環境ファシリティ(GEF)、国連開発計画(UNDP)、国際海事機関(IMO)、シップ・アンド・オーシャン財団などの協力を得て開催したものである。同会議には、東アジア各国政府、海事関係の国際機関・団体、大学・研究機関、地方政府、企業、NGO、有識者、メディア等450人が参加した。

そのメインイベントのひとつである「東アジア海域の持続可能な開発に関する閣僚会議」には、黄海、渤海、東シナ海、南シナ海及びその周辺海域に関係する東アジア12カ国から閣僚級の代表が出席し、東アジア海域の環境悪化に対する現状認識と環境管理の必要性、持続可能な開発にむけた具体的施策、その実施のために必要な政策及び技術上の方法論を盛り込んだ「東アジア海域持続可能な開発戦略(SDS-SEA)」を採択した。

SDS-SEAについて、その採択を宣言した「東アジア海域の持続可能な開発の地域協力に関するプトラジャヤ宣言」は、概略次のように述べている。

PEMSEAの参加国は、ブルネイ、カンボジア、中国、北朝鮮、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ及びベトナムであるが、2007年からの第3期のPEMSEAに参加する方向で今回の第10回PSCからは、東ティモール、ラオス、ミャンマーがオブザーバーで参加している。

1)海洋・沿岸の重要な懸案事項に対応し、(1)持続可能な開発のためのWSSD目標、(2)統合的な海洋・沿岸管理のアプローチ、(3)海洋・沿岸管理の問題と欠陥を解決するための行動計画、に関する地域、国、地方のレベル、また、政府間、行政機関間、各部門間の協力の基盤を提供する。

2)次のことに関して共同的行動を促進する。(1)海上安全、海洋環境保護のIMOの取り組み、(2)陸上活動からの海洋環境保護に関する世界行動計画(GPA)及びモントリオール宣言の実行、(3)生物多様性条約、ジャカルタ・マンデートなどの実行、(4)統合沿岸管理、生態系管理、海洋保護区、責任ある漁業の行動規範の実施等。

3)海洋及び沿岸資源について、関係国の政府及び当該資源に依拠する他の関係者に対し、それらの資源の様々な利用方法、価値観及び優先順位を最大限考慮しつつ持続可能な方法によって開発・管理するための戦略的手法を提供する。

4)政府、国際機関、援助機関、民間部門、NGO、科学者、学識者、地方社会、その他市民社会の構成員を含むすべての関係者に対して持続可能な開発に向けた社会的責任を徹底させるとともに、持続可能な開発プログラムに積極的貢献を求める。

同戦略は、具体的には、持続可能な開発の実現にむけて必要な行動として「持続する」、「保存する」、「保護する」、「開発する」、「実施する」、「伝える」を掲げ、これらのもとで20の目標と228の具体的行動計画を提示している。

SDS-SEA実施促進のための地域メカニズムの構築

2004年10月、中国のアモイで第10回PEMSEAプログラム運営委員会(PSC)が開催され、2006年で終了するPEMSEAの今後の活動について議論した。席上、SDS-SEAの東アジア海域における実施に向けて、2007年以降の第3期のPEMSEAの活動継続について、東アジア各国及びGEF、UNDP、IMOの各関係国際機関がこれを基本的に支持する意向を示し、最終日の政府間会合で、SDS-SEAの実施を長期的に担保していくための地域的メカニズムを2006年までに構築することが合意された。

PEMSEAは、1994年にGEF資金を用いて東アジア域内の発展途上国の沿岸域管理及び準閉鎖性海域の環境管理のプロジェクトを支援する目的でスタートしたが、10年を経て、単なる発展途上国向けの支援プロジェクトから脱皮して、東アジアの海域の持続可能な開発を目的とする東アジア15カ国(地図参照)の地域協力メカニズムの構築へ大きな一歩を踏み出すこととなった。

●詳細についてはPEMSEAのホームページを参照ください。http://www.pemsea.org

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