中東におけるCOVID-19の感染拡大状況

中東・イスラム事業グループ
研究員 横山隆広
研究員 田中麻由子

  1. 感染状況概況
  • 感染者数トップ3:5月8日現在*、本稿で取り上げた中東諸国の新型コロナウイルス感染者数(累計)を見ると、トルコ(133,721人)、イラン(103,135人)、サウジアラビア(33,731人)の3か国が大半を占めている。中東で最初に感染が確認されたのはアラブ首長国連邦(UAE)で、1月29日に、中国武漢市から到着した家族の内4名の感染確認が報じられた。続いて2月14日にエジプト、同19日にイランでそれぞれ感染が報じられ、2月末までには中東の大半の国で感染者が確認されるようになった。
  • イラン:2月27日に104人、3月6日に1,234人と急激に感染が拡大し、世界有数の感染国となった。各種報道などでは、ゴムをはじめとする宗教都市における巡礼や2月21日に投票が行われた国会選挙などのため、早期の防止策が講じにくかったことが主な原因とされている。その後、3月31日の3,111名を境に、新規感染者数が減少に転じたが、5月上旬から再び増加傾向を見せ始めている。
  • トルコ:3月11日に初の感染事例が報告された後、3月26日に1,196名の感染が報告されるなど感染が拡大し、4月18日にイランの累計感染者数を追い抜くに至った。同国は3月16日に学校の休校、パブやナイトクラブの閉鎖を実施するなど早期の感染対策を取ったが、イスラム教の聖地メッカ巡礼の帰国者の増加が、感染拡大の一因とみられている。
  • ペルシャ湾岸諸国:上述のサウジアラビア以外でも、UAE(16,240人)、カタール(18,890人)、クウェート(6,567人)と比較的感染者が多く現在も増加を続けている。これらの国は、移民労働者の感染比率が高いと指摘されているが、一方で、グラフからは感染者に占める死者の割合が相対的に低いことが特徴である。
 
  1. 各国の対策概況
  • 全般:各国は、2月後半から3月中旬に​かけ、国境封鎖、航空便の運航停止、外出禁止時間の設定、県境をまたぐ移動の禁止、テレワークの推奨、各種学校の休校、レストラン・カフェ・大型ショッピングセンターの営業停止といった措置を組み合わせながら、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じていった。
  • イスラム教関連:集団感染を予防する観点から、金曜日の集団礼拝をとりやめ、自宅礼拝を推奨する動きが各国であった。サウジアラビアは、3月19日に聖地マッカ、マディーナのモスク周辺での礼拝禁止に踏み切った。さらに、サウジ巡礼相は3月31日、全世界のイスラム教徒に向けて、今年は7月末に予定されている巡礼(ハッジ)につき、新型コロナウイルスの感染状況が明らかになるまで準備を待つよう呼びかけた。コロナ感染拡大は、イスラム教の宗教行事に大きな影響を及ぼしている。
  • ラマダーン:中東諸国では4月23日(一部の国では24日)の日没から断食月(ラマダーン)が始まった。集団礼拝の自粛は引き続き行われているが、エジプト政府が4月24日より、夜間外出禁止の開始時間を遅らせるなど、多くの国で、外出禁止時間の短縮、経済活動の一部再開などの緩和措置が発表された。3月末から感染者が減少傾向に転じていたイランではラマダーンに先立ち、首都テヘラン以外の地域では4月11日、テヘランでは18日より、「低リスク」の経済活動を再開していたが、5月4日、全国のおよそ3分の1の行政区でモスクにおける活動の制限を緩和すると発表した。
 
*データは、WHOのSituation Reportより(5月8日中央ヨーロッパ時間10:00現在集計分)
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